Eighter -Chaos Desorder-
11ther 〜九星は闇にかがやきて D〜



#7
あつし、割とアッサリきゆみを倒し、続いて、おぼろかぎりをそれなりに簡単に斃し、一行は更に進む……
火渡れんじ「……来たな……俺は火渡れんじ……」
百鬼あろえ「ああ、不条理な偽ブランドの……」
れんじ「……ふ、不条理!?」
梓與鷹よたか「いや、だから、そのネタはよしておけ……」
一体何のことだ!?とれんじが混乱している中、與鷹よたかが諌める
れんじ「……まぁ、いい……ファイヤー・スルーのアレは単なる資金稼ぎにしか過ぎんかったしな……」
ぐっと爪を使い、相手を引いっ掻くような拳を構えるれんじ
杜季良「あれは……あの構えは……」
れんじ「ほう!?知っているか!?我が流派……魔狗蜃牙拳まこうしんがけんのことを……フフフ……
 だったら……分かっているはずだ……」
季良「……」
與鷹よたか「熊をも斃すほどの果敢な犬の力をしなやかに再現する狂気の拳……だろ?」
黙る季良を前に、與鷹よたかが答える
れんじ「フッ……」
バッ
季良が臨戦態勢に入ろうとするが、それを與鷹よたかが遮る
與鷹よたか「ここは俺が行く……」
季良「……分かった……」
與鷹よたか「ふぅ……」
ババッ
恰好よくスーツの上着を脱ぎ、投げ捨てる與鷹よたか
※ちなみに、かんなが運で見事にキャッチしたりしてます。
れんじ「ほう?俺の拳に恐れずに立ち向かってくるとはいい度胸だな……」
與鷹よたか「いい度胸も何も、狗を恐れる狼もいないもんだ……」
※ってか、何故に敵さんは自分の流派を名乗って、相手の流派を名乗らさせないんですかね!?余程自分の流派
 に自信があるんですか!?……それは過信と言うものです
れんじ「おいおい、熊を狼なんかと一緒にしいないでくれよ……」
與鷹よたか「……だったら……試してみるか?」
れんじ「いいだろう……貴様など3秒でダウンだぁ!」
ドッ
爪を上段に構え、そのまま飛び込むれんじ
れんじ「シャッ!!爪渦牙嵐そうかがらん」
ギャアアッ
研ぎ澄まされたかのような鋭い爪の一撃だが……
與鷹よたか「……」
ひらりっ
れんじ「なっ!?」
だが、それはいとも簡単に回避される
與鷹よたか「……そろそろ3秒経つぞ……」
れんじ「黙れぇい!!烈空襲牙れっくうしゅうが!!」
ゴギュオンッ
空気の層を引き裂きつつ與鷹よたかを切り裂こうとする……が……
スカッ
れんじ「ば……馬鹿な……!?」
またしても攻撃は空を切る
フッ
れんじ「はっ!?」
そして、背後を取られるれんじ
與鷹よたか「確かに俺は忠告したはずだ……狗じゃあ狼には勝てん……とな」
れんじ「しまっ……」
與鷹よたか「……狼牙砕ろうがさい」
ゴガオンッ
そのまま防御を無視した一撃をれんじに叩き込む

#8
れんじ「ぐっ……ぐうう……」
ザガガガガガガガガッ
與鷹よたかの拳を受け、吹き飛ばされつつ、何とか体勢を立て直す
れんじ双狼拳そうろうけん……だと!?」
與鷹よたか「……そうだ……」
すすっと拳を構える與鷹よたか
れんじ「クソっ!天宮の他にも双狼拳そうろうけんの使い手がいるだなんて……聞いてないぜ!」
與鷹よたか「……へぇ、俺以外の使い手も……いるのか……」
どこかで聞いたことのある名前かも……とか何とか考える與鷹よたか
れんじ「くっ……双狼拳そうろうけんが相手ならば、分が悪い……だが……漢として退くわけにはいかん!!」
気を取り直し、拳を構え直すれんじ
雨水おぼろ「……そういえば……双狼拳そうろうけんのことを知っていながら、なんで魔狗まこうなんたらを習得したのかしら?」
と、最もだが素朴な疑問を投げかけるおぼろ
※あれ!?……双狼拳そうろうけんの方が拳法としては強い……のは決定事項なの!?……いや、まぁ、そうしないと
 話は進まないんだけど……
れんじ「……フッ……貴様も漢なら分かるだろう……」
素朴な疑問に答えてくれる律儀なれんじ
おぼろ(いや、私、女だし……)
れんじ「……あの屈辱の単語を冠した拳法を習うなどと……せめて……単独の狼ならば……いや、漢ならば
 天狼より、地狼の方が……」
一同「そりゃセクハラだあああ!!!」
物凄くどうでもいい理由で双狼拳そうろうけんを習うのを拒否したれんじに一同はあきれ果てる
與鷹よたか「……あ〜〜、何と言うか……そんなの理由にならないと思うぞ……」
れんじ「ふざけるな!貴様にとっては下らない理由かもしれんが、俺にとっては深刻な問題なんだよ!」
與鷹よたか「……いや、俺もそっちの理由に巻き込まないで欲しんだが……」
女性からの視線がちょっと痛い與鷹よたか
れんじ「……まぁ、いい……双狼拳そうろうけんだけに……早く逝っちまいなッ!銀牙嵐撃ぎんがらんげき」
ドドドドドドッ
凄まじい速さで引っ掻きを繰り出すれんじ……だが、双狼拳そうろうけんの使い手、與鷹よたかにあたることは無い……
れんじ「まだだッ!!三死狗砕さんしこうさい!!」
ガッ
瞬時に3回の引っ掻きを繰り出すれんじ……その最初の1回が與鷹よたかのYシャツに食い込むが……
本来、食いちぎり敵を屠るはずの爪はそこで止められてしまう
れんじ「んなっ!!?……」
與鷹よたか「……そろそろ……終わりにしようか?」
れんじ「はっ!?」
バッ
咄嗟に退こうとするが、與鷹よたかのYシャツに食い込んだ爪が離れない……
れんじ「な……何で!!?」
與鷹よたか幻狼襲げんろうしゅう!」
ビリリリッ
ドギュオアッ
れんじ「が……ふぁあ!!?」
ドガンッ
建物すら吹き飛ばす闘気の塊がれんじを壁に叩きつける
與鷹よたか「しまった……このYシャツ、お気に入りだったんだ……」
一同「……リーダー!?」
……ともかく、セクハラ魔人、火渡れんじを斃すことに成功した與鷹よたかであった。


続

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