Eighter -Chaos Desorder-
10ther 〜黒い虹を巡る錯綜 B〜



#3
しんぎはひとしきり、どこぞの財閥関係者と会話を行い、そして、紳士は別の人に声をかけられ、そしてしんぎの元を
去っていく
土山しんぎ「……ふぅ……」
ため息をつきつつ後ろを振り向くと……未だ硬直したままのかぎり
金谷かぎり「……」
土山しんぎ「……何やってんだ?」
かぎり「……しんぎって本当に財閥の関係者なの!?」
しんぎ「……まだ、ただのオマケに過ぎん……それよりも、とっとと仕事を済ませて帰るぞ……」
かぎり「え、ええ……そうね……」
しんぎ「……と、言うわけで、確認だが……もう2〜3時間すると照明を落として黒い虹の公開が始まるそうだ
 から、その隙にだな……」
・
・・
・・・
その頃、かんなと與鷹よたかはと言うと……
かんなの超運のおかげで金庫室に陣取っていた警備員が偶然2人ともトイレに出向いてのをチャンスにササっと
金庫室に忍び込み、事前にアトランティスでプリントアウトした偽物をすり替える
梓與鷹よたか「……驚くほど簡単に終わってしまって……なんだか拍子抜けな感じもするな……」
白拍子かんな「もうちょっとスリルがあった方がよかったですか!?」
與鷹よたか「いや、それは勘弁してくれ……」
と、かんなの運を最大限に利用し、簡単に依頼を終えた2人はそのまま金庫室を後にする……
一方……
某所
*「……作戦は失敗ね……」
アトランティスと同じような形のオーパーツCPを操作しながら、九星団の盟主はつぶやく……
*「仕方がないわね……」
と、彼女はそのままオーパーツCPを操作して、ラグナ社のメインフレームにハッキングを仕掛ける……
そして、ラグナ社に戻ると……
ピンポンパンポ〜〜ン
『会場にお越しの土山様……A-34ブロックにて太陽の落し物がございます。お早めにお越しください。
 繰り返します……』
突如、会場内にアナウンスが響く……
かぎり「な、何!?このアナウンス……」
しんぎ「……明主様直々に伝言!?」
ちょっと会場内がザワつくが……別に普通のアナウンスみたいなものだったので特に不振がられるようなこと
は無かったのだが……流石にちょっと気まずくなった2人……
かぎり「……と、ともかく、行くしかないわね……」
しんぎ「あ、ああ……」
タタッ
そして、2人は足早にA-34ブロックへと駆けつけるのであった

#4
かぎり「って、ここ、公衆電話フロアじゃないの……」
ここに一体何が……と、思っていると突如電話の1つが鳴り出す……
しんぎ「……はい、もしもし……?」
まさか……と受話器を取り、会話をすると……それは九星団盟主からの電話
*「作戦は失敗……」
しんぎ「どういう……ことです!?まだ、俺たちは何も……」
*「いいこと、別の何者かが……Eighterに依頼をかけていたらしいわ……」
しんぎ「……と、言うことは……まさか!?」
*「ええ、既に黒い虹はEighterの手に渡ったわ……」
しんぎ「Eighter……」
ガチャン
苦虫を噛み潰したかのような表情で受話器を電話に戻すしんぎ
*「あ、ちょっとまだ話は……全く……」
電話の向こうでは、まだちょっとだけ言いたげだった盟主……だが、大した用事でもないとの思いか……
再び電話してくることは無かった……
かぎり「……えっと……何だって?」
しんぎ「作戦変更だ……会場内にEighterの連中がいる……奴らから黒い虹を奪う!」
かぎり「OK……」
かくて、2人は再びパーティー会場へと戻り、Eighterの面々を探すことに……
・
・・
・・・
その頃、会場の外では……
與鷹よたか「いいのか?……パーティーに参加しなくて……」
かんな「はい」
仕事を終え、さっさと退場していた2人
與鷹よたか「……だが……こんなパーティーは滅多に……」
かんな「リーダー……」
與鷹よたかの言葉を遮ってかんなが語る
かんな「……確かに、こんなパーティーには滅多に参加できませんが……私が参列していたら悪目立ち
 しちゃいますよ……」
與鷹よたか「あ……」
そうである、ここにいるのは運の女神……世界の回転軸すら掌中にある超運の一族の娘なのである……
そんな彼女がパーティーに参加していたらまず、注目はそっちにいく……かんなの持ち前の運で回避もできる
が、それでも……いや、今は、依頼の最中……すり替えた黒い虹が何かのはずみで会場に転がりでもしたら
大変な騒ぎになるのは必然……だからこそ、かんなは、依頼が終わり次第そそくさと会場を出ることを決意
し、実行したのだ……
かんな「……帰って、報告しましょう……」
與鷹よたか「ああ……そうだな……」
そして、九星団が血眼になって探しているなか、悠々と帰路に着く與鷹よたかとかんな……
依頼人クライアントと連絡をとり、今回のEighterとしての仕事は完遂と言うことに……

#5
某所
*「……残念だったわね……」
しんぎ「くそっ!確かに、よく考えれば分かる話しだった……相手は運の女神……そんな彼女が会場にいたら
 悪目立ちして仕方ない……奪還ことが終われば早々に帰還するのは必然」
しんぎかぎりはラグナ社から帰ってきて、反省会の様なものを開く
*「……そろそろ暗躍するのも潮時かしらねぇ……」
かぎり「それって……」
*「……Eighterとぶつかってみましょうか……」
しんぎかぎり「!!!?」
今回の件はこれで終わったが……しかし、これは……始まりに過ぎなかったのだ……


END

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