Eighter -Blindness Wizard-
58ther 〜滅焉する魔術師達(ルーインウィザード) B〜



#3
エスティリオ・アリーフ・ザンスパイン「ワガハイの友の仇ッ、その報いを受けるであ〜〜るッ!」
梓與鷹(よたか)「あ、おい……」
 與鷹(よたか)が止める間もなくエスティリオは両手に魔形刀(マナヒョンド)を構えて突撃する。
 シャガイとセラエノ……緑の炎と水で出来た刃が偉大なるL(グレーテル)に迫る。
 しゅんっ
エスティリオ「なっ!?」
 だが、凶刃は偉大なるL(グレーテル)に届く前に掻き消える。
Hなる天使(ヘンゼル)「残念だったわね」
エスティリオ「ッ!」
 その場にい続けるのはマズいと考えたエスティリオはとっさに後退る。
偉大なるL(グレーテル)「貴様らが召喚呪術を使うことを許可しない〜〜ッ!」
※いや、その言い回し何なの!?
エスティリオ「魔術封じの結界であるか!?……しかし……」
偉大なるL(グレーテル)Hなる天使(ヘンゼル)の力をもってすれば容易いことよ」
ファルゼシア「でも、魔術を封じる結界ってことは、別の方法で攻撃をすればいいだけなのでは?」
エスティリオ「はっ!」
 寧ろ、今いるEighterの一行の中では魔術を得意とする存在の方が少ないのだ。
白拍子かなり「と、言うわけで、かれん、出番よ」
白拍子かれん「って、なんで私!?」
 ここはかんなの出番ではないのか!?と思うかれんだが、そんな常識はかなりには通用しないのだ。
 と、そんなとき、偉大なるL(グレーテル)が手に持つ魔形刀(マナヒョンド)、そこから闇で作られた禍々しい鞭が出現していた。
 それは召喚呪術、シャールノスである。
エスティリオ「なっ、どういうことであるか!?こちらの魔術だけが使えない結界などと……」
偉大なるL(グレーテル)「ハッ!さっき言ったはずだ!貴様らが召喚呪術を使うことを許可しない〜〜ッと!影に願え閃刃(シャッテン・ヴュンシェン)!」
白拍子かんな「虚無舞刃(きょむぶじん)!」
 意志を持ったかのような動きの闇の剣閃が飛んでくるが、かんながすかさず氷の刃でそれを叩き潰す。
偉大なるL(グレーテル)「ほう?少しは楽しめそうだな」
(かみ)総介「こちとら遊んでいるヒマはないんでな……」
 いや、そこはかんなが言うセリフなのでは!?
偉大なるL(グレーテル)「いいや、楽しませてもらうぜ……」
 域外神(アウターゴッド)召喚までの余興だ!と言わんばかりだ

#4
かんな「今すぐ、それをやめてください!」
 しかし、かんなの言葉を受けたところで止まるはずもないのも明白だ。
偉大なるL(グレーテル)「聞けんなぁ……Hなる天使(ヘンゼル)!」
Hなる天使(ヘンゼル)「はい。任されました」
 偉大なるL(グレーテル)に託され、Hなる天使(ヘンゼル)は指をパチンと鳴らす。
ベルゼビュート、レヴィアタン、シャイターン、ルシュファー「あ〜〜」
 ビュート、レヴィア、サタン、ルキの四つは焦点の合わない虚ろな目で天を仰ぎ、歌うように声を出す。
與鷹(よたか)「クソッ」
 偉大なるL(グレーテル)と死合うことは吝かではないが、域外神(アウターゴッド)召喚の儀を止めることは厳しかろう。
総介「なるほどな……最も哀れなる者は自分が傀儡にされているということに気づかない奴だ!」
與鷹(よたか)「総?!」
 その時、唐突に総介が告げる。
山咲(やまざき)桜「……人を使い潰す存在である七罪塔(しちざいとう)が、人に使役されることはおかしい……」
 そんな七罪塔(しちざいとう)へのカウンタープログラム、七元徳(ななげんとく)なんてものは、人が作り出せる代物ではない。
 召喚呪術なる魔術を使ったとしてもだ。
 ではどういうことなのか!?
総介「そのHなる天使(ヘンゼル)とかいう巫山戯(ふざけ)た奴……それはそもそも魔導書ではないなッ!」
偉大なるL(グレーテル)「ハッ!何を馬鹿なことを……」
 しかし、Hなる天使(ヘンゼル)が突如口を開く。
Hなる天使(ヘンゼル)「あ〜〜あ、残念……まさかこんなに早くバレるなんてね……流石は《キツネザルの使途》という事か
……」
偉大なるL(グレーテル)「なっ、何を言って!?」
 困惑の渦中にいるのは偉大なるL(グレーテル)與鷹(よたか)「いや、待て、《キツネザルの使途》だと?!」
 その単語を口にする存在は一つしかない。場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)だ!
 しかし、それは何か怪訝(おか)しい。場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中で人の姿をとるものは限られている。
 その最たるものが七罪塔(しちざいとう)、そしてその配下だった。
與鷹(よたか)場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)……中位存在……なのか!?」
かんな「いいえ、違います……」
 ふるふると首を横に振るかんな。
総介「奴はおそらく、上位存在……そのさらに上にあるもの」
與鷹(よたか)「何だって!?」
 それは、七罪塔(しちざいとう)よりも上の地位にあるということだ。
偉大なるL(グレーテル)「貴様ら一体何を話している!?」
 俺にも分かるように説明しやがれ!と言わんばかりの偉大なるL(グレーテル)だった。
Hなる天使(ヘンゼル)「くすくすくすくす……」
 邪悪な笑みが不気味に響き渡る。


続

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