Eighter -Blindness Wizard-
57ther 〜閃光なる魔術師達(シャイニングウィザード) C〜



#5
韻麗(いんれ)緑光の偃月刃(リヒト・マイグリューン)!」
 萌の殺気もなんのその、緑色の閃光のチャクラムを飛ばす韻麗(いんれ)
冥時(みょうじ)萌「ハッ!絶氷突槍(ぜっひょうとっそう)!」
 ズドンッ
 地面から氷の刃が飛び出し、閃光のチャクラムを捕える。
韻麗(いんれ)「ぬな!?」
 それはまるで輪投げ……の逆パターンみたいな芸当だ。
韻麗(いんれ)「ならば、紫光の棘穿刃(リヒト・リーラ)!」
 紫色の閃光の槍を飛ばして萌を貫きにかかる韻麗(いんれ)
萌「転移衝(てんいしょう)!」
 ヴオンッ
韻麗(いんれ)「はっ!?……くっ」
 空間転移と同時に韻麗(いんれ)の背後に出現すると四刀を叩き込む萌。
 だが、韻麗(いんれ)も辛うじて四つの凶刃を受け止めて萌から距離をとる。
萌「貴様……さっきから巫山戯(ふざけ)ているのか!?」
韻麗(いんれ)「はて?!」
 すっとぼけているような韻麗(いんれ)にますます萌は憤慨する。
萌「あの程度で俺を殺せると思っているなら笑止!」
韻麗(いんれ)「いえいえ、私とてそんなことは思ってもいませんよ」
萌「だったらッ」
韻麗(いんれ)「折角手にした力ですから、アレコレ使ってみたくなるのは当然ということですよ」
 それが巫山戯(ふざけ)ているということだ。
 折角手にした召喚呪術(オモチャ)、それで遊ばずにはいられない。なんて子供じみた行動なのだろう……
萌「ならば、そこで好きなだけ遊んでいろ!」
 貴様に付き合っていられるほど、俺も暇ではないのだからなと、萌は四つの刀を突きつける。
韻麗(いんれ)「さて、遊びはこれまでにして、そろそろ死んでもらいましょうか?」
 ニヤリと笑みを浮かべているが、尋常じゃない殺気が放たれる。
 サイレントウィザードの一員として……更に大神の降真靈(こうしんりょう)の大願成就のためにも、与えられた責務は真っ当せね
ばならない。
韻麗(いんれ)(行きますよ……)
ヴォイヌ(よかろう)
 ここからが萌 VS 韻麗(いんれ)の本当の死合の始まりだ!
韻麗(いんれ)「孤高の剣鬼!裏の世界で名を馳せたその力、存分に見せてもらいます!」
萌「下らん……それに、俺は既に裏の世界から抜けた身」
 首を横に振りつつ萌は韻麗(いんれ)に向かって一足飛びにかかる。
 その次の瞬間、韻麗(いんれ)の姿が掻き消える。目にも止まらぬスピードで萌の周りを駆け抜けているのだ。

#6
萌(これが奴の力……いや、奴が言うところの召喚呪術の力ということか……)
 だが、たかがスピードが上がっただけで萌を倒せると思っているならば、笑止千万である。
韻麗(いんれ)藍光の五芒刃(リヒト・ドゥンケルブラオ)!」
萌「フン」
 青き閃光の刃が五つ、萌に迫るも、軽々とそれを回避して見せる萌。
韻麗(いんれ)緑光の偃月刃(リヒト・マイグリューン)!」
萌「下らん」
韻麗(いんれ)紫光の棘穿刃(リヒト・リーラ)!」
萌「無駄だ!」
 続けて緑色の光のチャクラムに紫色の光の槍を飛ばすが、しかし、それらも悉く回避される。
韻麗(いんれ)朱光の双烈刃(リヒト・ツィノーバーロート)!」
萌「その程度か?」
 更に赤き閃光の双刃で挟み込みにかかるも、あっさりと避けられる。
韻麗(いんれ)(馬鹿な……なぜこうも……)
 嬉々として召喚呪術を使ってみたのはいいが、これでは仏門獄曼掌(ぶつもんごくまんしょう)を使っていた方がよかったのではないか……
という疑念が頭を過ぎる。
 そんな韻麗(いんれ)のふとした疑念……それはほんの僅かな時間に過ぎなかったが、しかし、それは大きな隙となった。
 そして、その隙を見逃すほど萌も馬鹿ではない。

#7
萌「ハッ!」
 転移衝(てんいしょう)を駆使して一気に間合いを詰めるや否や邪悪な剣圧で韻麗(いんれ)を斬りつける。
萌「太乙煉無陣(たいいつれんぶじん)!」
 ズガアムッ
韻麗(いんれ)「ぐおお!?」
 直撃したかに思われたが、しかし、闇属性の攻撃だったのが災いしたのか、光属性の召喚呪術で身を固めた韻麗(いんれ)
にはあまり効果がないみたいだった。
韻麗(いんれ)(クッ……油断していたつもりはなかったのですが……これが孤高の剣鬼ということですか……)
萌「チッ」
 一方の萌も、今の一撃で決められなかったことを少し反省する。

韻麗(いんれ)「ならば、これはどうだッ!赤銅に輝く貂群禍(シャイネン・クップファー・マルダァ)!」
 赤銅色に光り輝く貂の大群が萌に襲い掛かる
萌「なめるなッ!天蓬紅蓮陣(てんぽうぐれんじん)!」
 ズバシュアアアッ
 四つの刀を振るうと同時に闇が迸り、貂の大群を包み込んでは焼き尽くす。
韻麗(いんれ)(なっ、馬鹿なッ!?)
 今の大技なら少なからず萌にダメージを与えることができたと思っていた韻麗(いんれ)にとって、この結果は予想だにし
なかった。
韻麗(いんれ)(だが……)
 未だにぐるぐる萌の周りを高速移動している韻麗(いんれ)。相手が自分の位置を捕捉できていないことは最大のアドバン
テージだと考え、更に動き続ける。
韻麗(いんれ)「更に、これはどうだッ!白銀なる反射光の狐軍襲(レフレクスィオーン・ズィルバーン・フクス)!」
 銀光で出来た九尾の狐を萌にけしかけ圧し潰しにかかる
萌「下らん……宗動歳破陣(そうどうさいはじん)」
 カカッ
 だが、しかし、黒い光が走ったかと思うと、銀光で出来た九尾の狐が両断される。
韻麗(いんれ)「何だと!?」
萌「もう少し力をつけて出直して来い!」
 更に韻麗(いんれ)を一睨み。
韻麗(いんれ)「なっ!?」
 まさか自分の位置を既に捕捉していた!?と驚愕が覚めぬ間に、身動きが取れなくなっていることに気づく
韻麗(いんれ)「こ、これはッ!?」
 それは殺気により相手の動きを封じる萌の持ち技、殺眼剣鎖(さつがんけんさ)だ!
 そして、身動きがとれなくなった韻麗(いんれ)に悠々と歩み寄る萌
韻麗(いんれ)「うっ……」
萌「終わりだ!」
 そして無情に振り下ろされる四つの刃。
 韻麗(いんれ)も萌の前に沈み、呪装四天王は全て砕け散ったのであった。
※終わってみればみんな消化試合だったのでは!?とは言わないで……


END

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