Eighter -Blindness Wizard-
52nder 〜激務(アーデュアス)の果ての陥落 B〜



#3
 ウェステリア VS ルキ、ここに決着!
 シレントワイザード、七罪塔(しちざいとう)の前に堕つ!
ルシュファー「そうだ!七元徳(ななげんとく)っていうからには、他にもあるよね?」
 これまでシレントワイザードが使った七元徳(ななげんとく)は全部で五つ。つまり、まだ二つのこっているということだ。
 そして、最大の脅威?であるウェステリアが敗北した今、慌てずゆっくりとしていけばいい。
 そう考えてルキは再びウェステリアへと手を伸ばすのであった
ミーコ(仰せの通りに……)
 バッ
ルシュファー「なっ!?」
 だが、次の瞬間、ウェステリアがルキを飛び越えて距離を置く
ルシュファー「馬鹿な、奴はッ」
ウェステリア「……」
 改めてウェステリアを見てみると、虚ろな表情のままだ。つまり、ウェステリア本人は気絶している状態だ
 それなのにどうして、ウェステリアは動くことができたのか!?
ルシュファー「あぁ、そうか、そういうことか……」
 しかし、すぐさまその原因に気が付くルキ。
 ウェステリアは今魔導書娘と融合?している状態だ。であれば、意識のないウェステリアを魔導書娘が動かして
いてもなんら不思議はない
※いや、不思議じゃない?
ルシュファー「主人に代わって君が死合うと?健気だねぇ……」
 だが、今更何をしても無駄だよ……とルキは悪い笑みを浮かべる
ウェステリア「唸る鉄刃(アイゼン・シュトーネン)!」
 ゴアッ
 一気に間合いを詰めて両断にかかるウェステリア
ルシュファー「転静曦禍(てんじょうぎか)!」
 ガアンッ
 しかし、今までと同じようにその凶刃を祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)で受け止めるルキ
ルシュファー「無駄無……」
 ズズズッ
ルシュファー「なっ!?」
 祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)が、押し返される。まさかの光景に驚きを隠せないルキ。
 なぜ?と疑問が出てくるが、しかし、それもまたすぐに氷解する。いまのウェステリアは傲慢の塊のような本人
ではなく、魔導書娘が操っている傀儡のようなもの。
 そして、魔導書娘に驕りはなかった。
ルシュファー「全く、意識がない方が厄介とか、つくづく巫山戯(ふざけ)ているわね」
 毒づいても始まらない。
 気を引き締め直して、もう一度ウェステリアを、今度こそ完膚なきまでに叩き潰す覚悟を決めるルキなのであっ
た。

#4
ウェステリア「夢幻の鉄刃(アイゼン・エルシャイノン)!」
 ゴガガガガガガガガガッ
 無数の刃の幻影がルキに迫る
ルシュファー「全く、面倒くさいわね……」
 しかし、ルキは幻影の刃には目もくれず、本命の刃に祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)を叩きつける
ウェステリア「……」
ルシュファー「どうして?って顔をしているわね……ふふん、私にそんなものは通用しないのよ!」
 人間如きを惑わす攻撃に、人間を弄び操る存在がひっかかるわけがないのだ。
 その後、しばらく激しい鍔迫り合いが繰り広げられ、ウェステリアも意識を取り戻す
ウェステリア(あまり、出しゃばった真似をするなよ!)
ミーコ(仰せの通りに……)
ルシュファー「どうやら意識が戻ったみたいだね」
 意識がない方が脅威だったために、ウェステリアの意識が戻った今、ルキは余裕を取り戻した
ウェステリア「てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか!あぁ!?」
ルシュファー「いいよ、その喧嘩買ってあげるよ!」
ウェステリア「ハッ!煌烈の鉄刃(アイゼン・フォンケル)!」
 カカッ
ルシュファー「転静曦禍(てんじょうぎか)!」
 ドドッ
 閃光……は転静曦禍(てんじょうぎか)の前に掻き消され、ハルバードの十文字斬りの軌跡が丸見えとなる。
 そんな見え透いた刃にルキが負けるわけもなく、祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)で打ち返すルキだったが、一撃目は防ぐこ
とができたのだが、二撃目は防ぎきることができなかった
ルシュファー「ぐっ、何!?」
ウェステリア「てめぇの猛攻も、ここまでだ!」
 ソレは傲慢と謙虚の融合
※いや、思考と反射の融合じゃないんだから……
ウェステリア「ハッ、七元徳(ななげんとく)、《深愛(アガペー)》、サンダルフォン」
 ガシッ
 USBメモリ、もとい、七元徳(ななげんとく)を突き出すも、それを受け止めるルキ
ルシュファー「無駄なんだよ」
 漸く手にした好機。すぐさま解析を開始する
ルシュファー「なっ、馬鹿なッ!?……これはッ!?」
 しかし、解析した瞬間、驚愕に目を剥くルキ
ルシュファー「ではっ、まさかッ!?」
 一体ルキは七元徳(ななげんとく)を解析して何を知ったのか!?
 そして、そんな隙だらけのルキを見逃すほどウェステリアも馬鹿ではない
ウェステリア「七元徳(ななげんとく)、《勇気(アンドレイア)》、ガブリエル」
 ガシャゴッ
 ついに、ルキの首に突き刺さるUSBメモリ、もとい七元徳(ななげんとく)

#5
 ガクガクと小刻みに震えだすルキ
ルシュファー「……triGon0、OS初期設定プログラムを開始します……この度は場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)七罪塔(しちざいとう)をご利
用いただき誠にありがとうございます。メインメニューです……」
 抑揚のないシステムボイスで突如喋りだすルキ。
 こうして、ルキもまたシレントワイザードの前に陥落する
ウェステリア「フッ、一足遅かったな!」
 ウェステリアがそう叫ぶのも無理はない。
 漸くかんながここへ登場したが、時すでに遅しという状況だ。
白拍子かんな「ですが、ここで破壊できればこちらの勝ちです」
ウェステリア「馬鹿か!てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか!」
 だが、今、ここでウェステリアがかんなと死合う道理などない。
 再々の黄門(リレミト)を使いその場から消え去るウェステリアであった
※例によって例の如く、ドキエルは放置。酷い……

(かみ)総介「チッ、遅かったか……」
 その後、総介らも合流するが、悲しそうなかんなを見て全てを悟った。
総介「最早この場にいる意味がない……帰るぞ!」
 そして、一行は佐野SA(サービスエリア)を後にする。
 ちなみに、その後、佐野SA(サービスエリア)ではギャクテン・フーズの社員ではなく、料理を専門で行うドールが配備されること
になったという。


END

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