Eighter -Blindness Wizard-
51ster 〜役務(サービス)の果ての過労 D〜



#7
 ドキエルが梶太郎と死合っている頃(と、いうか、それよりも暫く時間は遡るのだが……)、ウェステリアは一
人七罪塔(しちざいとう)を追って佐野SA(サービスエリア)の従業員が立てこもっているエリアへと乗り込んでいた。
 ズドオオンッ
*「な、なんだぁ!?」
 突如入り口が破られ、ハルバードを構えた一人の男が乱入してきて、ギャクテン・フーズの面々は驚きのあまり
その場で固まった。
ウェステリア「あぁ、てめぇら、喧嘩売ってんのか!」
一同「え!?いや……」
無藤正樹(せいじゅ)「な、お前は、一体……」
*「総務部長、危険です!」
 ハルバードを持っている奴がマトモな人間なわけない!
 だが、それでも元とは言え総務部長である自分がみんなを守らなければならない。そう考えて正樹(せいじゅ)は立ち上がっ
た
ウェステリア「雑魚は引っ込んでろ!」
正樹(せいじゅ)「お前は、まさかあのクソ社長の?!」
ウェステリア「クソ社長だぁ!?てめぇ、喧嘩売ってんのか!あぁ!?」
*「やっぱりクソ社長とは関係がないのでは!?」
*「いや、そうと見せかけて……ということもあり得る」
*「あのクソ社長のことです、組織の手のものとかいう設定でハルバード持たせて乗り込んできたって可能性も」
*「確かに、ありえない話ではないですな。社長に命じられてバトルの時間ですってことなのかも……」
正樹(せいじゅ)「いや、ありえない話だと思うが……」
 お前らも大丈夫か?って呆れる正樹(せいじゅ)。
ウェステリア「ごちゃごちゃ五月蠅ぇわッ」
 ドカアンッ
 怒り任せに近くにいた社員を吹っ飛ばすウェステリア
正樹(せいじゅ)「なっ、貴様、よくもウチの大事な社員を……」
ウェステリア「ハッハッハッハ!てめぇんトコには子供の社員がいるのか!?」
一同「子供ぉ!?」
 そうして、一行が振り向くと、そこには吹っ飛ばされた社員の姿はなく、一人の少女が立っていた。
 いや、ソレは少女というにはあまりに(おぞ)ましく感じられた
ルシュファー「やっぱり、誤魔化すことはできないわね……」
ウェステリア「とっとと死ね!……いや、死ななくていいから俺の前に屈服しろ!」
ルシュファー「巫山戯(ふざけ)るなよ、人間(パーツ)如きが!祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)!」
 両手を天にかざして攻撃用場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)を召喚するルキ。
 かくてウェステリアとルキの死合は始まった。

#8
ウェステリア「おらっ!喧しい鉄刃(アイゼン・ラゥト)!」
 ゴギャアアンッ
ルシュファー「無駄無駄、転静曦禍(てんじょうぎか)!」
 轟音とともに迫る斬撃は、しかし、ルキの眼前で突如掻き消える。
 転静曦禍(てんじょうぎか)とは驕りを持った相手の技を無効化する傲慢な奥義なのだ。
 いつも誰彼構わず喧嘩売ってるような、傲慢の塊みたいなウェステリアにとって、それは最悪の相性だった。
ウェステリア「卑怯くせぇ、てめぇ俺に喧嘩売ってんのか!」
ルシュファー「そっちこそ、人間(パーツ)風情が七罪塔(しちざいとう)に喧嘩を売るなんて笑止千万だよ」
*「そ、総務部長、い、一体何が起きているんですか!?」
正樹(せいじゅ)「わ、分からん……」
 その場に居合わせたギャクテン・フーズの社員は唐突に始まった死合についていけない
※いや、寧ろついていけちゃったらそっちの方が問題なので当然ですが
ウェステリア「夢幻の鉄刃(アイゼン・エルシャイノン)!」
 ゴガガガガガガガガッ
 無数の刃の幻影がルキに迫る。しかし、ルキは余裕でそれを無効化して見せる
ルシュファー「転静曦禍(てんじょうぎか)!……人間(パーツ)如きが、無駄だって分からないのかな?」
ウェステリア「うるせぇ!てめぇこそ、人間の力をなめるなよ!」
 とは言え、このままでは埒が明かない。
 そう考えてウェステリアは一足飛びにかかりルキにハルバードを振り下ろす
ルシュファー「だから、無駄だって」
 ガキンッ
 しかし、ハルバードはルキには届かない。祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)が凶刃を全て受け止めるからだ。
ウェステリア(クソがッ!)
 そして、もうひとつ、ウェステリアは内心焦っていた。
 呪装四天王の中でただ一人、七罪塔(しちざいとう)を陥落させていないのが彼一人だからである。
 さらに言うならば、七罪塔(しちざいとう)はもはやルキのみ。故に何としてでもルキを陥落させて凱旋しなければならない。
 しかし、焦りは油断へと繋がる
 ガアンッ
ウェステリア「くっ!?」
 一瞬の隙をつかれ、ハルバードを祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)で弾き飛ばされるウェステリア
ルシュファー「人間(パーツ)風情が、七罪塔(しちざいとう)に歯向かう愚かさを知れ!」

#9
 そして、振り下ろされる凶刃
ウェステリア「赤の絶壁(レッドクリフ)」
 ガアンッ
 咄嗟に魔導障壁を展開し、ルキの凶刃を防ぐウェステリア
ウェステリア(ミーコ!)
ミーコ(仰せの通りに……)
 しゅるしゅるしゅる
 ウェステリアがミーコを怒鳴りつける感じで叫ぶと、諦めたかのような感じでミーコはウェステリアにハルバー
ドを飛び戻す
ウェステリア「煌烈の鉄刃(アイゼン・フォンケル)!」
 カカッ
 閃光でルキを怯ませる。と、同時に十字に斬撃を繰り出すウェステリア
ルシュファー「転静曦禍(てんじょうぎか)!」
 ルキはまず、閃光を掻き消してウェステリアを丸裸にすると同時に迫る凶刃を祝福無き強いる義務(ノーブレス・オブリージュ)にて受け止め
る。
ルシュファー「今のは少しだけ面白かったよ」
 でも、残念だったね?と言わんばかりにハルバードを押し返すルキ。
 ズダンッ
ウェステリア「げはっ!?」
 更に追撃。吹っ飛ばされたウェステリアはそのまま壁に激突し、意識を失いかける。
ルシュファー「人間(パーツ)風情はそこで這い(つくば)っているのがお似合いよね?」
 ウェステリア VS ルシュファー、ここに決着す?!


END

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