Eighter -Blindness Wizard-
51ster 〜役務(サービス)の果ての過労 C〜



#5
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おっしゃあ!早速あいつをぶちのめしにいこうぜぇ!」
 右拳を左掌に叩きつけながら梶太郎(かぢだろう)が嬉々としてか語る。
ドキエル「はぁ、いい加減お前らしつこいわ!」
 うんざりした様子のドキエルであった。
白拍子かんな「ここは任せていいですよね?」
 梶太郎(かぢだろう)がドキエルに挑もうとするよりも先に、かんなが神滅超越者(ラグナロクエクセル)を手に駆け抜けていく
梓與鷹(よたか)「あ、ああ、いいんじゃないかって、もう行っちゃったし……」
(かみ)総介「チッ、事態はそれほどまでに急を要するってことだ!」
ドキエル「ウェステリア様の邪魔はさせないッ」
梶太郎(かぢだろう)「おいおい、てめぇの相手は俺だぜ!」
 ガアンッ
 今回は既に我が元に帰れ(ヴォレーゲン)済みで、召喚呪術も使用済みなドキエル。
 そんなドキエルに拳を見舞うのだが、風の刃の鉤棍(トンファー)梶太郎(かぢだろう)の拳を防ぐ。
 そして、その隙にかんなは佐野SA(サービスエリア)で従業員がストライキを行っているエリアへと走り去る。
與鷹(よたか)「なっ、まさか、そういうことかッ!」
総介「そうだ、今回俺たちは出遅れた……最悪なことにな……」
ドキエル「フッ、一歩どころか二歩三歩ほど遅かったようだな!」
 こうなったらあとはかんなに全てを託すしかない。こちらとしてもドキエルをぶちのめして早くかんなの加勢に
いきたいところなのだが、そう簡単にはいかせてはくれないのだろう。
梶太郎(かぢだろう)「ごちゃごちゃと五月蠅ぇ!てめぇの相手は俺だっての!」
 ガンガンッ
 何度か殴りかかっている梶太郎(かぢだろう)ではあるが、その拳がドキエルには届かない。
ドキエル「とりあえず、てめぇは黙ってそこで潰れてろ!圧壊せし風刃(ルフト・ドルック)!」
梶太郎(かぢだろう)「ハッ、巫山戯(ふざけ)んなよ!銀號懺月(ぎんこうざんげつ)!」
 ガオオンッ
 風の塊が落ちてくるような圧迫感をもって梶太郎(かぢだろう)を叩き潰そうとするドキエルだが、梶太郎(かぢだろう)は虎の咆哮と見紛う
衝撃波でこれを相殺
ドキエル「うっそ!?」
 今回はドキエルの方が相性が悪いようだった
梶太郎(かぢだろう)「おらあっ!極彩虎襲(ごくさいこしゅう)!」
 ドドドドドドドドドドッ
 そのまま拳打の嵐を見舞う梶太郎(かぢだろう)
ドキエル「ぐっ……」
 風の刃を纏った鉤棍(トンファー)を盾の代わりに梶太郎(かぢだろう)の拳打を受け流しているドキエルだが、それもだんだん苦しくなって
くる。

#6
梶太郎(かぢだろう)「うおおおああっ!」
 どかどかどかどかっ
 梶太郎(かぢだろう)は空気を殴ってドキエルを攻撃している。
 一体どういうこと?と思う人もいるだろうが、要するに拳圧でドキエルを殴っているという意味だ。
 風の刃が揺らぐ。もはや盾としての機能をはたしていない。
ドキエル「てめぇ」
梶太郎(かぢだろう)「どうした、どうしたぁ!」
ドキエル「調子にのるなぁああッ」
 ゴアアアアッ
梶太郎(かぢだろう)「うっく……」
 ドキエルの怒りに呼応するように風が吹き荒れる。
ドキエル「空襲せし飛燕(ヒンメル・シュワルベ)!」
 ズドドドドドッ
 風の刃を雨を予期する燕のごとく低空飛行で梶太郎(かぢだろう)にぶっぱなす
梶太郎(かぢだろう)(まずは足元からってことかよ……なめるなよ!)
梶太郎(かぢだろう)銀號懺月(ぎんこうざんげつ)!」
 ドゴオオンンッ
 地面に向かって衝撃波を放つ。
ドキエル「ぬなっ!?」
 衝撃波が砂ぼこりを巻き込み梶太郎(かぢだろう)を中心に同心円状に広がりドキエルが放った風の刃を打ち砕く。
※ちなみに梶太郎(かぢだろう)は既に虎伏絶掌(こふくぜっしょう)を使用済みです。(いつの間に!?)あとは絶好調になるのを待つばかりだ
ドキエル「ならばッ!暴風の鷲撃刃(シュツルム・アードラー)梶太郎(かぢだろう)「ハッどうした!何も起きねぇぞ!」
 しかし、何か起きているようには見えない。
ドキエル「死ね!」
 その直後、上空から一気に下降する風の刃の群れ
梶太郎(かぢだろう)「くっそ、そういうことかよッ銀號懺月(ぎんこうざんげつ)!」
 ゴアアッ
 バスバスッ
 咄嗟に上空に向かって虎の咆哮の如き衝撃波を放つも、時すでに遅し、いくつかの風の刃が梶太郎(かぢだろう)に襲い掛かる
ドキエル「終わりだ!」
 さらにこの機を逃さないドキエルではない。風の刃を纏った鉤棍(トンファー)で一気に殴りかかる
梶太郎(かぢだろう)「なめるなッ金鯱流楼(きんこるろう)!」
 ゴドガガガガッ
 しかし、流れる水の如く華麗な動きでドキエルを翻弄し拳打の嵐を見舞う。
ドキエル「おごごごがああ!?」
 最終的に油断したのはドキエルの方だった。
 梶太郎(かぢだろう)の拳打すべてがドキエルを捕え、ここにドキエルと梶太郎(かぢだろう)の死合は幕を閉じた。
ドキエル「ウェステリア様、申し訳ありま……」
 ガクリ
総介「急ぐぞ!」
與鷹(よたか)「お、おう」
 果たして、かんなは間に合っているのだろうか!?


続

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