Eighter -Blindness Wizard-
49ther 〜奇妙な同居の秘密 A〜



#0
 あなたはそこにいますか?……じゃなかった、自分がもう一人いたら?と考えたことはありますか?
 これは、ある決意を胸に、自分を半分に分割した女の物語
 そして、その背後にあるのは、とあるオーパーツである

#1
 東京、東京留置署前
*「たった今、覚醒剤取締法違反の疑いで投獄されていた後田寿樹(うしろだ・じゅじゅ)被告が保釈されたようです」
 その日、一人の犯罪者が世に解き放たれた。

 数日後、東京郊外のとある屋敷にて
 そこには嘉駕(かが)吉貴、馬帆の夫婦が暮らしていた。この家はいわゆる逆亭主関白の家庭で吉貴は妻の馬帆に頭が上
がらずにいた
※いや、逆亭主関白って言わずに(かかあ)天下って言えばいいのでは?!
嘉駕(かが)馬帆「今日から我が家のルールを少し変えましょう」
嘉駕(かが)吉貴「な、なんだって!?」
 突然の宣言に驚きを隠せない吉貴
馬帆「まずこの床を見てください」
吉貴「は、はぁ……」
 言われるがまま床を見てみるとビニールテープが張ってあった
吉貴「これは!?」
馬帆「今日からアナタはこの家でこのビニールテープを超えて活動してはいけません」
吉貴「いえぇ!?」
 イキナリそんなことを言われて納得できるわけがない。
馬帆「もしこのルールを守れないのであれば、今後一切私の友人と遊ぶことを禁じます」
吉貴「ぬっ、ぬぐっ!?」
 そういわれれば、従わざるを得ない。
 実はこの吉貴という男、学生時代に七股かけたプレイボーイであり、今はそのうちの一人と結婚しているわけだ
が、学生時代の経験を忘れられず今でも定期的に残りの六人と浮気をしているのである。
 と、言うかぶっちゃけると日々女をとっかえひっかえしているのである。
 そして、浮気を容認する条件として妻の言うことは絶対であり、決して逆らわないことを誓わされたのだ
 気分は一夫多妻制だが、怪訝しな夫婦である。
 そして、その日を境に家のルール改定はどんどん進んでいった
馬帆「あなた、今日からあなたの使っていた布団は没収するわね?」
吉貴「何ぃ!?」
馬帆「あぁ、居間も進入禁止区域にしたからよろしくね」
吉貴「え!?じゃ、俺TV見たいときはどうすれば!?」
馬帆「ワンセグがあるでしょ?」
吉貴「……」
馬帆「あなたの部屋にあった照明は没収しましたので」
吉貴「ちょちょちょ、明かりも無くてどう過ごせと!?」
馬帆「昔の人は蛍の光で読書をしたっていうじゃない?」
吉貴「いやいやいやいや……」
馬帆「あなた、今の給料じゃ生活が厳しいからもっと稼いできてちょうだい」
吉貴「そんな無茶な……」

#2
 だが、流石にここまでくると吉貴も妻の無茶ぶりに腹が立ってきた。
 今までは妻の友人六人を相手に嬲るようなプレイをして鬱憤を晴らしてきたが、それも我慢の限界である
※いや、鬱憤の晴らし方もおかしいけど
 そして吉貴は探偵を雇って妻の素行を調査してみたのであった。

 数日後、吉貴は妻の素行調査の結果を確認するために都内にある啄木鳥探偵事務所を訪れていた
*「奥さんはどうやら浮気をしているようですね」
 開口一番そんなことを言うのは吉貴が依頼した探偵、武田権三郎である。
吉貴「そうか……」
 自分が好き放題浮気している身なので強くは言えない吉貴なのであった。完全に自業自得である。
武田権三郎「奥さんは双子の姉妹と一緒に」
吉貴「ちょ、待てよ!」
 いきなり聞き捨てならない単語が出てきて思わず報告を中断させる吉貴。
 思わずホ〇の物まねですか?とか聞いてくるが今はそんな場合ではない
権三郎「何でしょうか?」
吉貴「双子ってなんだよ、あいつに姉妹なんていない!」
権三郎「え!?ですが、双子の姉妹だと……」
 双子の姉妹だったら学生時代にもろとも食ってると豪語するある意味最低な男。それが吉貴だ。
権三郎「ともかく、話は最後まで聞いてください」
吉貴「は、はぁ……」
 そして、驚くべきことが明らかになった。
 妻の浮気相手はなんと、最近保釈されたあの後田寿樹(うしろだ・じゅじゅ)だったのである。
吉貴「な、なんだって!?」
 妻が犯罪者を匿っているなどという事実に、思わず声を荒げてしまう吉貴なのであった。
吉貴「頼む、引き続き、奴のことを探ってくれ!俺は俺の方法で妻に問いただす」
権三郎「わ、わかりました。では引き続き素行調査を継続いたします」
 そして、吉貴は探偵事務所を後にすると、まずはウナギを食いに行き、亜鉛サプリをガリガリと噛み砕き、マム
シドリンクやバイアグラを摂取して妻の尋問へ取り掛かるのであった。
※いや、尋問ってソレなんですか!?

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