Eighter -Blindness Wizard-
48ther 〜魔眼輝く憤怒の花 B〜



#3
冥時(みょうじ)萌(チッ、あの小娘、まだ力を隠しているな……)
シャイターン(クッ、《キツネザルの使途》を殲滅するための手駒にうってつけだって思っていたからこそのこの
力……厄介ね……)
 何度か技を打ち合い、そして、お互いに対峙したまま、睨みを利かせる両雄。
 その時、萌の深層心理に語り掛ける声があった。
 萌に葬り去られたはずの破弄廻理首(ハロエリス)である
破弄廻理首(ハロエリス)(困っているようなら、力を貸してあげようか?)
萌(要らん!)
破弄廻理首(ハロエリス)(だが、このまま死合を続けても、汝が勝てるとは思えないが……)
萌(ハッ、だが、この俺が負けるとも思えんな!)
 それは、つまり、相打ちになるということに聞こえるのだが、そうではないのだろうか?
破弄廻理首(ハロエリス)(まぁ、いいだろう。我は汝の手により葬られた身なれば……)
萌(神も死んで化けて出てくるなんてことがあるんだな……)
破弄廻理首(ハロエリス)(それは違うぞ、我が息子よ)
萌(次ソレいったら殺す!)
 萌の言葉に恐れをなしたわけではないだろうが、それ以降破弄廻理首(ハロエリス)の声は再び聞こえなくなった。
※ちなみに、神は死んでもいずれ復活するので、化けて出るなんてことはないです
萌「コレならどうだ!六壬移臠陣(りくじんいれんじん)!」
 きゅおっ
 突如萌の姿が消えたと、思った次の瞬間にはサタンの背後に出現、そのまま四つの刀をもってして斬りかかる
シャイターン「巫山戯(ふざけ)るなよ!戟焚光刈(げきふんこうがい)!」
 振り向きざまに至近距離からの怒りの刃二連。
シャイターン「何!?」
 しかし、斬撃が萌に到達するよりも前に、萌の姿がまた消える。と、同時に再びサタンの背後に殺気
シャイターン「くっ、のおっ!」
 萌は斬撃を見舞うとともに再びその場から掻き消える。
 更にサタンを取り囲むように現れては斬撃を与えて消えるというヒットアンドアウェイの戦法でサタンを翻弄す
る。
シャイターン(これは素早く動いているわけではない。空間を転移している?!)
 そう、それこそが六壬移臠陣(りくじんいれんじん)。空間を転移してのヒットアンドアウェイで相手を切り刻むのがこの奥義の最大の
特徴なのだ。
シャイターン「ちょこまかとうざったい!」
 だが、それでも殺気で位置を把握できる。

#4
萌「ハアッ」
 何度目かの背後からの斬撃。
シャイターン「もう慣れたわ!」
 ガキンッ
 しかしそれを振り向きもせずに左右の怒れりて忌鋒冥(ヒューリウス・ジャバウォック)にて迫る凶刃を受け止めるサタン。
 ズガンッ
シャイターン「ぐっ……ぬぅ!?」
 そのとき、サタンの前方より迫る更に二つの凶刃。
 萌を押し戻すように後ろに倒れこむことで辛うじて直撃を回避するサタン。
シャイターン「人間(パーツ)風情がッ!」
 何も四つの刀全部を同時に転移させるだけが奥義ではない。自身ともう二つの刀とで挟撃も可能なのだ。
シャイターン「貴様っ、やっぱり殺す!」
 ちょっと両手を負傷したことでこれ以上なく怒りに震えたサタンは思わず冥王の心臓を使用しかけて固まる。
シャイターン(しまった!もう冥王の心臓は使えない……)
 そして、その一瞬の隙は致命的な命取りとなった。
萌「ハッ天蓬紅蓮陣(てんぽうぐれんじん)」
 ゴバアアッ
 闇に包み込んでから炎で焼き斬ろうとする萌。
 サタンは自分の影に潜り込んで距離を置いてから再び出現することで難を逃れる。
萌「遅いわッ!宗動歳破陣(そうどうさいはじん)!」
 ズガムッ
 影から影へ移動するサタン。その気配を萌はなぜか察知することができた。そして、出現すると見た位置に対し
て黒い光の剣閃を放つ萌
シャイターン「ぐう、あがぁっ!?」
 この時、萌はサタンの左腕を斬り飛ばすことに成功した。
 長らく均衡していた戦況は、ここで遂に崩れる。
シャイターン「貴様ッ!人間(パーツ)風情が……図に乗るなぁあああっ!」
 サタンの怒りが、更に膨れ上がる。
萌「そろそろ貴様に引導を渡してやろう!」
 ビビビシっと四つの刀を突きつけて萌が叫ぶ
シャイターン「巫山戯(ふざけ)ないでよね!死ぬのはアンタの方よ!」
 ビシビシッ
 サタンの怒りに耐え切れなくなったのか怒れりて忌鋒冥(ヒューリウス・ジャバウォック)に亀裂が入っていく
シャイターン「もういい、アンタの天命(ネフェシュ)なんかいらない。ただただ死ね!戟焚光刈(げきふんこうがい)!」
萌「羅刹獄掌陣(らせつごくしょうじん)!」
 ガスッ
 魔眼、殺眼剣鎖(さつがんけんさ)錬魔操剣(れんまそうけん)、萌の持てる全てを駆使して繰り出した斬撃はサタンの手足を斬り飛ばす。
シャイターン「あっ、ああああ!?」
 そして、決着の時、来たる!


続

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