Eighter -Blindness Wizard-
41ster 〜深遠の嘘殺(きょさつ)黒蜥蜴 A〜



#0
 少女の嘘は世界を変えるというが、ならばオッサンの嘘は何を変えるのか!?
 これは、そんな……って、よく考えたら別に嘘なんて出てこない気がするけど……
※じゃ、なんなんだよ!この件!
 と、ともかく、物語(勝利)の鍵は黒蜥蜴だ!?

#1
 北海道、鶺鴒大学
 そこは『病みつきになる危なっかしさ』という定評を持つことで有名な大学だ。
※いや、それって鶺鴒(ワグテイル)じゃなくて、ワグナ〇アなのでは!?
 そんな変な大学に、人民服に身を包んだ謎の一行が現れた
*「なっ、アンタらは一体?!」
*「我々は中国政府直轄の特務機関、皇殉(こうじゅん)」
一同「ちゅ、中国政府直轄ぅ?……特務機関?!……皇潤んん?!」
※いや、その『こうじゅん』は違うから!
*「ここに袁宸汪(えん・じんおう)がいることは分かっている!」
*「隠すと日本が中国に喧嘩を売ったとして外交問題となるぞ」
一同「いやいやいや、大ごとすぎるでしょ、それ!」
 滅茶苦茶な発言にドン引きする鶺鴒大学の一員であった。
*「た、確かに(えん)教授はウチの大学にいますが……」
 一体彼に何の要件が?と一人が呟くと、皇殉(こうじゅん)の連中はこう告げる
*「詳細は語れん……だが、奴にはスパイ容疑がかかっている!」
一同「スパイ容疑!?」
 これまたトンでもない事態に一同は再び驚くのであった。
*「で、奴はどこだ!?」
*「あ、はい、彼なら昼食を……って、そういえば帰ってこないな……」
 既に時刻は13:00を過ぎている。12:15頃に出かけた(えん)教授だが、帰りが遅い気がする
*「ま、まさか、逃げたのか!?」
*「そういえば、今日は(えん)教授は珍しくギルターボでお出かけしていました」
*「な、なにぃ!?」
 昼食に行くだけなのにギルターボで出かけるなんて何か変だと驚きを隠せない一行。
*「おい、ちょっと待て、そのギルターボってのはなんだ?」
 そして、そんなギルターボという単語に全く心当たりがない皇殉(こうじゅん)の連中はすかさず聞き返す。
*「あぁ、(えん)教授は自分の愛車をそう呼んでいるんです」
 理由は知らんけど……と続ける鶺鴒大学の一員
※エンジン王にギルターボっておい!
*「チッ奴は俺たちが来ることを察知して逃げたのか……」

#2
*「もし、奴が帰ってきたら、我々から逃げることはできん!と伝えておけ!以上だ!」
一同「は、はぁ……」
 そう言い残すと皇殉(こうじゅん)の連中は慌ただしく去っていくのであった。
*「何だったんですかね?」
一同「知らん……」

 一方、北海道の某所にある(えん)教授の屋敷では……
*「あ、今屋敷から(えん)教授の娘、袁高藷(えん・こうしょ)さんが出てきました……」
 既に報道陣が家を取り囲んでいた。そして、一人の記者が図々しく?も彼女に問いかける。
*「父親のスパイ容疑に関して何か一言……」
袁高藷(えん・こうしょ)「もう、慣れたわ……」
 心なしかメガシンダ状態だ。
※そんなメガシンカみたいな言い回しで言わんでも……
 ちなみに、袁教授にスパイ容疑がかかったのは一度や二度ではない。最初の頃は青天の霹靂として大いに慌てて
報道陣の格好の餌食となっていたこともあったが、何度もこんなことが起こり、しかもそのたび証拠不十分で不起
訴となった今では、もはや対応もおざなりになおざりけりである。
*「そ、それは、どういう!?」
*「つまり、スパイ容疑を認めるということなのでしょうか?」
 高藷(こうしょ)が報道陣に辟易していると、更に家の中から別の男が出てくる。
*「あっ、今度は(えん)教授の息子、袁洲葎(えん・しゅうりつ)さんが出てきました」
*「何か一言お願いします」
袁洲葎(えん・しゅうりつ)「一言って言われても……あ、今のが一言ってころで、じゃあ!」
一同「いや、マテコラ!そんな一言があってたまるか!」
 あまりの一言に報道陣が怒り腰となる中、洲葎(しゅうりつ)高藷(こうしょ)の腕を掴んで叫ぶ
洲葎(しゅうりつ)「姉さん、早くここから逃げよう」
*「いや、逃げるのは無理だろ……」
洲葎(しゅうりつ)「そいつはどうかな!?」
 カカッ
一同「ぐわっ!?」
 洲葎(しゅうりつ)がニヤリと悪い笑みを浮かべると次の瞬間にはフラッシュバンをぶっぱなす。
 閃光が止んだ後、そこに姉弟の姿はなかった
一同「んなっ!?」
※なんでフラッシュバンなんて持ち歩いているんだ?
*「落ち着くんだ、こういう場合、報道陣の中に紛れ込んでやり過ごすのが一流(プロ)の怪盗のやり口だ!」
一同「た、確かに……」
 いや、あの姉弟は怪盗じゃねぇだろ!と突っ込むものはここにはいなかった。


続

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