Eighter -Blindness Wizard-
33rder 〜鬼剃りと女子高生 C〜



#5
山咲(やまざき)桜「警部……あれは?!」
(かみ)総介「分からん……」
 だが、人に友好的な神ではあるまい……と総介は直感的に悟った。
鴻延(こうえん)「さぁ、我に偉大なる力を貸したまえ!」
*「……」
 しかし、ソレは何も答えない。
茜瑙哭(セドナ)(黄色い衣を纏いし神性……)
鬥址偶襾(ツァトゥグア)(風を支配するもの……)
 そんな中、かんなんい力を貸す茜瑙哭(セドナ)と、総介に力を貸す鬥址偶襾(ツァトゥグア)だけが、その神の正体を見抜いた。
茜瑙哭(セドナ)鬥址偶襾(ツァトゥグア)(アレは……霸軼亨(ハストゥール)!)
総介(何!?)
白拍子かんな(霸軼亨(ハストゥール)……)
 霸軼亨(ハストゥール)……それは黶鬥甦(アザトース)世界の四大神の一柱で風を司るもの。《超過の星間を渡る疾風の闘神》の別名を持ち、
黶鬥甦(アザトース)世界の万物を空間転移させる能力を持つ。
 そして重要なことは霸軼亨(ハストゥール)は邪神であるということだ。
総介「チッ、厄介なことをしてくれやがって!」
鴻延(こうえん)「さぁ!名も知らぬ異世界の神よ!私にその御力を示すのです!」
 無知なのは怖い……何も知らない鴻延(こうえん)だけが無駄にはしゃいでいる。
霸軼亨(ハストゥール)「力を示せ……か……」
鴻延(こうえん)「はい。是非に!」
霸軼亨(ハストゥール)「よかろう」
 ゴヒュオッ
鴻延(こうえん)「おごがあ!?」
 突如鴻延(こうえん)目掛けて強風が吹き下ろされる。それは風というよりも、万物を押しつぶす風の壁……召喚呪術のイー
スを使って放つことができる圧壊せし風刃(ルフト・ドルック)にも似ていた。
 しかし、似ているだけで全くの別物だ。そもそも威力が違う。風を司る霸軼亨(ハストゥール)ならではの芸当である。
鴻延(こうえん)「なななっ、名も知らぬ神よぉお……ちちち、力ををおお見せつける相手はぁああ私ではなななくくく……」
 ぶちゅんっ
 嫌な音とともに、鴻延(こうえん)は呆気なく叩き潰された。
※まぁ、呼び出しておいて、名前も知らないんじゃ当然だよね……
総介「チッ、前よりも状況は悪いな……」
 あの時は召喚のために使ったアーティファクトがぶっ壊れたことで鬥址偶襾(ツァトゥグア)は元の世界に帰っていった。
 しかし、今回はおそらく、オーパーツはまだ壊れていないのだろう。召喚が持続している。
桜「それほど、今回のオーパーツが上等だったということでしょうか?」
総介「考えるのは後だ……」
かんな「えぇ……今はアレをどうするかが先決です……」
霸軼亨(ハストゥール)「次はお前たちが僕の相手をするというか?……面白い……」

#6
 相手は異世界の邪神……かつてマナウスで過初叨素(ヨグ=ソトース)と死合ったことがあるかんなだからこそ
それを相手するのは得策ではないということが分かる。
 しかし、相手が邪神だとしたら、こちらにいるのは運の女神である。
 かんなの超強運は異世界の邪神にすら通用する。
 パキャアッ
霸軼亨(ハストゥール)「ん?!」
 その時、遂に閑古鳥の啼く夜に(デザーテッド・ミッドナイト)に限界が訪れた。
※ちなみに、壊れた音がここまで響いたってことはないです。
 五つの閑古鳥の啼く夜に(デザーテッド・ミッドナイト)が砕け散ったことで霸軼亨(ハストゥール)をこの世界に留めておくことができなくなったのだ。
霸軼亨(ハストゥール)「……ふぅん……」
 ニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、霸軼亨(ハストゥール)はこの鵺帛主(ヤヌス)世界から消えるのであった。

総介「ふぅ……何とかなったか……」
 いや、今回も時間切れによって辛うじて助かったというのが正しい。
 しかし、こんな薄氷を歩む道もそう何度も続けられるわけでもあるまい。
総介(大神の降真靈(こうしんりょう)……つくづく厄介な組織だ……)
総介「行くぞ、山咲(やまざき)!」
桜「はい、警部!」

 かくて総介らは與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)が死合っている場所へと戻る。
梓與鷹(よたか)化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ハアッ!」
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「ウオオッ!」
 ドドスカッ
総介「そこまでだッ!」
與鷹(よたか)「総……」
梶太郎(かぢだろう)「あぁ!?」
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「フッ、笑止ッ!」
 我らを止められるのは鴻延(こうえん)様のみよ!と豪語するヨルダン王国コンビ
総介「ならば、一つ教えてやろう。その鴻延(こうえん)は自分が呼び出した異世界の神の手により死んだ!」
一同「なっ!?」
*「巫山戯(ふざけ)るなよッ!」
桜「でしたら、見れこればいいでしょう……」
 百聞は一見に如かず……とはこのことですよ?と桜は呟く。
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「……」
 ヨルダン王国コンビがジロリとDAを睨むと、睨まれたDAの一人は慌てて確認に出向く。
 少しするとその漢は慌てて戻ってくる。
*「た、大変です!夜灘(よるだん)様、端診(はしみて)様……ほ、本当に鴻延(こうえん)様がお亡くなりにッ!」
一同「な、なんだと!?」
 大神の降真靈(こうしんりょう)の高僧がこうも簡単に殺されたなどとなると、メンバーの動揺もまた凄まじい。

#7
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「フッ、フハハハ……フハハハッ!」
一同「夜灘(よるだん)様、端診(はしみて)様!?」
 その時、突如ヨルダン王国コンビが笑い出す。
 一体何事か!?と思っていると、ヨルダン王国コンビはこう続ける。
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「先程も言った通り我らを止められるのは鴻延(こうえん)様のみッ!」
総介「あぁ、だが、そいつも既に死んだ」
 だから、貴様らも退け!と総介は言うが……
夜灘(よるだん)端診(はしみて)「ならば、もはや我らを止めることができる奴はいないということだッ!」
與鷹(よたか)「え〜!?」
 そう来るか……って感じで頭を抱える與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)「いいぜぇ、そういうの……簡単でよぉ……」
 ゴキリと拳を鳴らしながら梶太郎(かぢだろう)は獰猛な笑みを浮かべる。
 さておき、もはや三人は止まらない。
総介「チッ……好きにしろ!」
梶太郎(かぢだろう)「おうよ!好きにさせてもらうぜ!行くぜぇ與鷹(よたか)ぁ!」
與鷹(よたか)「あ〜〜、もうわかったわかった……」
 と、なると、與鷹(よたか)も行動を共にするしかない……
 かくて、ヨルダン王国コンビと與鷹(よたか)梶太郎(かぢだろう)の水と油のコンビとの最終決戦の幕が上がる。


END

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