Eighter -Blindness Wizard-
28ther 〜位階なき嫉妬と徳 D〜



#7
レヴィアタン「無駄なんだよ、人間(パーツ)!」
エランドラ「な、なんだとぉ!?」
 バキバキバキッ
 冥王の心臓を駆使してパワーアップしているレヴィアが拳に力を籠めると、本来物質ではないはずの炎の刃が砕
け行く。
セラ(準備は出来ています)
 セラのその合図を受けて、エランドラは右の炎の大剣を手放す。と、同時にUSBメモリのようなものを手に取り
叫ぶ。
エランドラ「七元徳(ななげんとく)、《知恵(プロネシス)》のラファエル」
 レヴィアの首筋に迫るUSBメモリ、もとい、七元徳(ななげんとく)。
レヴィアタン「シェオルフィールド!」
 咄嗟に冥王の心臓の機能の一つである防御壁を展開してそれを駆使しようとするレヴィア。
 しかし……
 ガシャコッ
レヴィアタン「なっ!?」
 防御壁など最初から存在しなかったかのように、USBメモリ、もとい七元徳(ななげんとく)はレヴィアの首筋に突き刺さる。
レヴィアタン「馬鹿na……naんでこんna……人間(パーツ)風情がこんnaモノを?!」
 かつてビュートがそうだったように、レヴィアもガクガクと小刻みに震えだす。
 やがて、レヴィアは死んだ目で、抑揚のない声でこう呟く。
レヴィアタン「……triGon0、OS初期設定プログラムを開始します……この度は場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)七罪塔(しちざいとう)をご利
用いただき誠にありがとうございます。メインメニューです……」
 それは、ビュートに続き、レヴィアもまた、シレントワイザードの前に陥落した瞬間だった。
エランドラ「ふぅ、どうにかなったな……」
 ドカリとその場に尻もちをつくような感じで座り込むエランドラ。
 さしものエランドラも、今回ばかりは少しきつかったようだ。
エランドラ「だが、まぁ、これでシレントワイザードの大願成就への道は一歩進んだってわけだ!」
セラ「着実に前に進めるような感じで、準備は出来ています」
 戦闘が終わり、エランドラを守る必要もなくなったため、セラは再び魔導書娘の姿をとっていた。
エランドラ「おし、少し休憩したら、帰るか!」
セラ「はい、いつでも準備は出来ています」
 自分一人で帰ろうとするエランドラ。部下のフキエルのことをすっかり忘れている限り、やはり、馬鹿なもかも
しれないのであった。
※なお、フキエルはその後、自力で帰りました。
 また、かれんがそこへたどり着いた頃には、既にエランドラは帰った後だったりする。

#8
 一方、ラティオテクノロジー本社、屋上
アマイモン「何だと、馬鹿なッ!?」
 冥王の心臓を使うために、早くあっちの決着がつくのを待っていたアモンだったが、突如レヴィアの音信が途絶
えたことで事態は急変した。
アマイモン(人間(パーツ)風情の前に、またしても我らが屈したとでもいうのか!?……馬鹿な、ありえないッ!)
アマイモン「くそっ、残念だが、今回はここまでだ!《キツネザルの使途》……次こそは貴様を殺す!」
 そんな捨て台詞を残し、アモンは自分の影に飲まれるように、その場から姿を消すのであった。
白拍子かんな「……」

ドキエル「ここかッ!」
 ぜ〜は〜ぜ〜は〜と息を切らしながら、ドキエルが屋上へやってくる。
 しかし、既に遅い
かんな「もう、遅いですよ」
ドキエル「クソッ……」
 やってくれるぜ、とギギリと歯ぎしりするドキエル。
かんな「次はあなたが相手をしますか?」
 神滅超越者(ラグナロクエクセル)をつきつけて、かんなが問う
ドキエル「冗談じゃねぇぜっての……」
 総介に勝ったものの、このまま連戦ができるほどの余力もない。ドキエルは(きびす)を返すとウェステリアの元へと急
いで走るのだった。
 そして、かんなもまた、優雅に與鷹(よたか)らがいる場所へと戻るのであった。

ドキエル「はっ、ウェステリア様!?」
 與鷹(よたか)の前に敗北を喫したウェステリアのもとに駆け付けるとゆさりゆさりとウェステリアを揺さぶるドキエル
ウェステリア「あぁ?てめぇ、俺に喧嘩売ってんのか!」
ドキエル「いや、そんなこと言ってる場合じゃないですよ、任務失敗ですよ……」
ウェステリア「チッ、クソがッ!」
 ドカンと床に拳を叩きつけるウェステリア
ウェステリア「貴様ら、次はこうはいかんぞ!再々の黄門(リレミト)」
 カカッ
一同「くっ……」
 閃光とともに、ウェステリア、ドキエル(と、彼らの魔導書娘)は姿を消すのであった。
オリフィー・エルノア「こここ、こんな、こんなこと……」
 一連の出来事に度肝を抜かれたオリフィーは力なくその場に尻もちをつく。
梓與鷹(よたか)「……まぁ、気持ちは分からんでもないが……」
 與鷹(よたか)も思わず同情する。

#9
與鷹(よたか)「それはそうと、総、そろそろ教えてもらうぞ」
 一段落したため、先ほど総介が知らせなかったことについて與鷹(よたか)が問う。
(かみ)総介「……フン、いいだろう……」
 そして総介は語る、株式会社センサスでも七罪塔(しちざいとう)が暗躍をしていることを突き止めた総介だったが與鷹(よたか)がラティ
オテクノロジーにいると知るや否やラティオテクノロジーへやってきたのだという。
與鷹(よたか)「なっ、総、じゃあ、お前まさか、株式会社センサスを見捨ててこっちに来たっていうのか!?」
総介「二兎を追う者は一兎をも得ず!」
與鷹(よたか)「総ッ!」
 そういうことじゃない!と與鷹(よたか)は総介に詰め寄るも、総介は悪びれずに與鷹(よたか)を睨み返す。
総介「戦力を無駄に分散させれば勝てるモノも勝てんッ!」
與鷹(よたか)「だからって……」
総介「そして、ここでやるべきことは終わった……帰るぞ!」
山咲(やまざき)桜「はい、警部」
與鷹(よたか)「お、おい、総ッ!」
 なんとも後味が悪いが、これが七罪塔(しちざいとう)との闘いなのだ……
総介「あぁ、そうだ……一つだけ朗報がある。もう株式会社センサスがお前らにちょっかいを出すことはない!…
…永遠にな!」
オリフィー「え?!それはどういう!?」
 株式会社センサスで大量殺戮事件が発生し、会社そのものが消滅したということを知るのは翌日のことであった


END

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