#5
　京(けい)アニのスタジオ爆破テロ。それは一回では終わらなかった。二回目の爆発テロ勃発！
　事件の共通点は『えくぞでぃぁっ！』にあるのか？！
　京都府、宇治市木幡大瀬戸
　そこには京(けい)アニ本社が聳え立つ。
＊「い、い、い、一体何なんですかぁ？！」
　その応接室にて、一人の女性が総介の前に涙目であたふたしていた。
　彼女の名前は康富士(やすふじ)椿……紺乗碧里(こんじょう・みどり)、富士動(ふじどう)ミーシャと共に『えくぞでぃぁっ！』の制作に関わっているスタッ
フだ。
上(かみ)総介「お前はこの二人と共に『えくぞでぃぁっ！』の制作に関わっていたそうだが……」
康富士(やすふじ)椿「はっ、はいぃ……確かにそうですけどぉ……」
　びくびくおどおどする彼女。
梓與鷹(よたか)（おい、総……彼女はどう見ても場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)に唆されているとは思えないが……）
総介（フン、奇遇だな、俺も同じだ！）
與鷹(よたか)（だったら……）
　だが、万が一ということもある……
　もっとも、総介は既に万に一つもその可能性はないと察知していた。
※じゃ、なんだよ、この茶番！
　バムッ
　と、その時、応接室の扉が勢いよく開かれる
＊「刑事さん、たっ、大変です！」
山咲(やまざき)桜「第三の事件……ですか？」
＊「え！？あ、はい……」
　第一スタジオ、第二スタジオと来れば次は第三スタジオである。
　第一、第二と同じく、またもや少女を引き連れ、白い箱を持った女性がスタジオに入った後に事件は起こったの
だという。
桜「警部、今回爆破テロを起こしたのは斑樹静(はんき・しずか)……経絡秘孔少女隊、通称経女の制作に関与していたようです」
＊「なっ、なんでそこまで知っているんだ？」
　まだ聞き込みとか来てないぞ……と驚きを隠せない京(けい)アニ社員。
　ちなみに、経女とは内側からの破壊を得意とする秘拳を使う漢女(おとめ)達が主人公の破天荒な内容のアニメである。
総介「今はそんな事はどうでもいい」
＊「どうでもいいてアンタ……」
総介「それよりも、貴様、京(けい)アニのスタジオはこれで全部なのか？」
＊「は！？なんだって？」
総介「他にスタジオはあるのかと聞いている」
＊「何でそんなことを？」
総介「いいから答えろ！」
＊「ひっ……だ、第四スタジオが……ありますッ！」
　総介の凄みに負けて彼は語る。
與鷹(よたか)「総……」
総介「だが、遅かったか……」
一同「え？」
　その時、外では轟音と共に黒煙が上がっていた。
＊「なっ、まさか……」
　窓の外を見て愕然とする京(けい)アニ社員。
桜「暗原獲真(あんばら・えま)……今回もまた経絡秘孔少女隊制作に関与していたそうです」

#6
総介「共通点はそれだけか？」
椿「あ、あの〜〜」
総介「なんだ？」
椿「ヒッ」
　総介の殺気の前に怯んでしまう椿。
白拍子かんな「もう一つの共通点……それはあの四人は同じ高校の部活仲間と、いうことですね？」
椿「なっ、なんでそれを！？」
　無論、それはかんなが超運の持ち主だからである。
　かんなの超運を以てすれば、造作もないことなのだから。
桜「浄算(じょうさん)高校アニ研部……たしかにあの四人はそこに所属していたメンバーのようですね」
椿「あ、あの……」
かんな「そして、もう一人」
　椿よりも先にかんなが超運でそれを告げる
桜「はい。部長の偶森蒼(ぐうもり・あおい)……」
與鷹(よたか)「総、事件はまだ続くってことか」
＊「なっ、待ってください！ウチにはもうスタジオは無いんですよ……」
総介「貴様はバカか！まだココがあるだろうが！」
＊「え！？」
　総介の言葉にぽかんとする京(けい)アニ社員。
総介「今までの事件はリハーサルにすぎん！」
與鷹(よたか)「えぇ……」
　みんなを代表してか思わず與鷹(よたか)が呟く。
　そして、四回もリハーサルって念入りも程があるだろ……なんて考える與鷹(よたか)。
與鷹(よたか)「しかし、総……もし、七罪塔(しちざいとう)も動くのだとしたら、既に俺達がいるここにやってくる可能性は低いんじゃな
いか？」
　人知れず（いや、派手に爆発テロを巻き起こしといて、人知れずってどういうことだよ……）天命(ネフェシュ)を奪っていく
のが七罪塔(しちざいとう)……ならば、俺達がスタンバイしているここへやってくる可能性は低いのではないかという懸念だ。
総介「フン、まぁ、来ないのならばそれに越したことはない……」
　だが、総介は七罪塔(しちざいとう)は間違いなく偶森蒼(ぐうもり・あおい)を引き連れてこの場所へやってくるだろうという確信めいたものを感じ
ていた。
　ソレは総介の直感……と、言うよりは真理の断片が見せる未来のおかげだ。
※ってか、今までのスタジオ爆破も察知できなかったのかよ……と突っ込んではいけない。

　そして、総介の予見（？）通り、七罪塔(しちざいとう)は動く。
＊「《キツネザルの使徒》は既にそこにいる……か……だが、今更行先を変えることなど、この私のプライドが許
さないわッ！」
　誇り高き傲慢……ソレは七罪塔(しちざいとう)が《自尊(プライド)》・ルシュファー！愛称はルキ。
　そして、その隣には白い箱を手にした虚ろな表情の偶森蒼(ぐうもり・あおい)がいた。

#7
　山梨県、富士青木ヶ原樹海
ロズエリク「京都だ……そこに七罪塔(しちざいとう)がいる！」
　シレントワイザードもまた、七罪塔(しちざいとう)の動きを察知し、動き出した。
エランドラ「おっしゃあ！ならば俺がひとっ走り行ってくるぜ！」
ネサリウス「お前の場合、本当にひとっ走りで行ってきそうだな……」
エランドラ「ハッハッハッハッ！」
一同「いや、別に褒めてないし……」
　呆れて物も言えない一個であった。
ネサリウス（しかし、七罪塔(しちざいとう)の出現する場所を察知できるロズエリク様は、相変わらず凄いお方だ……）
　端倪(たんげい)すべからざる人物とはロズエリク様のことを指すのだな……などとしみじみネサリウスが考え
てると、エランドラが声高々にこう宣言する。
エランドラ「次は俺が七罪塔(しちざいとう)を連れて帰ってくる番だ！行くぜ！フキエル！」
フキエル「はい。エランドラ様！」
　別に順番とかそんなわけでもないのだが、特に水を差すこともあるまいて……
　かくて、Eighter、七罪塔(しちざいとう)、シレントワイザード、役者はそろった！
※ってか、まだ京都にはEighterしか揃ってないけど……
　果たして、今回の死合、勝利を手にするのは一体どの陣営なのか！？


END