Eighter -Blindness Wizard-
15ther 〜捩れし存在の相貌(ルックス) C〜



#5
 エランドラとかんながメタノール女学院のグラウンドで死合を始めだした頃、学園の外からそれを双眼鏡で見つ
める者たちがいた。
 そう、総介らである。
(かみ)総介「全く、あいつらは何をやっているんだ……」
梓與鷹(よたか)「かんなに限って遊んでいるってことはないと思うが……」
 ってか、あのアニメや漫画でしか見たことのないような金髪ドリルツインテは誰だよ!と心の中で突っ込みを入
れる與鷹(よたか)であった。
白拍子かなり「オ〜〜〜ッホッホッホッホッホ。これもかんなの優しさってモンよ」
與鷹(よたか)「優しさ?」
かなり「校舎の中で死合えば無関係な生徒も巻き込んでしまうかもしれないでしょ?」
與鷹(よたか)「……た、確かに!」
 だから、適当なエンターテイメントと勘違いしてくれるのであれば、それはそれで構わないということなのだ。
総介「む?!……何?……そうか……」
 その時、総介は桜からの通信を聞く。
総介「……だとすれば妙な話だな……」
桜「ええ、私も、そう思います……」
 ある意味二人だけの世界に浸っている総介と桜。與鷹(よたか)怪訝(けげん)に思って話しかけても、ガン無視して思考にふける
総介「……今回、使われた場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)はどんなものだったんだ?」
桜「はい。歪めし水晶体(ディストートレンズ)といって……」
 総介に問われ、その能力と危険性について桜は語る
総介「なるほどな……もう一つの力か……」
 桜からの説明を聞いて、総介は一つの真実にたどり着いた。
 なぜ、あの教室にレヴィアだけがいたのか……そして、そのレヴィアが桜を見て戦慄したのか……その理由は…
…
桜「……あらゆる真実を歪める?!」
総介「あぁ、そうだ。だから、そこにはるのは歪められた真実!」
 七罪塔(しちざいとう)は別にいる!今、その教室にいるレヴィアに見えているモノは塞微刈音(そっくび・かるね)だ!
 だが、悲しいことに探し出せないのもまた、事実……
 ならば、どう動くべきか?
総介「そっちにいるシレントワイザードの魔術師は気づいていないのだな?」
桜「はい」
 そして、フキエルだけが何も気づいていないのはまだ変わらない。
総介「そうか……だったら、今は動くな!七罪塔(しちざいとう)は恐らく七元徳(ななげんとく)を恐れている!」
 レヴィアが身を隠してる理由はそれだ。そして、七元徳(ななげんとく)を見極めようとしている。
 だから、動くのはフキエルが七元徳(ななげんとく)を使うその瞬間だ!
※とはいえ、桜にフキエルとレヴィアをどうにかできるとは思えないんですけどね……

#6
 そして、話はグラウンドでの死合に戻る
一同「じゅうま〜〜ん、ひゃくま〜〜ん、せんま〜〜ん」
 ってか、マジで十の乗数でテンカウント数えんのかよ……
一同「お〜〜く」
エランドラ「チッ、こねぇのかよ!」
 エランドラの戦略はこうだ。派手にぶっ飛んでやられたと思わせて近づいてきたところに渾身の一撃を叩き込む
 だが、その思わくは脆くも崩れ去った。
 と、言うか、相手が超運の持ち主たるかんななので当然なのだが。
華豈(かあに)春代「おおっと、テンカウント以内に立ち上がりました!ってことはこのまま続行になります!」
一同「いぇ〜〜い!」
エランドラ「フッ、観客も盛り上がっているじゃねぇか!」
白拍子かんな「……そうみたいですね」
 エランドラも盛り上がっている。
 だが、しかし、かんなは違っていた。冷めているのだ。見世物ではないからな……
エランドラ「おっし、このまま第二ラウンド行くぜ!」
春代「ちょっと、まだ第一ラウンドなんだから、勝手にラウンド数繰り上げないでよ!」
エランドラ、かんな「……」
 ちなみに、この死合には時間制限がないので、どこが第一ラウンドの終わりなのかは死合っている二人の気分次
第のはずです。
 が、しかし、実際には春代の一存で決まってしまうのだからよくわからないものである。
エランドラ「まぁいい、続けようぜ!俺たちの生存戦略(レーゾンデートル)を!」
※いや、それ、使い方とか訳し方とかあってる?
 ずどんっ
かんな「はっ!」
 ぎぎんっ
 両雄、互いにとびかかり、斬り合い打ち合う。
 大技をぶっぱなすのは決着(ケリ)をつけるその瞬間(とき)までお預けだ!
 そして、そんな激しい鍔迫り合いを観客は固唾を飲んで見守っていた。
 ……ところで、体力馬鹿で戦闘バカのエランドラが繰り出す一撃をこともなげに受けているかんなもまた体力馬
鹿なのか?とか思う人もいるかもしれませんが……そこは、まぁ、気にしたら負けって奴です。
※そこは茜瑙哭(セドナ)の力を借りてなんとか互角に渡り合っているとかじゃないのかよ!
 さておい、鍔迫り合いは長く続き……そして、とうとう死合は最終局面を迎えることとなる。
エランドラ「行くぜぇ!」
 ズダンッ
一同「え?!」
 と、その時、突如そこへ割って入る銀髪のチョココロネなポニテール
フキエル「エランドラ様、撤退しましょう」
エランドラ「なんだぁ、きさま〜っ!邪魔をするなぁあああ!」
 それは探していた妹を見つけたのに邪魔されてキれている南斗の漢の如く叫びだった。
フキエル「ここには既に七罪塔(しちざいとう)はいませんッ!」
エランドラ「チッ……決着は次の機会だ!」
春代「え?ちょっと、勝手に終わらせないでよ!」
 カカッ
一同「うわっ、眩しっ!」
 閃光が晴れた時、そこにエランドラとフキエルの姿はなかった……

#7
 一体あの後あそこで何があったのか!?
フキエル「七罪塔(しちざいとう)!覚悟〜!」
桜、レヴィア「なっ?!」
 突如フキエルが魔形刀(マナヒョンド)を構えてレヴィア(見た目だけ)に襲い掛かる。
レヴィアタン「おっ、お前らっ、我々を捕縛するんじゃ……」
フキエル「だから、貴様みたいなまがい物はぶった斬る!」
桜「なっ!」
 フキエルもまた、目の前にあるレヴィアが塞微刈音(そっくび・かるね)だと気づいていた?!
フキエル「死ねっ!圧し潰す水塊(ヴァッサァ・ザックライナン)!」
 ズズゥンッ
 水の塊が落ちてきて刈音(かるね)はぺしゃんこに潰れてしまうのであった。
レヴィアタン「くっ、まさか、気づかれたなんて……」
フキエル「シレントワイザードの魔術師をナメるなよ!」
レヴィアタン「……いいでしょう、最早ここにいる理由などない……」
フキエル「なっ、てめぇ!」
 だが、フキエルの怒りも空しく、レヴィアは完全に姿を晦ますのであった。

総介「……そうか……」
桜「申し訳ありません」
総介「仕方あるまい……もうここには用はない……帰るぞ」
與鷹(よたか)「あ、ああ……」
 その後、かんなと桜は総介らの元へ戻って報告。
 そのままメタノール女学院を後にするのであった。

白拍子かれん「ちょ、ちょっと、私を置いてかないでよ〜」
 なお、かれんが置いてけぼりを喰らったのは言うまでもない。


END

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