Eighter -Blindness Wizard-
10ther 〜禁忌の蔑爪楊枝弩 B〜
#3
とある動画共有サービスに何気なく投稿されていたイタズラ動画。
そこには明らかに場違いな黒き遺物(を駆使しているんじゃないかと思われる映像が映し出されており、総介は早
速動き出すのであった。
滋賀県、米原駅
上(総介「巫山戯(ているにも程があるな……」
そう呟きながら総介らはarisato6410を追ってここまで来た。
なぜ、東京の三鷹市某所で撮影された動画を追って滋賀県までやって来たのか?
それは、件のarisato6410が投稿し続けていた動画にある……そう、彼は警察に追われだしてから『リアルケイ
ドロ』なんて不遜なタイトルで逃走道中の動画をアップしだしたのだ。
劇中、『警察は無能』だの『逃ぃ〜〜げるんだよぉ〜〜』だの数々の挑発発言を行い、視聴者を楽しませていた
彼は、警察にとってしてみれば不愉快極まりない始末であった。
※なお、総介も常々一般の警官は無能だとか思っていたりしますが、それはそれ。
総介「見つけたぞ、arisato6410……いや、華嶋直燬(と言った方がいいか……」
華嶋直燬(「ぐげぇ!?」
スマホを自撮り棒に着けて記念撮影しているarisato6410こと華嶋直燬(を、背後から総介が迫る。
びっくりして自撮り棒ごとスマホを落っことす直燬(。
※無論、arisato6410の本名はレムリアで検索済みなのだ。
直燬(「あ、アンタ誰だよ?」
総介「SRAPだ!」
SRAPの警察手帳を見せて総介が叫ぶ。
直燬(「マジかよ!?」
警察だろうと思っていたらSRAPでびっくり仰天の直燬(。
山咲(桜「貴方の逃走劇もここで閉幕です」
直燬(「こんなところで掴まってたまるかよ!」
ドカっと地面に落とした自撮り棒(スマホ付き)を蹴り飛ばす直燬(。
無論、そんな攻撃でダメージを負うような一行ではない。すかさず與鷹(が飛んできた自撮り棒を足で止める。
直燬(「チッ、仕方ねぇ……」
さっとポケットの中から爪楊枝ボウガンを取り出して構える直燬(
梓與鷹(「悪あがきを……」
直燬(「くらえぇ!」
シュパパパパッ
爪楊枝ボウガンは威力が高いとは言え、與鷹(は双狼拳(の達人である。
いうなれば世紀末にモヒカンのザコがケンシ□ウにボウガンで挑む様なものであり、二指〇空把により返り討ち
に合うが必定……と誰もが予測したとは思う……
ちくちくちくちくっ
與鷹(「痛い、痛い痛い、地味に痛いっ!」
だが、実際は違った。爪楊枝など、軽く回避出来ると與鷹(も簡単に考えていたのだが、腕やら肩に爪楊枝が突き
刺さることとなったのだ。
#4
直燬(「ざまぁみろ!」
ドヤ顔の直燬(だった。
総介「フン、場違いな黒き遺物(を使っておきながら……いや、場違いな黒き遺物(に使われておきながらよくもまぁ
……」
與鷹(「……」
とりあえず突き刺さった爪楊枝を抜いては捨てる與鷹(。
直燬(「はっはっはっは!俺様のダインスレイヴから逃れることなど皆無ッ!」
桜(明らかに場違いな黒き遺物(のおかげだと思うんですがね……)
與鷹(「……いいぜ、もう一回来やがれ!」
この時、與鷹(もちょっと頭に血が上っていたのかもしれない。
さらに言うならば、さっきはちょっと油断したが、今度こそは回避できるという自信もあった。
直燬(「だったら、お望みどおりにしてやらぁ!」
しゅぱぱぱぱっ
再び射られる爪楊枝
與鷹(「ハッ!聖狼躱虚(!」
ちくちくちくちくちくっ
與鷹(「痛っ……そんな馬鹿な!?」
だが、與鷹(の自信はあっさりと打ち砕かれた。
聖狼躱虚(……それは相手の繰り出すいかなる技も回避してカウンターを叩き込むという後の先の双狼拳(奥義。
これまでにそれを打ち破ったのは無限に攻撃を繰り出せば有限の内にある人間はやがて回避できなくなるなどと
言う巫山戯(た理論の技のみだった。
だが、今回またしても打ち破られた。
総介「どうやら奴の放つ矢に回避は意味がないようだな……」
與鷹(「どういう……」
白拍子かんな「簡単に言えば回避無視ということですね」
簡単に言いすぎだ、それは……と一行は心の中で突っ込みを入れる。
総介「なるほどな……回避無視であるならば、あの動画も辻褄が合う」
回避が無視されるからこそ、あの動画では矢が人を避けて標的に当たった。
※物理法則は完全に無視されていますが……
なお、彼が使っている……彼を使われている場違いな黒き遺物(は豹魔の灰達(という。
その場を動けなくなるが、回避不能の一撃を放てるようになる代物だ。
與鷹((回避が意味をなさないのならば、防御するしかないのか?)
再び突き刺さった爪楊枝を抜いては投げ捨てつつ、與鷹(は思う。
與鷹((いや、待てよ……)
與鷹(はこのとき、あることを思いつく。そして、ギロリと直燬(を睨み付ける
直燬(「何だ、まだやるつもりかよ?」
総介「……」
與鷹(がやらないのならば、俺がやるか……と内心思っていた総介だが、與鷹(がまだ何かやるつもりならば、もう
少し様子見するか……などと考える総介。
直燬(「チッ、だったらそろそろケリをつけてやる!」
與鷹(「点駈狼(!」
ドッ
闘気の刃を放出する與鷹(に、無駄無駄無駄ぁ!と言わんばかりに爪楊枝を射出する直燬(。
直燬(「え!?」
……確かに、爪楊枝はる〇剣で剣心が十本刀が一人、刀狩りの〇が薄刃○太刀を繰り出した際に見せた超反応の
如く闘気の刃を交わして與鷹(に迫った。
だが、闘気の刃は直燬(にクリーンヒットしたのだった
直燬(「うそ〜〜〜ん!?」
こうして、ここに爪楊枝少年の事件は幕を閉じることになった。
#5
歴史の墓場、某所
アマイモン「良かったのかな?」
そこで場違いな黒き遺物(、七罪塔(が今回の事件の一部始終を見ていた。
そして、ぽつりと漏らすアモン
*「何がだ?」
アマイモン「あのはぐれ場違いな黒き遺物(のことだよ」
それは、豹魔の灰達のことだ。
*「爪楊枝を武器にする程度の使い道しか思いつかない人間(だ……最初(から期待なんてしてないよ……」
アマイモン「ならいいけど……」
*「さて、そんなことよりもだ……次は誰が動く?」
*「……そうだなぁ……」
こうして、七罪塔(の暗躍は進んでいく……
果たして、次に彼らが蠢く時、どんな事件が起こるのだろうか?
END
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