Eighter -Bizarre Investigate-
59ther 〜煙草と葉巻と煙管(きせる)



#0
 煙草は副流煙の方が害がある。
 よって『煙草を吸っている人は(周りで副流煙を吸わされている人より)健康である』という言葉がある
※ねぇよ!
 また、シケモクは身体を害するが、アカモクは健康にいいという情報もある
※いや、シケモクとアカモクは全然別物だから!
 さて、戯言はおいといて、今回はそんな喫煙に纏わる事件である。

#1
 栃木県、宇都宮某所
 事件はJRに一人の男性が乗ったところから始まる。男の名は菅本(すがもと)優馬。彼は優先指定座席をまるでソファーか何
かのように偉そうに占拠して唐突に煙草を吸い始めた。
*(な、なんだあの人、優先座席を占領して堂々と煙草吸ってる……)
 開いた口が塞がらない……と言った感じでそれを見ていたのは子食交(ねたべ・まじる)。宇都宮(つつみ)高校に通う生徒である。
 誰もが迷惑そうにしつつも、声をかけるのは恐ろしい……と、言った中、正義感にかられた彼は男を注意する
子食交(ねたべ・まじる)「あの……すいません……」
菅本(すがもと)優馬「あぁ!?なんだてめぇ!?」
 ギロリと睨みつけられるが、しかし、ここで怯んでは元も子もない。(まじる)は意を決して男に告げる
(まじる)「煙草、やめてもらえませんか?」
優馬「……おう、悪かったな……」
 その時、周りの人間はこの男子生徒勇気あるな……と心の中で称え、そして、相手の男性も聞き分けがいい人で
良かったとほっと胸をなでおろした。
 だが、しかし、優馬は次にトンでもないことを行う。
 吸っていた煙草を地面に落とし足で踏む。そこまでは一億歩譲って我慢も出来る。しかし、優馬は次に懐から葉
巻を取り出すとそれに火をつけて一服しだしたのだ
一同(えぇええ!?)
(まじる)「ちょ、ちょちょちょ」
 これにはさすがに(まじる)も声を荒げて抗議
優馬「あぁ?てめぇ、まだなんか文句あんのかコラァ!」
(まじる)「いやいやいや、煙草はダメで葉巻はOKってわけないでしょうが!」
 思わず盛大に突っ込みを入れざるを得なかった。
 あと、そこは優先座席なので席を譲ってくれと続けようとした次の瞬間、優馬は火のついた葉巻を(まじる)の頭頂部に
押し付ける
(まじる)「はちゃちゃちゃちゃっ、あつッ」
優馬「てめぇ、これ以上いちゃもんつけるとぶっ殺すぞ!」

#2
優馬「おら!こちとら、税金が跳ね上がって煙草を買うのも一苦労なんだよ!苦労して買った煙草、どこでどうし
ようが俺の勝手だろうが!俺の喫煙の邪魔をすんじゃねぇ!」
 完全な逆恨みであるが、優馬の暴行は止まらない。
 近くにいた乗客も、関わり合いたくない、とばっちりを受けるのは御免だと距離を置くという冷たさであった。

 しかし、次の駅で異変を察知した警備員が列車内に入り込み優馬を取り押さえ、(まじる)は救われたのであった。
 ただ、(まじる)は顔の骨を折るなどの重傷で入院することになったのは言うまでもなかった。

 栃木県警
警官「土部(どぶ)警部……ガイシャは病院に搬送されました。重症ですが、命に別状はないとのこと」
土部(どぶ)陸「そうか……」
 さておき、土部(どぶ)警部は机を両手でバンと叩くと優馬を問い詰める
陸「なぜあんなことをした?」
優馬「違いますよ、警部さん、相手が喧嘩を売ってきたんだ。だからガキに社会の厳しさってヤツを教えてやった
だけのことよ。あれは正当防衛だ!」
 いや、どこからどう見ても正当防衛ではないのだが、優馬の面の皮は分厚いようだった。
警官「お前は優先座席に座って喫煙をしていたようだが……」
優馬「開いているシートに座る事の何がいけないことなんですかねぇ?」
 いや、座席を優先するのはマナー違反ですから……残念!
※どこのギター侍だよ!今はそんなネタ要らないから!
警官「土部(どぶ)警部、これを見てください。奴の所持品なのですが……」
 と、その時、一人の警官が小型の機械のようなものを持ってくる
警官「鑑識の調べによりますと、この機械は小型の電波発生装置でして、驚くべきことにペースメーカーを停止さ
せる作用があることがわかりました!」
陸「な、なんだと!?」
 優先座席を占領して喫煙だけではなく、ペースメーカーを停止させる妨害電波発生装置まで持っているとは最早
悪意を通り越して殺意である。
陸「貴様ァ!」
優馬「別にスイッチ入れてたわけじゃないから問題ないでしょう」
一同「ンなわけあるかいッ!」
 どこまで屁理屈をこねれば気が済むのか……最早傷害罪じゃなく、殺人未遂の現行犯で牢屋にぶち込んでやりた
いと思う栃木県警の一行であった。

#3
警官「土部(どぶ)警部!」
 と、その時、更に一人の警官が勢いよく取調室に入ってくる
陸「あぁ?どうした?」
警官「それがですね……この菅本(すがもと)優馬なんですがね……どうも、過去にはキセルの常習犯だったことがわかりまし
た」
一同「煙草、葉巻ときたら次は煙管(きせる)か……」
 そこまでして喫煙に命を懸けているのか……とかトンチンカンなことを考えている警官一行。
 しかし、ここでいうキセルとは喫煙行為のことではない。
 例えば君がもし、A駅からB駅までの切符を購入して電車に乗ってE駅まで行ったとしよう。
 こうなると乗り越し清算を行いC駅からE駅の料金を支払うのが普通だが、もし、D駅からE駅を含む定期券を持っ
ていた場合、なんやかんやで改札を通ることができるとあら不思議、C駅からD駅の区間の料金を払わずにすんでし
まうのだ
※いや、なんやかんやってなんやねん!
 このような不正乗車のことをキセル乗車という。
 ここまで来ればお分かりだと思うが、優馬のいうキセルの常習犯というのは喫煙行為ではなくキセル乗車のこと
なのである。

 と、まぁ、なんやかんやで優馬は逮捕されるのであった
※いや、だからなんやかんやってなんやねん!


END

前の話へ  戻る  次の話へ