Eighter -Bizarre Investigate-
38ther 〜火消し場泥棒現る B〜



#3
 東京都の消防署で起こった盗難事件……どうも出動要請で留守にした合間に窃盗に入られたとのことだが
 ……はたして……
 東京都、鎮火現場
警官「巡令(めぐれ)警部……どうやら……火事の……炎に見取られていたというか……何と言いますか……不審
な人物を見たという目撃証言は……」
巡令樹留(めぐれ・きりゅう)「……そうか……くそっ……」

 ……そして、さらに事件は続く……

 東京都、東京消防署
消防士「葛西主任……2度あることは3度ある……とは言いますが……」
葛西(しずま)「ええい!くそ!!またか……またしてもか!?」
 今度は警察の動きも早い……と、言うか、連動して警察も動いているので速いのは当然だが……
警官「巡令(めぐれ)警部……火災現場……での不審人物の目撃証言も……無いようです……」
樹留(きりゅう)「分かってる!!ええい、くそっ……どうなってるんだ!!」
 こんな失態、(かみ)警部に知られたらどうなることか……と違うことで悩み、苛立つ巡令(めぐれ)警部であった……
警官「……くそっ……これで3度目……今度は?」
消防士「はっ……2度の窃盗以降、こまめに現金を銀行に預けるようにしておりますので……ですが、3万……」
警官「……くそう……被害額は小さいが……しかし、それでも盗みは盗み……」
 と、そこへ……総介颯爽登場
(かみ)総介「……お前ら……違和感に気づかないのか!?」
一同「え!?」
警官一同「かっかっかっ……かっか!!!」
山咲(やまざき)桜「誰が閣下ですか?……」
 桜も総介と同時に出現(いや、出現って……)
警官一同「(かみ)警部ぅ……」
総介「……違和感に気づかないのか……と聞いている……」
 無能警官の動揺を無視して、更に続ける総介
警官「違和感……?ですか!?」
消防士「……はっ……そうですよ……葛西主任!!」
(しずま)「あ?」
消防士「……我々は……ちゃんと鍵をかけた……いや、それは当たり前です。問題なのは……帰って来たとき、
ちゃんと鍵が掛かっていたことです」
(しずま)「……そ、そうだ……だから、荒らされた金庫を見てから出ないと犯行に気がつかなかった……」
 しかし、違和感はその先にある……
消防士「……いや、待てよ……金を盗むことが目的なら……」
警官「そうか!なぜわざわざ鍵をかけなおして去っていく必要がある!?」
 鍵をぶち破らなければ金は盗めない……それは当然である……だったら、窃盗(こと)が終わった後になぜ再び鍵を締め
る必要がある?……もしかしたら締め直している間に帰ってくるかもしれない……ならば、そんなリスクを負わず
に逃げ去ればいいだけの話である
総介「……もう、分かっただろ……」
消防士「……まさか……内部犯!?」
総介「そういうことだ……」

#4
消防士一同「んなっ!?」
 まさかの内部犯ということに一同唖然……
消防士「じゃ、じゃあ……火災を……巻き起こしたのも……?」
桜「ええ、おそらく」
 同じ人物だろう……と桜
警官「し、しかし(かみ)警部……現場で不審な人物を見かけたという情報は無かったんですよ。これをどう説明……」
総介「消防士がパトロールと称して火災を起こしていたんなら……『不審な人物=消防士』と思わない限り発見は
されんと思うが……」
 無能警官の反論にすかさず反論を返す総介
警官「しまった!そんな手が!?」
総介「さて、出勤表を見せてもらおうか?」
(しずま)「え?……あ、はい……こちらに……」
 ザッと出勤表を出す葛西主任
総介「フン……見ろ、3回の犯行……そのいずれもこの漢だけは非番だ……」
 1人の消防士の名前を指して総介が言う。
一同「た……確かに……」
総介「と、言うわけだ……これよりこの台砧(うてな・きぬた)を事件の最重要人物としてマークしつつ警備を怠
るな!」
一同「はっ……分かりました……」

 そして、それから3日後……

 東京都、某所
台砧(うてな・きぬた)(……今日は……ここにするか……)
 ゴソゴソ……
 廃墟の前で放火を行う(きぬた)……
 ゴウゴウ……
 焔が燃え広がったことを確認するとその場から逃げ去ろうとする(きぬた)……無論、消防に匿名で連絡を行う算段だ
(きぬた)(……あとは……)
 キキ〜〜
 ドンッバタンバタンッ
(きぬた)「んな!?……」
 しかし……消防に連絡を行おうかと思った矢先に消防車が到着する。
(しずま)「……(きぬた)さん……やはり……アンタが……」
消防士「見損ないましたよ……(きぬた)さん……」
(きぬた)「お、俺はたった今火災を発見し、連絡しようかと……」
総介「……言い訳は見苦しいぞ……お前が放火しているところは既に抑えてある!」
 そのまま写真を見せる総介……
(きぬた)「うぐぐぐ……」
総介「全ては署で聞く……つれていけ!」
 がっくりと項垂れる(きぬた)……を消防士と警官とがコラボして確保していくのであった……
※そこはコラボじゃなく、連携でいいんじゃないか?
 ……かくて、超速で、事件の新犯人は逮捕され、こうして火消し場泥棒の事件は幕を閉じることとなった……

#5
 東京都、警視庁
樹留(きりゅう)「あの、(かみ)警部……」
総介「何だ?」
 ジロリと睨みつける総介にヒっと縮こまる樹留(きりゅう)
樹留(きりゅう)「……えっと……犯行の理由って……なんでした?……とか聞いてみたり……」
桜「ギャンブルで金を使い込み、その返済のため……だそうです」
樹留(きりゅう)「あ、そう……ギャンブルで……」
 ちなみに、放火して見つからないこともギャンブルの一環だったそうな……
 そう言う意味では、(きぬた)は無事に(?)破滅したともいえる……


END

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