Eighter -Bizarre Investigate-
38ther 〜火消し場泥棒現る A〜



#0
 火事場泥棒……それは火災に紛れて泥棒を働くふてぇヤロウだ!
 そして、これは、火事場泥棒とは対極の泥棒に関する事件簿である

#1
 東京都、盛憎厚生病院
 南病棟2階の個室から出火したその火災はたちまち燃え移り、その階にいた病人男女合わせて5名が死亡したと言
う事件が発生したが……駆けつけた消防の手により、火災はたちまち鎮火、事なきを……えたわけではないが……
この事件はこれにて終了となった……
消防士「どうやら、出火元にいた男性が毛布に火をつけて火災を起こしたそうです……」
*「隣のヤツが……あ〜〜、深夜まで五月蝿いから……火を……あ〜〜、つけたんだぁ……」
警官「巡令(めぐれ)警部……」
巡令樹留(めぐれ・きりゅう)「うむ……どうやら彼は妄想癖の強い人物のようで……幻聴によって火災を起こしたようですな……」
医師「ハッ……5人殺すとはたいしたもんだな、こっちは1人救うのに精一杯だったってのに……」
一同(アンタBJですかい!?)

 ……だが、事件はそれだけでは終わらなかった……
 いや、盛憎厚生病院の火災に関しては先ほどの事件で全てが終わったのだが……別の所で事件が起こっていたの
だ……
 東京都、東京消防署
消防士「……葛西主任……こ……これを!!?」
葛西(しずま)「あ?どうした!?」
 指差す先には……
(しずま)「んなっ!?」
 荒らされた金庫……奪われた金……
(しずま)「け……警察を!」
消防士「はっ……直ちに!!」
 ……数分後、警官隊が駆けつける
(しずま)「あ、先ほどはどうも……」
樹留(きりゅう)「あ、こちらこそ……」
 病院の次には消防署……今日の警官は引っ張りだこである……
警官「巡令(めぐれ)警部……奪われたのは金庫の中の現金、10万円です……」
(しずま)「出動していた隙にやられたみたいでして……」
警官「となると……犯行時刻は……出動要請のあった16:30から帰還する間までの時間か……」
警官「とんだ火事場泥棒ですね、巡令(めぐれ)警部……」
樹留(きりゅう)「いや、この場合火消し場泥棒だ!」
警官一同「いやいや、いちいち名前にこだわらなくていいですから……」
 しっかりしてくださいよ……と警官一行の最もな突っ込みが入る……
 そんなんだから総介にドやされるんですよ……
警官「さて、つかぬことをお聞きしますが、恨みを買うようなこととか……」
消防士「あのですね、火災を食い止める我ら消防士がどうして人の恨みを買うんですか?……と、言うか恨みは金
で解決ですか!?」

#2
樹留(きりゅう)「……」
警官「……あ、アレですよ……昔ながらの方法で火災が広がる前に近くの建物を全て破壊して……」
消防士一同「今は江戸時代じゃねぇ!!」
 消防士渾身の突っ込みであった……
警官一同「……ですよね〜」
 その後、付近の聞き込みもむなしく、不審な人物は見つからなかった……そして……事件はこれだけでは終わら
なかったのである……

 数日後……
 火災の出動要請を受け、消火に当たった消防士一同が再び消防署を空け、そして消火を終えて帰ってくると……
消防士「葛西主任……またです……また……例の……」
(しずま)「な……何ぃ!!?」
 またしても、荒らされた金庫、奪われた金……
消防士「ただいま警察に連絡をしたところですので……」
(しずま)「……ぬぬぬ……我らが必死に消火活動を行っている時にぃ……なんて不埒な窃盗犯だ!!」
 憤りを隠せない(しずま)であった……
 ……そして、数分後、警察が到着する
警官「巡令(めぐれ)警部……どうも、前回と同じ手口と思われます……」
樹留(きりゅう)「……ふむぅ……なるほど……つまり、前回と同じ犯人の可能性が高いということか……」
(しずま)「……ええ。そうです。今回も……消火活動の合間に……」
樹留(きりゅう)「……つかぬことをお聞きしますが、本当に消火活動で誰かに怨みを買うようなことは?」
消防士一行「してないっつ〜の!!何だ!?消火活動で怨みを買うなんて……一体だれにだよ!?」
樹留(きりゅう)「た、例えば……放火魔とか……」
消防士一行「そりゃ〜怨みは買うでしょうよ!!」
 だが、そんなこと、どうでもいいでしょう……と消防士一行から盛大な突っ込みが入る
樹留(きりゅう)「……ン、ゴホン……犯人め……味をしめたな……」
 そして、何事も無かったかのように話を進める巡令(めぐれ)警部であった……

警官「巡令(めぐれ)警部……2度もこんな事件が起こるなんて偶然とは思えません……もしかしたら、犯人は……放火も
行っているのではないでしょうか!?」
一同「ぬなっ!?」
警官「いや、しかし……1度目の火災は……」
(しずま)「……いや、1度目で味をしめた犯人が……今回……故意に火災を起こした……とは考えられませんかな?」
警官一同「!!!!」
樹留(きりゅう)「お前ら!さっきの火災で、出火の前後に不審な人物を見かけなかったか即刻調べるんだ!」
警官一同「はっ!了解です!!」
 ダダッ
 ……すぐさま火災のあった現場付近へ急ぎ、聞き込みを開始する警官……さてさて、この事件……犯人は……火
災をも巻き起こし、窃盗を行ったのか……それとも……偶然の火災なのか!?


続

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