Eighter -Bizarre Investigate-
35ther 〜偽訳・義鏈(よいてん)の野望 B〜



#3
 奈良県で起きた謎の放火殺人……漢は父親が憎かったといいながら父親がいないときに母親と弟を殺し……
 事件は早くも迷宮入り!!?(いや、早すぎます……ってか、少しは解決する努力をしようね……)
 奈良県、奈良県警
座尾奴刷(すわお・やっさつ)「ええい!義鏈(よいてん)んん!!!」
座尾義鏈(すわお・よいてん)「……ああ?何?」
奴刷(やっさつ)「……お前というやつは……お前というヤツはあ……」
 グオオオオッ
 拳を振りかざして気をためる
円笑仙泣(まどわら・せんきゅう)「ま、まぁ、まぁ、落ち着いて、落ち着いてください。奴刷(やっさつ)さん」
 ドタバタドタバタッ
 必死こいてそれを止める一行
※喰らったが最後、死ぬってな拳なのかよ!?と、いうかこのオヤジ、何かの拳法使いなのか!?
警官(とは言え……)
警官(……事件をどうやって解決したものか……)
仙泣(せんきゅう)(ああ、こんなとき運の女神がいれば……)
警官(くそぅ!(かみ)警部!なぜ頼っちゃダメなんですか!?)
※いやいや、自分の力で解きましょうよ……
 無能警官が運の女神さま……どうかここにきて事件を解決してください……と切に願っていると……
 その時、取調室の扉が開く
警官一同(ま、まさか……)
 念じれば通ず……願いが届いたのか……と一行が安堵の表情を浮かべるのだが……しかし、取調室に入ってきた
のは運の女神ではなかった。
仙泣(せんきゅう)「げっ……」
 嫌な顔をする円笑(まどわら)警部……それもそのはずである……やってきたのは……
警官一同「かかかかかっ……かかっ……(かみ)警部ぅう!?」
(かみ)総介「……何だ?」
 そりゃそうですよね……いくらなんでも、運の女神がこの場へくるわけないですよね……と意気消沈する無能警
官であった
山咲(やまざき)桜「……さて、今回の事件ですが……」
 そして、総介と同じく取調室に入ってきた桜が唐突に事件の結末を語りだす
警官「え!?いきなり解説!!?」
総介「……事件の動機は2つある……いや、2つを1つに纏めたと言った方がいいかな……?」
義鏈(よいてん)「……」
奴刷(やっさつ)「何ぃ!?どういう……?」
 そのまま義鏈(よいてん)を放り出し、総介、桜の言葉に耳を傾ける奴刷(やっさつ)
総介「……父親が憎いってのは嘘……だ」
警官一同「……は?」
桜「……憎愛……です」
警官一同「はい!?」
総介「……まず、母親だが……調べでは不倫の癖があるようだが……?」
奴刷(やっさつ)「……たしかに……ヤツの不倫は今に始まったことじゃあない……だが……それが……?」
総介「あなたが許せても息子は許せなかった……それが母親殺しの理由であり動機」
奴刷(やっさつ)「な……義鏈(よいてん)……お前というヤツは……」
 そのまま義鏈(よいてん)を見る奴刷(やっさつ)
※親が許していてもその行為が許せない場合、子供が手を下すのはいいことなのか……あるいは悪いことなのか…
 …(何の難題!?コレ……)

#4
義鏈(よいてん)「……うるせぇなぁ……」
警官「(かみ)警部……では、香留馬(かるうま)氏のことは……どんな理由で殺した……んですか?」
総介「……義鏈(よいてん)氏と香留馬(かるうま)氏とは幼いころからいつも比べられていたと調べた結果分かったのだが……」
奴刷(やっさつ)「……た……確かに……」
仙泣(せんきゅう)「まさか、それが……動機とでも?」
義鏈(よいてん)「……」
 黙りこむ義鏈(よいてん)……沈黙は皇帝(エンペラー)……すなわち認めたと言う意味だ
奴刷(やっさつ)「……確かに……確かに……香留馬(かるうま)は……義鏈(よいてん)より優れていた……キサマ……ジャギみたいな理由で弟を殺し
たって言うのか!!!あああ!!?」
義鏈(よいてん)「……だから何?」
 俺は悪くない!と全てを無かったことにする過負荷(マイナス)を持つ漢のような台詞を吐く義鏈(よいてん)
奴刷(やっさつ)「ゆ……ゆるせん!!キサマ!!そこに直れぇ!」
総介「……で、だ……」
 一触即発……しかし、そんな中、総介が更に口を挟む
警官「……あの、まだ何か?」
総介「義鏈(よいてん)はいつも弟と比べられて怒鳴られていた……だから、弟がいなくなれば怒鳴られることもない……と、
考えたわけだ……」
仙泣(せんきゅう)「んなバカな……弟を殺して怒鳴らない親がいるもんかよ!」
桜「……親子愛のすれ違い……ってヤツですね。親は親で立派に育ってほしいからこそ怒鳴り……子供は子供でや
さしく接してほしいからこそ殺し……」
奴刷(やっさつ)「……義鏈(よいてん)……?」
義鏈(よいてん)奴刷(やっさつ)……」
 そして、桜の言葉に見詰め合う2人……
総介「……これで真実は述べた……後は2人の問題だ……行くぞ、山咲(やまざき)」
桜「はい、警部」
 言いたいことを全て言い切り、総介は桜と共に取調室を後にする
総介「……お前らも、とっとと出ろ!」
警官一同「い……イエッサ!!」
 去り際、総介がそう叫び、警官一行も思わず取調室を後にするのであった
※なんだか今日の総介は無責任だな〜

 そして、取調室に残された2人はというと……
奴刷(やっさつ)義鏈(よいてん)……お前……そこまで……」
義鏈(よいてん)「……だったら、何だ?親父……」
義鏈(よいてん)奴刷(やっさつ)「……ならば……斃すことが愛!!」
 そのままぐっと拳を握りしめる両雄
※お前ら、ケンシ□ウとカイ才ウか!?

#5
義鏈(よいてん)「行くぞ!!」
奴刷(やっさつ)「来いやぁあああ!!!」
 ドッ
 そして、両雄は一足飛びにかかり……
 ドゴスッバギイイッ
 そのまま殴る蹴る……
 ……その後、親子の拳の語らいは2昼夜続いたとか続かなかったとか……
 そして、その結果奈良県警の取調室は半壊……いや、全壊したとか……
※え!?こんなんでおしまい!!?

END

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