Eighter -Bizarre Investigate-
26ther 〜完璧過ぎた女の難〜



#0
 出る杭は打たれる……と、言いますが……今回は……『出る杭は完膚なきまでに滅殺される』……という出来事
を綴った事件簿である。

#1
 東京都、某所
刀持隕山(いんざん)「ふ〜〜む……」
警官「刀持警部……ガイ者はナイフで滅多刺しの上車で轢かれ、さらに毒物反応が……」
隕山(いんざん)「……そうとう恨まれていたようだな……」
 これは、正しく『恨みなどと言う言葉では生ぬるい』を地で行く事件だな……と刀持警部
警官「いえ……それがですねぇ……調べた結果彼女、沖津正子氏は学校でも成績優秀、地域でも評判が良く全てに
おいてパーフェクト……ついたあだ名が『女出来杉』という超人でして……とてもとても恨みがあったとは思えな
いのですよ……」
隕山(いんざん)「ふ〜〜む……そいつぁ……」
警官「……謎ですね……」
 怨恨の線は無しか……と刀持警部……
警官「刀持警部……目撃者が出ました……どうも、アヤしげな黒尽くめの男を見かけたという情報があちこちであ
りまして……おそらくそいつが犯人だと思われます」
 そこへ、警官の1人が、有力な情報を持ってくる
隕山(いんざん)「おし!さらに詳しく聞き込め!犯人を特定するんだ!!」
一同「はっ!!」

 直ちに聞き込み調査を開始……地元の人たちも彼女の死に嘆き、なんとしてでも犯人を逮捕して欲しいと捜査に
協力的だった……のだが……
 しかし、捜査を行ってから1週間……未だに犯人の特定はおろか、絞り込みさえ出来ていなかった……
 東京都、警視庁
隕山(いんざん)「どういうことだ!?……」
警官「犯人の特徴は黒いコート……これはまぁ、分かるとして、額に傷があり、日に焼けた男とのことだったが…
…」
警官「……あと、右腕に刺青があるとの情報もありましたが……」
警官「サングラスをかけていた……ってな情報もありましたよ……」
※額に傷、日に焼けた……右腕に刺青……こ……これって……もしや……
警官「刀持警部……もしかしたら犯人は特殊メイクの達人なのかもしれませんよ……」
隕山(いんざん)「ああ?」
警官「ホラ、ドラマでもよくあるじゃないですか……傷跡をメイクで作ったり、肌の色を変えたり……」
隕山(いんざん)「まさか……」
警官「……だとしたらヤツはハリウッドにいた可能性もあるな……」
一同「いやいや、なんでそうなるんですか!!」
警官「え!?そう思わない!?……特殊メイクといえばハリウッドって……ねぇ?」
一同「なるほど、そいつぁ一理あるな」
 いや、安直な発想に納得するなよお前ら……

#2
隕山(いんざん)「ともかく……もう一度、その犯人を……モンタージュ作成は出来ているか?」
警官「はい、バッチリ。代々伝わる似顔絵術を使える筋肉隆々なヤツがおりまして……」
 その人ってどこぞの錬金術師だったりするんじゃ?
隕山(いんざん)「そうか……おし!」

 かくて、一行は再び捜査に乗り出した。
 一方その頃、総介もまた、一人(正確にはいつもその傍らには桜がいるので一人ってわけではないですが……)
でこの事件を探っていた。
(かみ)総介「やはり、この事件、怪訝(おか)しい……」
山咲(やまざき)桜「……『女出来杉』の異名を持つ完璧超人が……本当にみなに愛されていたか……ということですね?」
 人間ってのは本来人のアラを探すことが楽しみで仕方がない生き物ですからね。
※いや、そこまでじゃないでしょ……きっと
尾住砲遣(おずま・ほうけん)「大体にして、この目撃証言からして既に怪訝(おか)しい」
 そこへ、総介のために探りを入れてきたのだろう教授が推参する。
 ところで、この人は普段一体何をしている人なのか?この前は病院に居たけど、医者ってわけではないし……
※まぁ、教授の正体が何者であるかなんてのは今回の事件には全く関係がないので割愛となります。いつかきっと
 作者が忘れていなければ、教授の正体も明るみになると思います(いや、それって……)
 ……話が脱線したので元に戻そう。
砲遣(ほうけん)「目撃証言によると全身黒尽くめで右腕に刺青があった……とある」
桜「それは怪訝(おか)しいですね」
 全身黒尽くめの状態で一体どうやって刺青を見ることが出来るというのか……
砲遣(ほうけん)「それだけじゃない……額に傷跡がった、褐色の肌だった、サングラスをかけていた、瞳の色は赤だった……
などの目撃証言も……」
 まとめると右腕に刺青があり、額に傷痕があり、褐色の肌で赤い瞳にサングラス……おやおや、どこぞのイシュ
〇ール人を彷彿させますな……
※事実、描かれたモンタージュもやはり、傷〇漢(ス〇ー)に酷似していたという。
総介「フン、出る杭は打たれるってヤツだな……」
砲遣(ほうけん)「いやいや、打たれ過ぎでしょう……」
 最早お分かりかもしれないが、今回の事件、犯人はこの近所にすむ全員である。
 傑出した才能をもつ彼女は付近一帯から嫌悪され……そして、その果てに街ぐるみで抹殺されたのだ……
 事件を解決するには街一つをまるごと投獄しなくてはならない……当然そんなこともできるはずがなく、これは
ある種の完全犯罪ともいえた……
桜「……警部、どうしましょうか?」
総介「俺達に出来ることはなにもない……」
 こうして、この事件は総介でも解決できない迷宮入りの事件として長らく語り続けられることになったという。


END

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