Eighter -Bizarre Investigate-
6ther 〜踊り踊らされ偽刀 B〜



#3
 一旦事件を整理するべく、警官一行は引き上げることに……
 それからしばらくたつも、一行に捜査は進展しなかった
 富山県、富山県警
志摩椅埴亜(いじえ)「何か見つかったか!?」
警官「志摩警部……いや、サッパリです……」
椅埴亜(いじえ)「そうか……困ったな……」
警官「でも、安心してください……『迷宮入り』という言葉はこのときのためにある言葉です」
警官「そうですよ!!」
椅埴亜(いじえ)「ふむ……一理あるな」
 ねぇよ!これっぽっちもねぇよ!
警官「任せてください。何を隠そう私は事件を迷宮入りにするプロです!」
 胸を張ってそんなことを豪語する警官が一人。
 をい、マテコラ!
(かみ)総介「ほぉ、随分と面白い話を行ってるようだな……」
一同「ヒギエィアッ!」
 と、そこへ総介と桜が出現。二人が現れたことで現場は騒然とする
椅埴亜(いじえ)「こ、これは(かみ)警部、ご機嫌麗しゅう」
 愛想笑いを浮かべ、ゴマすりしながら総介にすり寄る志摩警部。
山咲(やまざき)桜「はぁ……」
 ため息しかでない桜であった。
椅埴亜(いじえ)「いや、(かみ)警部……これには海よりも深く、山よりも高いワケがありまして……」
総介「ほぉ、言ってみろ?」
 もっとも、貴様らに俺を納得させられるだけの理由を思いつくとは思えないがな……と総介。随分と上から目線
だが、まぁ、仕方ないよね……
椅埴亜(いじえ)「一番怪しいと思われていた山下海上(うみかず)氏はシロ……捜査は行き詰ったというわけです」
総介「で?」
椅埴亜(いじえ)「……いや、それだけですが、何か?」
総介「巫山戯(ふざけ)るなぁああッ!貴様らはもう帰れ!」
 捜査の邪魔だ!と怒号を放つ総介。

 と、いうわけでここからは総介のターン。
 早速総介は事件現場へと足を運ぶ。
 天四斗(あまよと)高昏(たかくら)高昏安明(たかくら・やすみ)「一体誰が兄さんを殺したのよおおおお!!!!」
桜「落ち着いてください」
安明(やすみ)「これが落ち着いていられますかッ!」
 ヒステリックに叫ぶ安明(やすみ)。マトモに会話ができる状態ではない……
桜「警部、他に恨みを持っている人がいないかと探ってみたところなのですが……」
 捜査線上に浮かびあがった人物は大生小死(だいなり・しょうじ)……
 しかし、富山県警も無能ではあっても馬鹿でない(多分……)既に家宅捜査は実施済みなのだが、凶器の刀が見
当たらなかったことでこれはシロだと勝手に判断したのだという。無茶苦茶だな。
安明(やすみ)「きっとその人が犯人なのよ!!私との交際を兄が認めなかったから……ええ、きっとそうよ!!」
桜「交際?いや、そんな話は始めてですね……」
安明(やすみ)「ま、私が兄さんに認めないようにきつく言っておいたんですけどね!」
 えっへんと胸を張って威張る安明(やすみ)
総介、桜「……」
 このブラコンをこじらせた妹をどうにかしたほうがいいのでは?と思う二人であった。

#4
桜「警部、この、大生(だいなり)氏の職業なのですが……」
 桜の調べた結果によると大生(だいなり)氏は新潟に本社を持つ柔多(やわた)製鉄所に勤めているという。
総介「製鉄所か……なるほどな……」
 それを聞いて総介はあることを閃く。
 それは今回の事件解決のカギだ。
総介「行くぞ!山咲(やまざき)!」
桜「はい、警部!」
 かくて、総介は新潟へ飛ぶ
※飛ぶって言っても何も空路を使うのではなく、陸路を使っているのだが、そこはまぁ、比喩表現ってことですわ

 新潟県、柔多(やわた)製鉄所
大生小死(だいなり・しょうじ)「アンタは……?!」
総介「(かみ)総介、SRAPだ!」
小死(しょうじ)「すらっぷぅ?!」
安明(やすみ)「警部さん!やっぱり、この人が犯人です!!……この腐ったドブ鼠のような臭い……私、犯行現場で嗅ぎま
した!!」
 いきなりその場に出現した安明(やすみ)に驚きを隠せない一行。
 無理もない、アンタ、一体どこから現れた!?
 って言うか、どこからもそんな臭いなどしないので、彼女の嗅ぎ間違いだろう……
小死(しょうじ)「警察ってことか……またかよ……この前も捜査されたが、何も出てこなかったんだろ?」
桜「ですが、ここは鉄を加工する場所でしょう?」
小死(しょうじ)「なるほど、刀を熔かして証拠隠滅を図ったと……」
 馬鹿馬鹿しい、刀なんてのはなぁ、高いんだぞ!そんな勿体ないことなぞできるわけがない!
総介「時に、先ほどこんなものを見つけたのだが、これについてはどう説明する?」
 カランと熔けた刀身の残骸のようなものを放り出す総介。
小死(しょうじ)「馬鹿なッ!あれは完全に鎔解したはっ……」
 しまった!と思ったが時すでに遅し
総介「フン、話は署で効かせてもらおうか」
小死(しょうじ)「うぐ……ぐぐぐ……」
 がっくりと項垂れる小死(しょうじ)。ポロっと口を滑らせてしまった結果がコレだよ!
総介「しかし、貴様も随分と馬鹿なことをしたもんだな」
小死(しょうじ)「はぁ!?」
 それは一体どういう?と首をかしげていると、桜が続ける
桜「貴方は安明(やすみ)さんとお付き合いをしたいと思っていた……ですが、兄の高昏(たかくら)さんは頑なに交際を認めないと言っ
ていた」
小死(しょうじ)「あ、あぁ、そうだ」
 奴がいる限り俺は永遠に彼女と付き合うことが出来ない。だから殺した!
総介「貴様は知らないようだから言っておこう。交際を認めないと言うように強要していたのはほかならぬ安明(やすみ)の
方だ」
小死(しょうじ)「うそん!」
 何のための殺人だったのやら……と、落胆する小死(しょうじ)……だが、全てはもう遅かったのだ……
 かくて、小死(しょうじ)は警察に連行され……ようやく全てが終わったのであった……
※ってか、さっきの安明(やすみ)の暴言が小死(しょうじ)には聞こえていなかったのか?

椅埴亜(いじえ)「しかし!!製鉄業を営んでいるからこそ、刀を作り出すことができたとはな……」
桜「いえ、今回の事件で使われた凶器は刀じゃありませんよ……」
一同「はい!?」
 桜の発言に一同、驚愕
総介「刀とは砂鉄をたたら製法にて作る刀剣。ただ金属を刀の形状に加工しただけのものとはワケが違う……」
桜「……ええ、ただの鉄なんかで作ったらすぐ錆びて使い物にならなくなりますし……」
 ……この事件の凶器は……言うならば『偽刀』


END

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