Eighter -Bizarre Investigate-
5ther 〜催眠術商法の恐怖 B〜



#3
 老人を相手に金を(むし)り取る新手の詐欺商法、その名は催眠術商法!
 その最大の特徴は催眠術にかかっている間にコトが済んでしまい、クーリングオフが出来ない点にある。
 果たして、君は生き延びることが出来るか?
※そんなガンダムじゃないんだから……
 その日、総介は催眠術商法にかかり人身売買や土地を勝手に売り飛ばしてしまい投獄された老人たちの話を聞き
に富山県のとある留置場を訪れていた。
老人「儂ぁ、何もしらんのですじゃ……気が付いたら孫娘がヘンタイ貴族の肉奴隷にされとったんじゃ……こんな
無茶苦茶な話があるもんかい!」
老人「アンタなんかまだマシなほうじゃろうて……儂なんて気づいたら孫娘と裏ビデオを撮っておったんじゃ」
 いや、その年でアッチの方がまだ現役とか驚嘆に値するわ!
 更に話を聞いていると、競り落とした万年筆で腕をザクザク貫きにかかる老人が出現しただの、突如涙が枯れ果
てるまで泣き出す老人が出現しただの、競り落としたブツを抱きかかえ、悲鳴を上げながら会場を走り出す老人が
出現しただの、よくわからない話が出てくる始末。
※いや、それ、名探偵〇ナンのとある惨劇の夜だろ?
山咲(やまざき)桜「警部……」
(かみ)総介「催眠術商法……また巫山戯たヤツが出てきたものだな……」

 その頃、富山県警では……
 バムッ!
警官「たっ、大変です!!」
志摩椅埴亜(いじえ)「ん〜〜、どうした!?」
 突如血相を変えて現れる警官
警官「今度は主婦層が狙われましたッ!」
 催眠術商法の新たな犠牲者……老人の次に狙われたのは暇を持て余した主婦層だという
椅埴亜(いじえ)「老人の次は主婦か……」
警官「自分の体や娘、果てには夫の保険金までも奪われたそうです」
 自分の体ってのは若奥様だけなのだろうな……などとどうでもいいことを考える志摩警部
警官「中には夫を事故死に見せかけて殺害した人もいる始末で……これはもう……」
一同「……」
 それはまた、狂気に満ちた人間もいたもんだ……と一同は唖然とする。
椅埴亜(いじえ)「で、肝心の被害は!?」
警官「あ、はい、老人と違い、50億くらいだそうです」
椅埴亜(いじえ)「……老人の被害額に比べると……結構少ないな……」
警官「まぁ、今は不況で、奥様方も結構厳しいんでしょう……それに、老人には老後の蓄えがあったってことなん
じゃないでしょうかね」
一同「なるほど……窓を得た発言だな」
冷静に分析する警官に、一同は納得する。
※いや、納得している場合じゃないでしょうに……ちなみに『窓を得る』なんて諺はありません。正しくは『的を
 射る』か『当を得る』です。……ってか凄い間違いだな……

#4
 そして、独自に捜査を進めていた総介、桜はというと……
桜「警部、見てください!」
 一人の犯罪者の記録を持ってくる桜
総介「夏来蛙有里(げらあ・ゆり)か……」
桜「はい。なんでも自らをユ〇・ゲラーの生まれ変わりと称する奇人で……」
 ってちょっと待てぇい!まだユリ〇ゲラーさんはご存命だからッ!
総介「数年前にアヤしげな宗教団体、真鸞(しんらん)会に入り、普通なら騙される所を逆に催眠術を使って教祖ら全員を騙し
返し、全ての金を奪ってトンズラ……事実上真鸞(しんらん)会を壊滅に導いた漢である……か……」
桜「無茶苦茶な経歴ですね……」
 全くだ。
桜「それから、こんなチラシも見つけました」
 そういって一枚のチラシを取り出す桜。
 そこには次の水曜日にて域椙侘(いきすぎた)ホールでオークションを開催するということが書かれていた。
 主催者は勿論、夏来蛙有里(げらあ・ゆり)である。
総介「フン、今度は若者向けの詐欺ってことか……大方、カード破産にでも追い詰めるつもりだろう……」
 奴が次に仕事を行う場所は分かった……ならば、あとは奴を逮捕するだけだ。
総介「……」
 が、しかし、相手が手練れの催眠術師なため、下手に動くのは危険だ

 そして、あっという間に時間は過ぎ、運命の水曜日が来たる。
 天四斗(あまよと)域椙侘(いきすぎた)ホール
*「おい!主催者まだか!!」
*「とっととはじめやがれい!!」
 キれやすい最近の若者が集い……ガヤガヤとどなりたてる……
夏来蛙有里(げらあ・ゆり)「さぁ、大変長らくお待たせしました……今より、天四斗(あまよと)オークション、開催であります。さぁ!お金
を!!」
 と、そこへ有里(ゆり)登場。例の如く、お金を……お金を……とエコーがかかり、声がホール全体に響き渡る……
 シ〜〜〜ン……
有里(ゆり)「さぁ!まずはこの腕時計!!タダの腕時計じゃあないぞ!なんと!あの天下の名工ロレックスを欺くために
作られた逸品!!さ!今回は10万円から、誰か居ないか!?居ないか!?」
 バタムッ
 ドカドカドカッ
警官「そこまでだッ!夏来蛙有里(げらあ・ゆり)!詐欺の疑いで貴様を逮捕する!」
 オークションが始まろうとしたその瞬間、域椙侘(いきすぎた)ホールに警官がなだれ込む。
一同「な、警察ぅ!?」
 ただし、これは総介が指示したことではない。
 富山県警の連中もまた、ばらまかれたチラシを見て、今日、域椙侘(いきすぎた)ホールで詐欺が行われることを突き止めて、
ここへやって来たのだ。
警官「さぁ!大人しくしろ!」
有里(ゆり)「フッ……」
 だが、邪悪な笑みを浮かべる有里(ゆり)……そう、奴には催眠術という最大の武器があるからだ!


続

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