朱い宇宙そらの侍・祖章エデン
第15幕 〜神が賜えし牙 後編〜



ひょんなことから綱國こうこく財閥の財閥嬢が俺達と行動を共にすることになって……そしてひょんなことから邸宅に
招かれたのだが……この先、一体どうなるんだろうね……
綱國こうこく財閥邸宅、書斎。
珠数恒次たます・こうじ「あ〜〜、ヒマだな〜〜〜」
邸宅に招かれた一行は書斎で待機中……
コツコツコツコツコツ
と、そのとき……足音が近づく
国田正貫くにた・まさぬき「遅くなって申し訳ございません」
正貫まさぬき丸鬼まきと共に帰ってくる
……どうやら探していた本がなかなか見つからなかったとのこと……つい先日書庫の並べ替えをしたらしい
※ってか1万冊もある本をよくも並べ替えようと思ったな……
大典光おおのり・ひかる「……さて……」
正貫まさぬき「はい。今日の昼……いえ、先日のお手合わせの時からまさかとは思っていたのですが……」
パラパラパラパラッ
本をめくる正貫まさぬき
正貫まさぬき「こちらです……」
すっ……
そのページには……
日宗三月ひむね・みつき「神鉄ぅ!?……何それ!?聞きなれない名前ねぇ……」
綱國丸鬼こうこく・まき「神鉄……?……確か加工する技術が途絶えて久しい意思を持つ超金属だったはず……でも、
 それが何か!?」
正貫まさぬき「はい、確かに神鉄は加工する技術も精製する技術も失われている太古の金属です。ですが、その金属を
 加工して作られたものは世界にいくつか残っています……」
三月みつき「話がよく見えないんだけど……」
安童切子あんどう・きりこ「……つまり、ひかるの持つ刀の材質が神鉄である……」
ぼそっと重大なことを呟く切子きりこ
正貫まさぬき「その通りです」
ひかる「な……何だってぇ!?」
恒次こうじ「お前……そんなスゲェモンを!?」
ひかる「ちょっと待て……神鉄がなんたるかってのは分かった……けど、それとこれとどうして結びつく?」
正貫まさぬき「こちらのページもご覧下さい」
パラパラとページをめくる正貫まさぬき
三月みつき神魔光叢牙しんまこうそうが……?」
切子きりこ「……神魔光叢牙しんまこうそうが……神鉄を加工して作られた兵器。意思を持ち使い手を選ぶ兵器。……使用者と
 して認めた場合刀身から蒼い光を放つ。以後、使用者の精神状態に呼応して蒼く光ることもある……」
ひかる「何!!?」
正貫まさぬき「先日の戦いでのあの蒼き光……そして使い手と認めたもの意外触れることの出来ない兵器……その
 2つは神魔光叢牙しんまこうそうがである条件を満たしている……」
※使い手以外は触れることが出来ないって今までの文中に出てきてないんですけど……って?深く考えちゃ
 ダメです。(おいおい)
ひかる(そんな……じゃ、烏丸が言ったあの言葉……初めて抜いたときのあの蒼き光……俺の精神状態によって
 光り輝く刀身……?……)
三月みつき「……そうなの……?」
ひかる「……そう……らしい……」
正貫まさぬき「その刀……どこで入手なさったのか、お話願えますかな?」
ひかる「……ああ、ちょっと長くなるし、ムダな部分もあるかと思うが……いいか?」
正貫まさぬき「ええ、構いません……」
ひかる「……分かった……」
・
・・
・・・
と、言うわけでこれまでのいきさつをまぁ、ちょこちょこっと端折りつつ話すことに……
正貫まさぬき「……なるほど……なるほど……」
丸鬼まき「……私……親がいるだけまだ幸せなのね……」
ひかる「……」
正貫まさぬき「烏丸……ですか?」
ひかる「ああ、ヤツが何者なのか俺にもわからん……だが、きっとヤツは俺の家族を殺したヤロウについてきっと
 何か知っている……と思う……」
……ちなみに烏丸が切子きりこを俺に託したってな顛末は省略させてもらった……何せ話すとなんだかややこしい
ことになりそうだからなぁ……
恒次こうじ「……はぁ……なんだかすごい展開になってきたもんだ……」
切子きりこ「……」
丸鬼まき「では、折角ですから我が財閥の力を駆使してあなたの仇や烏丸氏について調べてみるのはどうですか?」
正貫まさぬき「ふむ。確かに……良きアイディアかもしれませんぞ……」
ひかる「……いや、しかし……」
丸鬼まき「人の好意は素直に受け取るべきですよ」
恒次こうじ「おう、財閥嬢様がこういっているんだ、ここはしっかりと……」
三月みつき「アンタはちょっと黙ってなさい」
恒次こうじ「うええぃ……何でだぁ!!」
……確かに世界に進出している(んだよね?きっと)←うぉい!……綱國こうこく財閥の力を使えば今まで以上に
ハイスピードで確実な情報が舞い込んでくるだろうが……何か……こう、イヤな予感がする……
ひかる「……」
沈黙が続く……
三月みつき「どうするの?向こうはああ言っているけど……別に断ってもいいんじゃない……あなたが決めれば
 いいことだし……」
と、三月みつきが切り出す……
ひかる「……では……お願いします」
正貫まさぬき「はい、お任せください」
パタンッ
そして本を閉じる正貫まさぬき
正貫まさぬき「お話はこれで以上です」
ひかる「さて……じゃ、そろそろ帰りますわ……」
丸鬼まき「もうお帰りになりますか?」
恒次こうじ「おう!ひかる、折角だからもっとゆっく……」
ドゲシッ
恒次こうじ「げふぁ!?」
三月みつきの一撃で吹き飛ぶ恒次こうじ……哀れナリ……
三月みつき「はい、帰るわよ!」
ズルズルズルズルッ
そのまま恒次こうじを引きずって歩いていく三月みつき
ひかる「……行くぞ……」
切子きりこ「……分かった……」
……と、言うわけで綱國こうこく財閥を後にする俺達
ひかる(……烏丸とかいうヤツ、何の目的で俺に神魔光叢牙しんまこうそうがを託したんだ!?……本当にアイツは一体何者
 何だ!?)
……帰り道の間ずっと考えて居たのだが……答えが出るはずもない……
だが、この日を堺に物語は急加速するの……だ!?


続

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