Eighter -Verdant Nightmare-
6ther 〜死の雨を降らす者 A〜



#0
 零道漓(プルウィウス)の復活、それは世界の破滅への一歩である。
 それを防ぐためにEighterは歴史の墓場を経由して月までやってきた。しかし、努力虚しく零道漓(プルウィウス)は解き放たれ
てしまった。
※でも、それは全て総介の思わく通りだったという噂もありますが、信じるか信じないかはあなた次第です。

#1
 褐色の怪しいメイドさんが本気を出せばトバリの亡霊を滅殺するのは朝飯前である。
 だが、そこまで手間をかけるほどの価値があるとも思えないし、何より、まだ彼女はその正体を隠していたい。
 だから、褐色の怪しいメイドさんはこの死合を静かに見守ることにした。
零道漓(プルウィウス)「『力』、『技』、『位』か……だが、貴様ら如きが束になってかかったところで俺を止められると思うの
か?」
白拍子かなり「じゃあ、やってみましょうか?」
 真殺影刃を大鎌の形状に変化させてかなりが吠える。
梓與鷹(よたか)「おいおい、大丈夫なのか?」
上総介「さぁな……だが、ここは奴らに任せるしかない。それに……」
レース・アルカーナ「この地もまた、界間撤鋼接衝点(アクセスポイント)だから」
白拍子かれん「じゃあ、もう何も怖くないわね」
 それはフラグだ!と一行が心の中で盛大に突っ込みを入れた。
 さておき、かれんも予兆共鳴者(オーメンレゾナンス)に加えて光焔熾(こうえんし)で作った炎の刃の二刀流で零道漓(プルウィウス)を睨みつける。
かなり「じゃあ、ポチ、行って来い!」
かれん「……誰がポチですか!」
かなり「あぁ、ごめんなさい。男の場合はポチで女の場合はミケだったわね。行け!ミケ!」
かれん「いや、だから……」
※どこの賭○グルイですか!
 さておき、かなりに足蹴にされるかれんだが、逆らうと後が怖いので泣く泣く突撃を開始。
 ガインッ
零道漓(プルウィウス)「ぬっ!?人間の癖にこの力……」
 X字に斬りかかるかれんの凶刃を零道漓(プルウィウス)は片手剣でこともなげに受け止めるのだが、力負けして後退る。
 ここが界間撤鋼接衝点(アクセスポイント)だから、奠夷瑪(ディーヴァ)の力をいつも以上に発揮できるという理由もあるが、途中で破壊されたと
はいえ封界(ほうかい)(やじり)によって力を弱められている。
零道漓(プルウィウス)(だが、それだけでは説明が……)
 そして、もう一つ、この地には死してもなお零道漓(プルウィウス)に抗おうとするトバリの執念が渦巻いていた。
 二つの要因が重なり、零道漓(プルウィウス)の力を削いでいく。

#2
零道漓(プルウィウス)「なめるなよ……」
 すううっ
 ゆっくりとした動作で剣を最上段に構える零道漓(プルウィウス)
零道漓(プルウィウス)驀愀剿(ばくしゅうそう)!」
白拍子かんな「かれん姉さんっ!」
かなり「はいっ」
かれん「え?何?……ぐえっ!?」
 スドオオンッ
 突如かれんの背後に立つとそのまま首根っこを掴んで横に移動するかなり。
 と、同時に、かれんがいた場所を剣閃が素通りする。かなりが助けていなかったら今頃かれんは真っ二つだ
與鷹(よたか)「な、何ぃ!?なんだ今のは!?」
 いつの間にか零道漓(プルウィウス)は剣を振りぬいていた。先ほどの剣閃はその衝撃波だ。だが、與鷹(よたか)零道漓(プルウィウス)がいつ、剣を振
りぬいたのか、全く感知することができなかった。
零道漓(プルウィウス)「避けたか……だがッ!」
 再び剣をゆったりと最上段まで上げて止める零道漓(プルウィウス)
かなり「はい」
 ドンッ
かれん「わっ!?」
零道漓(プルウィウス)驀愀剿(ばくしゅうそう)!」
 ズドオンッ
 かなりがかれんを突き飛ばすと同時に反動で後ろに飛び退ると、再び、かれんがいた場所を剣閃が吹き抜ける。
與鷹(よたか)「なっ、識狼天見(しきろうてんげん)でも辛うじて察知できる程のスピードだと?!」
総介「フッ、相手は神だ。さもあらん」
 そんなことを言われるとぐうの音も出ない與鷹(よたか)であった。
かれん「ってか、私ばっか狙われてない?」
かなり「さぁ?ドリアードじゃないの?」
かれん「それは『きのせい』違い!」
零道漓(プルウィウス)「余裕だなぁ、オイ!」
 アホなコントのせいで余裕に見えるが、そんなことはあんまりない、少ししかない、ほとんどない。
 さて、真面目な話をしよう。零道漓(プルウィウス)が繰り出す目にも止まらぬスピードの斬り下ろしだが、これこそが零道漓(プルウィウス)の
切り札にして真骨頂。
 『蒼天』の破壊神、泱硫堕(オルクス)が春眠暁を覚えずを体現した(いや、本当に体現していたか?)破壊神であるならば
零道漓(プルウィウス)が体現するのは、秋の日は釣瓶(つるべ)落とし!
 秋は日暮れが早いことを井戸などで水をくむための釣瓶(つるべ)がストンと落ちる様で現した諺がソレだ。
 そして、釣瓶(つるべ)落としの様に最上段からの超高速の斬り下ろし。それこそが驀愀剿(ばくしゅうそう)であり、零道漓(プルウィウス)の必殺技なのだ
 力を削がれているとはいえ、破壊神が繰り出す一撃である。防ぐことは不可能だ。


続

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