Eighter -Verdant Nightmare-
4ther 〜親鳥を堕とす勢い A〜



#0
 世界の破滅、それは微朱主(ヴィシュヌ)の復活と深く結びついている。
 そして、これは微朱主(ヴィシュヌ)復活を阻止するための物語。
※まぁ、こういうコンセプトの場合、大概最終的に阻止失敗するんですけどね(をい)
 さておき、今回は久しぶりにEighterに依頼が舞い込んだところから物語は始まる

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
*「頼む、奴を……俺からいろんなものを奪っていったあの憎い野郎を、殺してくれッ!」
一同「ちょ、ちょ、ちょ」
 突如として漢が入ってくるや否や、入り口で土下座してそんなことを叫び出す。
梓與鷹(よたか)「ってか、ウチはそういう依頼を請け負う場所じゃないから……」
*「そ、そんな……」
 愕然とする漢。彼は名を佐丸降斗(ふると)と言った。
 何をどう間違えたらここが殺しを請け負う場所と勘違いしたのかはさておき、もしかしたら何か力になれること
があるかもしれない。と、一行はとりあえず話を聞いてみることにした。
佐丸降斗(ふると)「善鸞会を知っているか?」
雨水(おぼろ)「いや、知らんけど……」
降斗(ふると)「では、そこから話そう。善鸞会というのは世界の光の後継者を崇める教祖が興した新興宗教団体だ」
 世界の光と言うと、親鸞聖人(しょうにん)のことだが、善鸞とはその親鸞聖人(しょうにん)の息子のことである。
 なるほど、親鸞聖人(しょうにん)の息子であるならば、世界の光の後継者と言うのも強ち間違いではないかもしれない……と
思われたが、しかし、現実は違った。なぜならば……
白拍子かんな「善鸞……彼の者は親鸞聖人(しょうにん)の教えを否定し、自らが正統であると主張し、親鸞聖人(しょうにん)から事実上の破
門を言い渡された人物です」
 つまり、世界の光の後継者とは全くの逆。世界で最初に闇人(あんじん)の地位についたのが善鸞であるという説さえある人
物なのだ。
 そして善鸞会とは勝手に正統を名乗る善鸞の教えを世界に広めるために活動をしている宗教団体なのである。
かんな「現在の教祖は闍鸞(じゃらん)。自らを善鸞の生まれ変わりと称する人物です」
(おぼろ)「なんか旅行に行きそうな名前ね」
※旅行に行きそうというか、旅行に行かせそうなネーミング
降斗(ふると)「そして、俺の恋人は善鸞会に入信して、莫大な金を貢がされた挙句、借金を苦に自殺したんだ……」
 涙ながらに語る降斗(ふると)降斗(ふると)「だから、なんとしてでもあの野郎どもをブチ殺して欲しいッ」
 話が振出しに戻った

#2
 調べていくうちに善鸞会の悪質な点が浮き彫りになってきた。善鸞会はあたかも親鸞聖人(しょうにん)の教えを広める真っ当
な組織だと騙り信者を増やしているという。
 そして、入信のイニシエーションとされる儀式が常軌を逸している。教祖の前で裸になり身も心も委ねるという
トンでもない儀式となっているのだ。(なお、これを全裸無行(ぜんらんぎょう)というらしい)
※善鸞じゃなく全裸(ん)じゃん……
降斗(ふると)「殺してくれ!奴らを一人残らずッ!」
 善鸞会の非道さを知り血涙と共に叫ぶ降斗(ふると)
與鷹(よたか)「しかし、何度も言うようだが、俺たちは殺しを請け負う組織ではないんだ。そこは分かってほしい」
降斗(ふると)「だったら、善鸞会を叩き潰してくれ!そして、奪われた家宝を取り戻してくれ!それならばッ!」
(おぼろ)「奪われた、家宝?」
降斗(ふると)「そうだ、俺の恋人、玲津(れつ)家の迂蘭(うらん)タンの家に代々伝わる……」
(おぼろ)「ちょ、ちょっと待って……劣化ウラン弾がなんだって?」
 なんかとんでもないセリフが出てきたような……と、思わず会話を遮る(おぼろ)。すると降斗(ふると)はムッとした顔で叫ぶ
降斗(ふると)「劣化ウラン弾じゃねぇ!玲津(れつ)家の迂蘭(うらん)タンだ!」
一同「……」
 恋人の名前は玲津迂蘭(れつ・うらん)降斗(ふると)は彼女の事を親しみを込めて『玲津(れつ)家の迂蘭(うらん)タン』と呼んでいたらしい。
 それではまるで他にも『ウラン』の名前を持つ女性と交友していたように思われるが、とりあえず深く追求しな
いことにした。
 話を聞くと、彼女は善鸞会に入信し、莫大な金を貢がされたのだが、支払いが間に合わず、家宝までも奪われた
のだという。
 そして、その家宝が、宝石で作られた地球儀のようなモノ、アースベリルである。
降斗(ふると)「このアースベリルの面白いところは、日本列島だけが左右逆で作られているという点なんだ」
與鷹(よたか)「ほう、それは面白いな」
 目をキラキラと輝かせる與鷹(よたか)。それを見た一行は、あ、これは與鷹(よたか)のオーパーツ魂に火が付いたな……と思った
與鷹(よたか)「ならば、家宝を奪い返せたならば、報酬はソレということでどうだろう?」
一同(あぁ、やっぱり……)
降斗(ふると)「それは……構わないが……」
一同(構わないんだ……)
與鷹(よたか)「よし、では、善鸞会に乗り込んでアースベリルを奪還しに行こう!」
 こうして、アースベリル奪還作戦が始まった


続

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