Eighter -Scarlet Nocturne-
57ther 〜埃及(エジプト)に眠る影の都 A〜



#0
 《ザ・テンペスト》、大神の降真靈(こうしんりょう)、ノース光輪結社、そしてU(セカンド)シレントワイザード。
 ヴァルカナを巡る闘争はEighter・有嗎幇(ユーマハン)連合軍の手によって終結へと導かれた。
 ……そのはずだった。しかし、まだ全ては終わってはいなかったのだ。

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
 悪夢(ゆめ)の国での戦闘から1週間後程経ったある日、突如として総介がやってくる
(かみ)総介「行くぞ!」
梓與鷹(よたか)「いや、どこへだよ?」
 主語とかいろいろ足りなさすぎる。
総介「エジプトだ!」
與鷹(よたか)「エジプト?」
山崎桜「先日、U(セカンド)シレントワイザードの本拠地での言葉を覚えていますか?」
 GB夫人(ミセスグレートバシャール)がエジプトでヴァルカナを手に入れたという話のことだろう。
 それならば確かに覚えてはいる。が、それがそこまで重要な話だとはまさか與鷹(よたか)は思ってみなかった。
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ヘッ、双虎拳のルーツはエジプトにあるって言うだろ?」
一同「言わねぇよ!」
 そもそも双虎拳の発祥は中国じゃないのかよ?と内心突っ込みを入れる一同。
総介「ヴァルカナ争奪戦を完全に終わらせるにはエジプトに行く必要がある!そういうことだ!」
 総介が何の考えもなくそんなことを言うわけもなく、ひとまず一行は総介と共にエジプトへと旅だつのであった

 エジプト、某所
與鷹(よたか)「なぁ、総……こんなところに何の用があるんだ?」
 與鷹(よたか)が呟くのも無理はない。総介に従い一行がやってきたのはエジプト某所にある寂れたレストランだったから
だ
梶太郎(かぢだろう)「ヘッ、腹が減っては戰はできぬってな。まずは腹ごしらえをするのは当然!」
 いや、そんなわけはない。と、思っていると桜がぽつりと呟く。
桜「ここ、セベク・オーバー・ザ・センチュリーはチラン・ギャンブリエルの師匠が経営するレストランです」
與鷹(よたか)「なんだって!?」
梶太郎(かぢだろう)「誰だ?……そのアラン・ゲイブリエルってのは?」
出音(でおん)・グロウシュベル「チラン・ギャンブリエルって言ってただろ!」
※名前の元ネタをばらしていくスタイルの梶太郎(かぢだろう)ですが、気にしないでください。
 チラン・ギャンブリエル。それは長崎某所でエジプト料理店を営む青年。本人は自覚がないが《審判(ジャッジメント)》のヴァル
カナリアクターである。

#2
*「なんだい、アンタたち今日の営業は終了だよ」
 ひとまず中に入ろうとすると、店主と思しき女性の声が聞こえる。
 彼女の名前はペコリファルア・エルランド・ソール。みんなからは『ペコ姐さん』と呼ばれているらしい。ヤバ
イですね!
※確かに、いろんな意味でヤバイですね!
與鷹(よたか)(女!?)
 チランの師匠を勝手に漢だと決めつけていた與鷹(よたか)にとって、これは驚きの出来事であった。
総介「フッ、俺たちは料理を食べにここへ来たわけではない!」
ペコリファルア・エルランド・ソール「だったら、何の用件だい?」
総介「お前の腕を店にもらいに来た!」
 そのままドアを開けて、店の中に入ると総介はそう宣言する。
與鷹(よたか)「いや、それだと料理の腕だと勘違い……ってこれ、前にもあったパターン」
 ひとまず、ツッコミを入れつつ、與鷹(よたか)も店の中に入る。
ペコリファルア「腕……か……」
 そういわれて、ペコ姐さんはすっと右手の甲を見せる。そこには赤と青の四角を組み合わせた八芒星にXXの数値
が刻まれていた。
 チランと同じ、《審判(ジャッジメント)》のヴァルカナリアクターだ。
桜「あなたはヴァルカナリアクターですね?」
ペコリファルア「あぁ、コレを持つ者を、そう呼ぶらしいね……」
 ちなみにペコ姐さんもまた、幽闘術の使い手である。彼女の幽闘術は遡上の美食殿(リターナー・ヤミー)と言い、時間を巻き戻し、食
材を最高鮮度にするエクストラスキルなのだという
※どこの伝説の○厨具だよ!
與鷹(よたか)「アンタは自分の弟子にも《審判(ジャッジメント)》のヴァルカナを分け与えた……一体なぜだ?」
総介「いや、俺たちが聞きたいことはそれではない」
與鷹(よたか)「え?総!?」
 いきなり出鼻をくじかれて、與鷹(よたか)は思わず声を荒げる。
総介「お前は、どこでソレを手に入れた?」
ペコリファルア「……ずっと昔のことになるがね、変な漢に貰ったんだ」
與鷹(よたか)「変な漢……貰った!?」
 GB夫人(ミセスグレートバシャール)と同じく、ペコ姐さんも何者かにヴァルカナを貰ったという。
 つまり、その漢を放置しておく限り、ヴァルカナ争奪戦は完全に収束したとは言えないのだ。
総介「その漢の特徴は?どこに行けば逢える?知っていることをすべて教えろ!」
 ぐいぐい迫る総介。傍から見てもちょっと引く態度であった。


続

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