Eighter -Scarlet Nocturne-
54ther 〜九頭龍(クトゥルー)が呼ぶ夜に A〜



#0
 このバカげたヴァルカナ争奪戦を終わらせる。
 その決意のもとEighter・有嗎幇(ユーマハン)連合軍は《ザ・テンペスト》の暗躍を止め、大神の降真靈(こうしんりょう)も活動停止に追い込
むことに成功した。
 そして、一行が次に標的と定めたのはノース光輪結社であった。

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
(かみ)総介「……」
 総介の眼前には嘉曦渋寺(かぎじゅうじ)で大神の降真靈(こうしんりょう)から回収した……いや、奴らが放置していった4つのヴァルカナがある。
 《戦車(チャリオット)》、《死神(デス)》、《悪魔(デビル)》、《浪費(スクアンダー)》の4つだ。
総介「次はノース光輪結社だ!」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おっしゃ〜!行くぜ野郎ども!次の標的はノース光輪結社だ!」
 総介がぽつりと呟いたのを梶太郎(かぢだろう)が拾い、嬉々として叫ぶ。
梓與鷹(よたか)「お前は本当に人生楽しそうでいいな……」
梶太郎(かぢだろう)「残り少ない人生100年時代、楽しまなきゃ損だぜ」
 残り少ないのか100歳まで長生きするのかどっちだよ!
新田姜馬(きょうま)「本当にヴァルカナ争奪戦を終わらせるつもりなんだな……」
総介「フッ、俺が冗談を言う人間に見えるか?」
古畑呂司(りょうじ)「いや、こっちはそこまで付き合いが長いわけじゃないから知らないです」
與鷹(よたか)「まぁ、確かに総が冗談を言っているところは見たことはないが……」
 え?マジで?!という呂司(りょうじ)はひとまず置いといて、話を進める。
與鷹(よたか)「で、総……ノース光輪結社の連中を叩き潰すにしろ、平和的に解決するにしろ、奴らの拠点に乗り込まなけ
ればならないと思うんだが、そこんとこはどうなんだ?」
姜馬(きょうま)「確かにな……だが、ノース光輪結社は世界中に支部を持つ巨大な組織だ。まさか拠点を一個一個潰していく
というわけでもあるまい?」
総介「当然だ。叩くならば総本山に限る!」
山咲(やまざき)桜「場所はイタリアのローマです」
 しかし、そこまでわかっていても、総介は出撃を実行しようとしない。
 それは具体的な作戦が纏まっていないからだ。ただ総本山を叩き潰せばいいだけではない。ヴァルカナ争奪戦か
ら手を引かせることが最大の目的なのだ。
 やがて、総介は考えるのをやめ……たわけではないが、運の女神、かんなの助言を借りることにするのだった。

#2
 熊本県、天草市某所、ノース光輪結社日本支部
*「イエスキリストノータッチ」
スィーロゥ・A・マクサル「イエスキリストノータッチ」
 すれ違う信徒と挨拶を交わしつつ、スィーロゥは通信室へと向かう。
スィーロゥ「少し遅くなったか?」
コージル・S・アーサッキ「いや、少なくとも遅刻ではないな」
スィーロゥ「そうか……」
 そのままWeb会議に接続し、世界各地に散らばる幹部と会合を行う。
 ノース光輪結社としても、ヴァルカナ争奪戦が意味をなくしていることは大きな問題だった。
 C(クトゥルー)文書に記された予言を現実の物とするにはどうしてもヴァルカナが必要だったからだ。
クラウド・ノシュケー・マルーメ「全員そろったようだな……では始めよう。と、行っても、全権代行からの伝言
を伝えるだけなのだが……」
コージル「拝聴しましょう……」
クラウド「司祭の皆様方は至急、総本部へ集合すること。以上だ」
ジョスィフ・クロード「なんだって?」
 バツッ、バツッ
 全権代行からの伝言を聞いたメンバーの大半はすぐさまWeb会議を切断し、ローマへと向かう。
 しかし、ジョスィフの様なごく一部のメンバーだけはまだWeb会議に接続したままだった。
クラウド「聞こえなかったのか?」
ジョスィフ「そういうことじゃねぇ!何もこの場でそんなことを伝えなくてもいいだろうという話だ!」
クラウド「全権代行の命令に背くことは許されないぞ」
ジョスィフ「そういうこと言っているんじゃねぇ……」
 ドンッと机に拳を叩きつけるジョスィフ。その反動で画像が一瞬乱れるが対して気にしない。
ジョスィフ「……チッ」
 ジョスィフとしても総本部に向かわないと言っているわけではない。全権代行の伝言を伝えるだけならば、メー
ルでもよかったんじゃないか?ということを伝えたかったのだ。
 ともかく、不満はあるが、ジョスィフはイタリアのローマにあるノース光輪結社総本山へと向かうのであった。
※別にジョスィフだけが向かっているわけではなく、宣言された通り、司祭の地位にあるメンバー全員がローマへ
 向かっています。
 ちなみに総介がノース光輪結社を叩き潰すと宣言した矢先にこの招集命令が発せられたわけだが、完全なる偶然
です。


続

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