Eighter -Scarlet Nocturne-
16ther 〜凱旋門に影傑現る C〜
#5
梓與鷹「おお!神狼九断(!」
ガガガガガガガガガッ
出音(・グロウシュベル「ハッ!陽明閃刃破(!」
ザガガンッ
もはやオルレアン四天王に絶対的優位はない。ブレストルクとフロンテスタの二人もジリジリと後退せざるを得
なくなった。
しかし、ここで追撃を許すほど與鷹(、出音(は間抜けではない。
ただ、少しでもダメージを減らそうとブレストルクとフロンテスタの二人はスケルトンの騎士を盾に難を逃れよ
うとするのであった。
出音(「逃がすかよ!」
與鷹(「往生際が悪いぞ!」
ブレストルク、フロンテスタ「我らオルレアンの乙女と一戦交えるまでは死ぬわけにはイカンのだ!」
死んでも性欲にこだわり続けるとは、恐れ入る。
※童貞拗らせて死んだんでしょうね、この四人……
さて、一旦與鷹(と出音(の二人にオルレアン四天王を任せ、高みの見物……と、いうわけではないが、一部始終を
見守ることになった一行は、とりあえず謎の彼女に問う。
御御脚(「お前ハ、何者だ?」
薄汚れた衣を身に纏う謎の女性……あまりにも得体が知れなさすぎる。
*「私は、ただの灰かぶりの異人(」
御脚(「灰かぶりの異人(?」
灰かぶりの異人(「ええ」
こくりと頷く彼女。
そして、そのままメイルヒェンを見据えてこう続ける
灰かぶりの異人(「貴方の妹はジャンヌ・ダルクの生まれ変わりでもなんでもないわ。ただのフランス人よ」
メイルヒェン・海藤「いや、まぁ、それは……そうなんだろうけど……」
最初から妹のトンチキを信じているわけではない兄であった。流石ですわ、お兄様
※いや、どこがだよ!
灰かぶりの異人(「彼女を唆し、操っているのは妄執の怨念……いうなれば、邪ンヌ・堕ルク……」
誰がうまいこといえと言った……って感じのネーミングだった。
化野梶太郎(「なんかいきなりやることなくなったな」
古畑呂司(「お前が言うなよ!」
ってか、元はお前の時間稼ぎに與鷹(が頑張ってるんじゃねぇのか?って突っ込みたい
新田姜馬(「先程のスケルトンに効果は抜群の灰汁(……そして灰かぶりと来たか……」
いや、肝心なのは灰汁(……それは煮物料理の際に出てくる方ではない……本来の意味であるとするならば……導
き出される結論は……
#6
姜馬((灰汁(というのは本来は草木灰、つまり藁灰や木灰を水に浸して上澄みをすくった液のことを指す……)
一人考えに浸る姜馬(。
そして、カミカーズを唆しているのがジャンヌ・ダルクの偽物と断言する、その理由とは……
ジャンヌ・ダルクの最期……灰になるまで燃やし尽くされ川に流された……で、あればその水は、広義では灰汁(
とも言えよう。
さらにあのみすぼらしい姿は……まるで灰汁(に浸された衣……
姜馬(「やはり、お前は……」
ガタンッ
姜馬(が確信を持った次の瞬間、世界は闇に包まれる。
より、正確に言うならば、姜馬(の見る世界だけが闇に包まれた。
姜馬(「……なんだ、ここは!?」
パチパチパチパチ……
そして、突如聞こえる拍手。
振り返ると、そこには空虚な存在がいた。それは、アドラメレクである。
アドラメレク「いや、実に見事だね……あれだけの情報からここまで辿り着くとは……」
姜馬(「貴様は、誰だ?」
いや、それよりも、ここはどこだ?
アドラメレク「ここがどこか……そんなことは今はどうでもいい……」
ここまで辿り着けた君にだけ真相を教えよう。彼女はジャンヌ・ダルクであっているよと続けるアドラ
アドラメレク「正確に言うならば彼女は生まれ変わりでも、ジャンヌ・ダルクの意思を継ぐ存在でもなく、正真正
銘、ジャンヌ・ダルク本人だ」
姜馬(「馬鹿な……」
存在情報が消滅していない限り、それが例え人間であっても復元することは容易い……
って、それ、場違いな白き遺物(じゃないですか?
※ちなみに、消滅していないあらゆる存在情報の復元が可能なのはニライカナイという。
姜馬(「何故……」
そんなことが知りたいわけじゃない。どうして、今、突然こんな状況に陥っているのか、それが分からない
姜馬(「……いや、なるほど、そういうことか!」
アドラメレク「本当に理解が早くて助かるよ」
しかし、すぐさま正解にたどり着けてしまう姜馬(。インテリここに極めりって感じだった。
姜馬((彼女がジャンヌ・ダルクであると知られると困る相手がいる……だからこそ、俺がそれを皆に告げる前にこ
んな場所に隔離したということか……)
誰に知られるとまずいのか……それはもう、この状況を作り上げた何者かにである。
続
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