Eighter -Scarlet Nocturne-
16ther 〜凱旋門に影傑現る A〜



#0
 ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりを自称するイタいコスプレ女、カミカーズ・海藤。彼女はヴァルカナの導きに
あいて凱旋門の地下までやってきたのだろうか?!
 それはさておき、Eighter、有嗎幇(ユーマハン)、ノース光輪結社、大神の降真靈(こうしんりょう)……この中でヴァルカナを手にするのは誰
になるのか!?

#1
 ここではないどこかにて……
アドラメレク「どうやら妙な展開になっているみたいだね……」
 これまでの一部始終を文字通り世界の裏側から観察していたアドラは誰もいないこの場所でぽつりと呟く。
アドラメレク「まぁ、どうしてこうなったのか……理由は分かっている……」
 何者かがヴァルカナ争奪戦に介入し、話をややこしくしている。
 そして、アドラはその何者かが誰なのか、既に分かっている。伊達に世界の裏側から観察しているわけではない
のだ。
※ただ、ここでそれを暴露するアドラではない。
アドラメレク「……少し手助けをしてみようかな……」
 それはアドラのちょっとした悪戯心であった。
 アドラがパチンと指を鳴らすと、何もない空間にみすぼらしいボロボロのフーデッドコートを被った謎の人物が
出現する。
アドラメレク「……と、いうわけなんだ?行ってくれるかな?」
 アドラが少し説明をすると、それはコクリと頷くと、その場から姿を消す。
アドラメレク「さて、ヴァルカナも残り少し……」
 正確には少し違うんだけどまぁ、それは今はどうでもいいことなんだけどね……と独り言ち。
 アドラがソレを公表するのは今ではない。
※と、言うかアドラが公表するわけでもない気がするけど……
アドラメレク「さて、ではもう少し観察を続けようかな……」

 かくて、話は凱旋門地下へと戻る。
梓與鷹(よたか)「ちっ、関節を外すってか、骨を外して攻撃を回避するとかインチキにも程がある」
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「ハッ!所詮双狼拳はその程度ってことだな!」
與鷹(よたか)「お前、どうしてここへ!?」
 與鷹(よたか)が苦戦しているところに、梶太郎(かぢだろう)推参。
出音(でおん)・グロウシュベル「俺も手伝うぜ!」
御御脚(ユウ・ユウジャオ)「お前ハ……」
出音(でおん)「共闘だよ」
御脚(ユウジャオ)「……」
 咄嗟に後方でスケルトンと死合っている姜馬(きょうま)呂司(りょうじ)を見る。
御脚(ユウジャオ)(なるほど……いち早くヴァルカナにたどり着くにハ、こうするのガ一番ということか)

#2
御脚(ユウジャオ)「ならば、遠慮なく手ヲ貸してもらうぞ」
出音(でおん)「任せとけ!」
ブレストルク「愚かな……」
フロンテスタ「二人になった程度で我ら四天王を倒せるとでも」
梶太郎(かぢだろう)「ケッ!てめぇこそとっとと往生しやがれ!」
ブレストルク「貴様らに俺たちを倒すことは不可能だ!」
フロンテスタ「何故なら我々にはオルレアンの乙女の加護があるからな!」
 オルレアンの乙女とヤるまでは死んでも死にきれないので倒れなてなるものか!という無茶苦茶な信念が彼らを
今も突き動かしているのだ。
 凄まじい執念である。
※ってかスケルトンなんだから、女を貫く漢槍が既に存在しないでしょうに……
梶太郎(かぢだろう)「行くぜ!虎伏絶掌(こふくぜっしょう
)!……と、いうわけで暫くお前に任せるぜ!」
與鷹(よたか)「いや、ちょっと待てよ!」
 いきなりエンジンかかるまで時間のかかるパワーアップスキルを使って與鷹(よたか)に丸投げする梶太郎(かぢだろう)。酷い奴だ。
御脚(ユウジャオ)「あれハ大丈夫なのカ?」
出音(でおん)「ま、まぁ、大丈夫だろ……多分、きっと……おそらく……もしかしたら」
御脚(ユウジャオ)「……」
 出音(でおん)の言葉が不穏すぎて思わず言葉を失う御脚(ユウジャオ)であった。
出音(でおん)「とりあえず今は目の前の敵に集中すべきだ!そうだろ?」
御脚(ユウジャオ)「お、オお……」
 そんなことを言い切られると心を切り替えるしかない。
出音(でおん)「野郎、骨と骨を外して攻撃を回避するとかトンでもないことを仕出かすようだが……これならどうだ!」
 愛剣のガルシテラヴを抜くと同時に一気に間合いを詰める出音(でおん)
出音(でおん)「ハッ!陽明閃刃破(ようめいせんじんは)!」
 ザザンッ
 目にも止まらぬ速さで刃を煌めかせ、フロンテスタをX字に切り裂く。
 これならば、どう足掻いても骨と骨を外して太刀筋を素通りさせることなど不可能!
出音(でおん)「な、なにぃ!?」
 しかし、それを嘲笑うかの如く出音(でおん)の太刀筋はフロンテスタを素通りする。
フロンテスタ「フッ、無駄だと言ったはずだ……貴様がどんな攻撃を繰り出そうとも、骨と骨を自在に切り離せる
俺に刃が届くことはない!」
出音(でおん)「無茶苦茶過ぎる!」
 人体の構造というか、物理法則を軽く無視してるんじゃないかと思いたくなるような芸当だった。
 こんな敵、どうやって倒せばいいというのか……


続

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