Eighter -Scarlet Nocturne-
8ther 〜海底霊廟の影花嫁 A〜



#0
 瀬戸内海の海底に、ある一つの霊廟。それはカオサイトで作られた遺跡であり、その中にヴァルカナがあるとい
う。
 そして、そこでEighterとノース光輪結社は激突する。
 果たして、ヴァルカナを手にするのはどちらか!?

#1
化野梶太郎(あだしの・かぢだろう)「おらあっ!」
 ドカッドカッ
 その後も何度も拳を突き立てる梶太郎(かぢだろう)だが、しかし、拳打がアレフに届くことはなかった
アレフ・サンドクロック「やれやれ、無駄だと言っているのが、まだ分からんようだな」
 首を左右に振りながら、呆れた様子でアレフが呟く
梶太郎(かぢだろう)「ケッ、てめぇこそ俺をお倒すとかイキがってたくせに全然じゃねぇか!」
アレフ「フッ、キリストの慈悲だというのが分かってないようだな」
梶太郎(かぢだろう)「ハッ!生憎と仏の慈悲みたいなモンは間に合ってんだよ!」
 大神の降真靈(こうしんりょう)が言う『仏の慈悲』とは死と同義だったが、ノース光輪結社が言う『キリストの慈悲』とは何なの
だろうか?
アレフ「愚かな……ならば、神の裁きを受けて滅するがいいわッ!竜巻呼ぶ烏襲穿(トロンベ・ボーホン・ラーベ)!」
 ズドオンッ
梶太郎(かぢだろう)「うごおお!?」
 ドリルのような黒い旋風が梶太郎(かぢだろう)に襲い来る。
 それは触れるものを穿ち貫く必殺の風刃。逃げることも敵わず、直撃を食らった梶太郎(かぢだろう)はそのまま派手に吹き飛
ばされるのであった。
アレフ「イエスキリストノータッチ!……貴様に来世があれば、敬虔なノース光輪結社の信徒であらんことを」
梶太郎(かぢだろう)「何勝手に終わった気でいやがる!」
アレフ「なっ、にぃ!?」
 あの一撃を食らえば致命傷は必至。最早勝負は決した!と考えていたアレフだったが、生憎、梶太郎(かぢだろう)は無駄にし
ぶとかった。
 満身創痍で息は絶え絶えではあるものの、まだ死合える!
アレフ「貴様、バケモノか……」
 思わず一歩後退ってしまうアレフ
梶太郎(かぢだろう)双虎拳(そうこけん)は無敵だあッ!」
 そのままアレフめがけて駆けだす梶太郎(かぢだろう)
アレフ「この、くたばりぞ来ないがッ!竜巻呼ぶ烏襲穿(トロンベ・ボーホン・ラーベ)!」
梶太郎(かぢだろう)金鯱流楼(きんこるろう)!」
 すすすすっ
アレフ「なっ?!」
 しかし、触れるもの全てを穿ち貫く黒き旋風を華麗なステップで回避すると、そのまま拳打を叩き込む
アレフ「あがお!?」
 かくて、ここにアレフ倒れる
梶太郎(かぢだろう)「はぁはぁ……流石にちぃっとやばかった……」

#2
 さて、話は少し戻り、出音(でおん)とカイゼルグの死合へ……
カイゼルグ・N・ショー「女が相手とは俺もなめられたもんだぜ……」
 やれやれだぜぇ……って感じのポーズをとるカイゼルグ
 って、ちょっと待ってほしい。お前はサイレントウィザードの頃、かれんに敗北したと思うんだが……
 忘れているのか、なかったことにしているのか……
出音(でおん)・グロウシュベル「その言葉、すぐに後悔させてやるッ!」
 叫ぶと同時に一足飛びにかかり上段から一気に斬り下ろす
 ガギンッ
カイゼルグ「ぬっ!?」
 流石に今の一撃で勝負がつくようならば司祭は務まらない。
カイゼルグ「なんだ、こいつ、まるで漢みたいな膂力だぜ」
梓與鷹(よたか)(いや、マジで漢なんだけどね……)
 出音(でおん)が女装した漢だとカイゼルグは気づくことができるのか!?……なんてことはどうでもいいことなので割愛
とさせていただきます。
カイゼルグ「それに、なんだ……貴様の剣……得体の知れない不気味な力を感じる……」
 ピンク色の禍々しいオーラを纏ったその剣は、何故だか妙な寒気を覚える。
出音(でおん)「このガルシテラヴは姉さんという女神の髪の毛を合成して作り上げた世界に二本とない魔剣だッ!」
 いや、(女神の)髪の毛を合成ってお前はどこの慎重勇者だよ……
※ちなみに、余談ですが、ガルシテラヴとはガール、シティー、ラヴを合わせた造語で日本語に直すと女市愛とな
 ります。女市愛……つまり、姉愛溢れるヤバい魔剣です。
カイゼルグ「そんな巫山戯(ふざけ)たものに……」
出音(でおん)「黙れぇッ!姉さんとの絆を馬鹿にするものは黒王号に蹴られて地獄へ落ちろッ!」
カイゼルグ「ざけんな、このシスコン!」
出音(でおん)「ハッ!よく訓練されたシスコンを甘く見るなよ!」
 いや、その会話何なの!?
カイゼルグ(巫山戯(ふざけ)やがって……)
カイゼルグ「唸る鉄刃(アイゼン・シュトーネン)!」
出音(でおん)刃拳反(はけんがえし)!」
 ズガインンッ
カイゼルグ「うぐっ!?」
 これ以上言葉を交わすのは意味がないと判断し、間合いを詰めて一刀両断を仕掛けるカイゼルグだが、それを軽
く回避して強烈なカウンターを叩き込まれてしまうのであった。


続

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