Eighter -Practical Era-
17ther 〜中国四千年の卓球 C〜



#5
 卓球の全国大会……天四斗あまよと工業の覇道を阻むのは強豪長野農多林高校
※覇道を阻んでません
 夏は苦闘の末孫家流卓球のすていを撃ち破るのだが……
*「なるほど、孫家流卓球を破るか……」
 続いて第二の刺客が天四斗あまよと工業の前に立ちはだかる
榎木えのき夏「南、次は貴方の番よ」
楠木南「任せといて!」
 対して天四斗あまよと工業としては南が出陣する
南「あなたが私の相手……」
*「でもね、めんすていは病んでいたからこそ負けたのよ……そして、私はあんな病弱娘とは違う!」
 くわっと宣言する彼女……そして、やめてよね、ってな視線を投げるすてい。
 いや、すていって本当にどこぞの霊王ですかい!
 と、いうか、どんな病気だったの?……全然なにか患っているようには見えなかったんですけど……
 あるいは違う意味の『ビョーキ』ってことなのだろうか……
*「私は獲玖珠えくすだぶる……曹家流卓球の正式伝承者よ!」
南「なんだっていいわ……あなたに武芸百般何でもこなす楠木家の底力を見せてあげるわ!」
獲玖珠えくすだぶる「ふふん、ならばこっちは曹家流卓球の恐ろしさを見せつけてあげるんだから!」
 そして、先ほどと同じように地味〜な感じにピンポン玉を打ち合うラリーが続く
南(彼女は……そこそこ出来るようだけど……所詮武芸百般なんでもできる私の敵ではないわね!)
 ラリーを続ける内にそう分析する南。
 いや、武芸百般なんでもこなす南に対して卓球だけに特化した存在ってのは恐るるに足らない存在でしょうけど
……
だぶる「そいやっ!」
南「もらったぁ!」
 だぶるが放つピンポン玉を絶妙なタイミングで返し得点を先制しようとした南……だが、しかし
 ビタアアッ
一同「え?」
 突如、まるで時間が止まったかのように南の動きが停止……そして、振り上げたままのラケットは当然の如く迫
るピンポン玉を弾き返せず得点を許してしまう
嘱口属しょっこう・やから「孫家流卓球は気を操る……そして、曹家流卓球は人を操る……噂は本当だったのね……」
 ぽつりと呟くやから
 いや、そういうことはもっと早く言ってあげて……
南「人を操るですって?」
だぶる「そう、これこぞ、曹家流卓球の真骨頂、九神握掌くしんあくしょう!」
 孫家流卓球は気を操り相手の気力を下げ、ピンポン玉を操って勝利をいただく……対して曹家流卓球は相手選手
そのものを操って勝利をいただく……
 やっぱりスポーツマンシップ的には正々堂々していない……ってかインチキくさい卓球だった。
だぶる「私の前にこそ、敵なんてないわ!」
 豪語するだぶる
 いや、確かに相手選手を操るなんてインチキが相手では勝てる相手なんていないでしょうに……
やから「気をつけて、楠木さん、彼女は彼氏泥棒としても有名で彼女に寝取られて怨みを抱いている女は枚挙に暇がな
いと言われているわ」
 ……突然そんなことを言われてもね……
 ってか、アンタもアンタで花嫁泥棒と呼ばれた太炎たいえんですかい!

#6
南「要するにあいつに操られないだけの強靭な精神を持ち合わせていれば問題ないんでしょ」
だぶる「あまいわ!そんな精神論で私の九神握掌くしんあくしょうを破れるわけがない!」
 ビタリッ
南「ぐう……」
 またしても勝手に操られて時間停止な感じで得点を許してしまう南
生徒「相手を自分の思いのままに操れる……だからこそ人の彼氏を勝手に奪い取れるのか……」
生徒「ああ!なるほど……」
生徒「……あの能力……欲しい……」
生徒「曹家流卓球を学んだら手に入れられるのか?」
 と、試合を観戦している観客(主に男子生徒)が湧き上がる
 貴方達、最低ですね……
だぶる「あんた達!」
 と、そんな声が聞こえてきたので、ズビシィっとラケットを突きつけてだぶるが宣言する
だぶる「曹家流卓球のために死ぬ覚悟は出来ているの?」
一同「はい?」
だぶる「いいこと、曹家流卓球は一子相伝の究極卓球……そして、その伝承は前伝承者を試合で再起不能にして得
られる」
 私もいずれその運命を辿る身……とも続けるだぶる
一同「なん……だと……?」
だぶる「曹家流卓球を継承する枠は一つ……」
 だからそんな不埒な理由で曹家流卓球を受け継ごうだなんておこがましいわよ!とだぶる
 ……いや、よくよく考えたら彼氏泥棒なんてやっているお前にそんなことが言えた義理じゃないんだが……自分
のことを棚に上げて何を言っているんだ……
※なお、余談ですが、だぶるは曹家流卓球の伝承者になってから彼氏泥棒を始めたのではなく、もともと寝取りに
 萌える厄介な人種だったそうです。変人だ!
 さておき、試合はインチキな技を使うだぶるが圧倒的に有利……
 そろそろ南も反撃しないとコールド負けとなってしまう
南「いや、いけるわ……この勝負、私が勝つ!……勝って見せる」
だぶる「言うじゃないの……だったら、私のサーブを返して見せなさい!九神握掌くしんあくしょう」
 カコンッ
 叫ぶと同時に全力で南の動きを封じてサーブを行うだぶる。
南「……」
 カコンッ
だぶる「なっ、そんな馬鹿なっ!」
 しかし、南はまたしても微動だにしないかに思われたがしなやかな動作でピンポン玉を撃ち返す
 そして、まさか、自分の技が破られるとは夢にも思わなかっただぶるはそのまま得点を許してしまう
だぶる「……どういう……?もし、九神握掌くしんあくしょうを上回る精神で動きまわったとしても、どうしても動きはぎこちなく
なってしまうはず……」
南「……」
 しかし、南は何も答えず、黙々と得点を得て行く
 そして、南の背後には何か戦国武将の幻影の様なものが……
だぶる「まさか……」
 そう、そのまさかだ……だぶるが南を操って動きを封じているが、南は更に楠木正成の加護により、操られた自
分を操り返しているのだ……
 これは南が楠木正成の末裔だからこそ出来る芸当である
だぶる「……くっ……この勝負……私の負けよ……」
 またしてもドデかく戦維喪失せんいそうしつみたいな感じでだぶるも敗北するのであった


続

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