Eighter -Noble Gathering-
40ther 〜離した剣鬼を屠れ B〜



#3
裏の世界を去った冥時みょうじ萌を巡るひと騒動……そして、その矛先は萌の姉、なえに向かったのだが……なえは本家の命
がなければ動かないという……
百井銀牙「てめぇ、そんなに本家の命が大事かよ?」
ガタっと席を達、なえを睨みつける銀牙
未地葉呂九三郎みちばろ・くさぶろう「まぁ、落ちつけ……」
銀牙「ああ?何だと?殺人料理人……」
未地葉呂九四郎みちばろ・くしろう冥時ヤツの家は遥か昔から日本の裏の世界の頂点に君臨してきた一族だ……」
それが放置を決め込んでいるのだから、仕方あるまい……と呟く
銀牙「チッ」
面白くない……と銀牙はそのまま着席し、そっぽを向く。
刃金鐵郎てつろう「……だが、勝手に裏の世界から抜け出すなどと許せない……ってな声もある……か……」
魔刃翁「さて、困ったのう……それでは、表の世界の剣豪を使うしかあるまいか……」
と、そんな折、ぽつりと呟く魔刃翁
一同「それは……」
魔刃翁の言葉に黙り込んでしまう一行……
裏の世界を抜けたとはいえ、裏の世界の住人を駆逐するのに、表の世界の住人の力を借りるなどと、裏の世界の
住人にとって最大の屈辱であるからだ……
*「お待ちください!魔刃翁……」
咄嗟に一行が魔刃翁を止めにかかる
表の世界の剣豪……それは、真なる剣聖・某敢それがし・いさむや、閣氏カクシ新撰組、赫眼かくがん同盟の事を指す
しかし、孤高の剣鬼と渡り合えるのは真なる剣聖のみであるが……彼が孤高の剣鬼を狩る依頼に応じるとは
思えない
※ちなみに、けいは表にも裏にも属していません。そして、けいにつき従うかいもまた、けいと同じく無所属になっている
 のです
叫び声に近い声を上げる漢。
裏の世界の住人の事情に表の世界の住人の力を借りるなどと、恥ずべき出来事以外の何ものでもないがゆえに
当然である
魔刃翁「では、どうする?」
一同「……それは……」
しかし、代わりの手も思いつかず、一行は静まりかえる。
*「フッ……どうやらここは俺の出番の様だな……」
と、そこへ1人の漢が名乗り上げる
鐵郎てつろう「アンタは……」
*「東斗陽拳、庵刷いおずりケン……」
陸堕威蔵おかだ・いぞう「へぇ、貴様が……」
銀牙「東斗陽拳……20年前に消失したかと思っていたあの暗殺拳に……まだ伝承者がいたってか?」
庵刷いおずりケン「ええ……それが私です」
河上沢斗たくと「その口ぶりからすると何か秘策でもあるように思えるんだけど……」
ケン「……ククク、そうです……明殺みょうさつ者……」
そして、ケンは問いかける……徒手空拳と剣術……闘えばどちらが強いか
銀牙「ふざけんじゃねぇぞ……そんなもん、剣術に決まってるじゃねぇか!」
ケン「……もし、拳銃と剣術……闘えばどちらかが強いか……と問いかけても、同じ答えを言うでしょう?」
銀牙「ハッ」
*「ふざけるな!そうなったら、拳銃が強いッ」
銀牙の答えに不満を唱えるのは拳銃での殺しを得意とする裏の世界の住人だ

#4
天然蛍あましか・けい「で、君は何が言いたいの?」
そして、何も考えていないけいが皆の聞きたいことをのほほんと問いかける。
ケン「……すみませんね、話が反れましたが……私の言いたいことはこうです……確かに、拳銃と剣術とでは
 拳銃に分があるでしょう」
銀牙「貴様……」
沢斗たくと「まぁ、でも、それは、個々の技術の差によってどうにでもなるんじゃない?」
と、そこに口を挟むのは沢斗たくとである。
ケン「……ええ、それもあるでしょうが……しかし、弾薬の尽きたガンマンとやる気満々の剣術家が死合った
 なら、結果はどうなるとお思いで?」
*「……それは……」
断薬の尽きたガンマンなど、剣術家の敵ではない
ケン「同じように、刀の折れた剣術家と拳法家とが死合えばどちらが勝つか……想像に難くないでしょう」
一同「……」
ここにきて、ようやくケンの言わんとしていたことを悟る一行
沢斗たくと「つまり、死合の果て、武器を失ったものは、その時点で死ぬしかないが、もとから武器を持たない徒手空拳
 はその限りではない……ってわけだね」
ケン「ええ、そのとおりです」
※しかし、その説には落とし穴がある。もし、拳法家が腕を斬り落とされれば……それは断薬を失ったガンマン、
 刀を失った侍と同義であるのだが……
そして、場を纏めるべく、魔刃翁が口を開く
魔刃翁「よかろう……では、お手並み拝見といこうではないか……儂も、20年前に消失しかたと思われた東斗陽拳
 がどのような死合をするのか……興味がある」
ケン「ごゆるりと……」
一礼してその場を去っていくケン。
そして、それを最後に今回の会議は幕を閉じる。
ケンが去ると同時に、その場に居合わせた裏の世界の住人もそれぞれ帰宅を始める……

けい「ねぇねぇ、東斗陽拳と孤高の剣鬼……死合ったらどっちが勝つと思う?」
帰ろうとした沢斗たくとに声をかけるのはけいである
沢斗たくと「……そういうアンタはどう思っているの?」
けい「ん、俺……?ケンが負ける……って夢を見たよ」
元石美鈴ウォンソ・メイリン「夢かヨ!」
すかさず突っ込みを入れる美鈴メイリンであった
沢斗たくと「まぁ、まぁ……こいつの夢はよく当たるんだよね……」
美鈴メイリン(見た夢ガよく当たルって……)
だったら、夢占い師に転職した方がいいんじゃないか?と思う美鈴メイリンであった
……そんなことはさておいて……萌 VS ケン……勝つのはどっちだ?


続

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