Eighter -Noble Gathering-
34ther 〜憤る紅き災厄の章 A〜
#0
それは、交喙の蔵を整理していた際の出来事……
その蔵には秘密があった……
そう、交喙(の父、鷦鷯(が暴いていしまった災厄を封じ込めていたのだ……
かくて、その災厄は解き放たれ、それを駆逐すべく、交喙(は単身、災厄の元へ飛び込むのであった。
#1
元人交喙(「……とっとと姿を現せってんだ!」
*「……」
と、次の瞬間、闇に包まれた空間がパっと明るくなり、そして、目の前にそれは現れる。
*「我が名はザイフリート」
交喙(「ザイフリート?」
ザイフリート「返してもらおうか……我が、神器を……」
交喙(「……もし、断ったらどうする?」
ザイフリート「愚かな……貴様を殺して奪い取るまでだ……」
交喙(「そうかい……だったらそうしてみせろや!紅肢砕(ッ!」
ズガガガッ
叫ぶや否や肩や大腿部に黎t劫棍(を打ち込む
交喙(「なん……だと!?」
腕や足を千切り飛ばす一撃……しかし、まるで壁を叩くかのような感触でびくともしない
ザイフリート「無駄なことを……」
交喙(「なら、紅岐断(ッ!」
ガオンッ
上段から一気に黎t劫棍(を振り抜き、大地を裂く一撃を浴びせる交喙(。
……しかし、それでも、ザイフリートはびくともしなかった。
交喙(「ええい、なんて硬さだよ……」
ザイフリート「フ……貴様ごときでは我を斃すことは不可能だ……」
交喙(「勝手に決めつけるなよ!そんなことはやってみないと分からないだろうが!」
ザイフリート「愚かな……」
そして、更に打撃を叩き込む交喙(と……しかし、それを平然と受けるザイフリート……
死合は膠着していた……いや、ザイフリートは先ほどから攻撃を受けるばかりで全く反撃に出ていない……
つまり、ザイフリートにとって交喙(とは取るに足らない存在であるということだ……
なれば、この死合、交喙(が圧倒的に不利……
その頃……
梓與鷹(「何とか結界をぶち破ることはできないのか?」
上(総介「……助けに行くというのか?」
與鷹(「総……お前はここで黙って見ていろっていうのか?」
総介「そうではないが……」
白拍子かんな「リーダー、私が、何とかします……」
そう言ってかんなが一歩前に躍り出る。
右手には神滅超越者(が……
山咲(桜「……」
総介「フン、確かに、神滅超越者(と茜瑙哭(の力があればこの結界も敗れるだろう……」
與鷹(「だったら……」
かんな「……この結界は、封印の最後の一枚……それを破るということはすなわち、災厄を開封するという意味
になるということです……」
與鷹(「……」
そして、與鷹(は悟った……今、結界を破れば、あとは災厄を斃すしか手はないと言うことを……
#2
與鷹(「かんな、だが、それでもやってくれ……俺は、交喙(を見殺しになんてできない」
かんな「はい、そう言うと思っていました」
その言葉を待っていましたと言わんばかりに茜瑙哭(覚醒して神滅超越者(を結界に叩きつけるかんな
かんな「はあっ」
バアンッ
破裂音と共に結界が砕け散る
総介「やれやれ……結局はこうなるのか……」
しかし、これもまた、真理の断片により定められた未来……
総介「行くぞ」
桜「はい……」
かくて、一行もまた、交喙(を追って蔵の地下へと飛び降りる
與鷹(「交喙(〜」
與鷹(が駆けつけた時、既に交喙(は地に伏していた……
與鷹(「交喙(!?」
交喙(「ぐ……よ、與鷹(か……」
ザイフレート「次は貴様らが相手か?……」
そして、交喙(の前にはザイフリート……交喙(から奪い返した黎t劫棍(を片手で握り締め、上段に構えていた
與鷹(「お前が、交喙(を?」
交喙(「き、気をつけろ、與鷹(……奴は……凄まじく硬い……」
與鷹(「交喙(……」
それだけ言い残すと交喙(は気絶する。
ってか、硬いってどういうことだ?と與鷹(が首をひねる
ザイフリート「漸(く戻ったわ……我が神器、黎t劫棍(……クククク……」
黎t劫棍(……それは赤い布を巻きつけた漆黒の六棍棒ではあるが……しかし、ザイフリートが握り締めると、赤い
布がまたたく間に真紅の炎へと姿を変えていった。
ザイフリート「……ほう、これは偶気……結界も吹っ飛んでいるではないか……フフ……フハハ……」
與鷹(「生憎だが、お前をここから出すわけにはいかないんでね……」
ザイフリート「ほぉう?貴様……このザイフリートを斃せると言うか?」
與鷹(「ザイフリート……」
それがお前の名前か……と與鷹(。
総介「ザイフリート……ジークフリートと言った方が通りが良いが……」
身構える與鷹(を前に、総介が颯爽と解説を行う。
與鷹(「ジークフリート?……それってあのジークフリートか?」
かんな「……ですが、あれは、ニーベルンゲンの歌に出てくるジークフリートとは全くの別物です」
與鷹(の問いには、しかし、かんなが答える。
総介「だが、本家と同様にその体は甲羅のように硬いということだな……」
交喙(が言った謎の言葉……それはこのことを指していたのだろう
総介「さて、誰が奴を斃す?」
ザイフリート「ハッ……貴様らに我を斃すことなど出来ん!」
一触即発……ザイフリートと死合うのは誰だ?
続
前の話へ 戻る 次の話へ