Eighter -Midnight Howling-
50ther 〜死を喰うハンカチ B〜



#3
 Eighter暗殺のため、暗殺の七人(サイレントキル)が牙をむく
 今のところ、一蹴されてばっかな気がしてならないんですが、ま、まだ二人残ってる!その実力、推して知るべ
し(笑)
※『笑』をつけるなよ!
某敢(それがし・いさむ)「……そこのお主、先ほどから拙者を尾行しているようでござるが、(それがし)に何用でござるか?」
 (いさむ)がEighter本部へと向かおうとしてた時、ずっと自分を尾行する何者かの気配を察知していた。
 そこで(いさむ)はEighter本部とは別の場所へ足を運び、振り向きもせずに問いかけた。
*「こいつは驚いた……」
 まさか俺に気づかれるとは……と漢はすっと姿を現す。
(いさむ)「お主の尋常ならざる殺気、気づかれぬとでも思っていたでござるか?」
*「なるほどなぁ……俺も殺し屋としてはまだまだということか……」
(いさむ)「お主……」
 ここで初めて(いさむ)は後ろを振り向き、敵を見る。
*「俺はインダコ・サバト、イタリア裏社会ではちったぁ名の知れた暗殺者よ」
(いさむ)「イタリア裏社会?」
 そんなことを言われてもピンとこない(いさむ)。
インダコ・サバト「貴様に恨みを持つガキからの依頼でなぁ……」
 そういいつつインダコは胸ポケットから藍色のハンカチを取り出すとまるで手品の如くレイピアへと変化させる
(いさむ)「ぬぅ、なんと面妖な……」
インダコ「ふっ、こいつは虹女神の逆衣(アイリス・アンチクロス)……貴様に死を告げるハンカチよ!」
(いさむ)(オーパーツということでござるか……)
 なれば、子供というのは……場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在に他ならない。
 (いさむ)はすぐさま腰の明星幻爪(みょうじょうげんそう)に手をかけ居合の構え
インダコ「イタリアに古くから伝わる殺人秘剣、天心流殺法で貴様に引導を渡す!」
(いさむ)「いや、天心流は日本の古武術でござるが……」
 フッ、貴様は何も知らないようだな……とインダコ。いや、何も知らないのはお前だよ!と言いたい……
インダコ「受けよ!我が秘剣!穿屠束棘(せんとそくし)」
 ぎょるんっ
(いさむ)「ぬっ!」
 一気に間合いを詰めると同時に刺突を繰り出すインダコ。しかし、それは(いさむ)に軽く(かわ)される。
インダコ「やるなぁ……だが、俺のレイピアは一撃必殺!」
 いや、今の一撃を外した時点で一撃必殺とは言えないんだが……
インダコ「うおおおっ!」
 インダコは(いさむ)(かわ)されてもそのまま突っ走りUターンすると再び(いさむ)に襲い掛かる
(いさむ)「無駄でござるよ」
 再びすっと回避する(いさむ)。
インダコ「まだまだぁッ!」
(いさむ)「お主……」
 インダコの執念に驚きを禁じ得ない(いさむ)
インダコ「フッ、どうやら我が秘剣の恐ろしさに気づいたようだな!……そう!我が剣は回避されればノーカン!
そして、相手に当たるまで終わらない!」
(いさむ)(無茶苦茶でござるな……)
※諦めが悪いというか、往生際が悪いというか、底意地が悪いというか……無茶苦茶にも程がある……
 だが、当たるまで終わらない諦めの悪い剣であるならば、当たらせれば終わらせられる!

#4
インダコ「うおおお!」
 迫るインダコ、対して(いさむ)は微動だにせず機会を待つ
(いさむ)「キェイッ!穿刃咬舞(せんじんこうぶ)!」
 ズドガンッ
インダコ「な、何ぃ!?」
 カっと目を見開いたと思った次の瞬間、インダコの繰り出す刺突の(きっさき)めがけて突くと同時に刳る。
 僅か1mmの狂いがあればこんな激突はできない!それは(いさむ)だからこそなしえる芸当。
(いさむ)「お主のその技、当たるまでは終わらない……だったでござるな」
インダコ「貴様ッ!」
 カっとなるインダコだが、すぐさまクールダウンに努め、(いさむ)から距離を置く。
インダコ「ならば……これはどうかな?」
 言いつつレイピアを鞘に納める。
(いさむ)(な、何でござるか、あれは!?)
 その構え居合抜きにしか見えない。だが、レイピアで居合抜きなどと聞いたことがない(いさむ)は面食らう。
インダコ「喰らえ、第二の秘剣、金箍衝逸(きんこしょういつ)!」
 鞘ごと抜刀するような動作でレイピアを構えて突く。
(いさむ)「その様な技は拙者には通用せんでござるよ」
 すっと半身退いて回避する(いさむ)。とその直後、インダコの目がキラ〜ンと怪しく光る
インダコ「甘いわぁ!」
 ズゴオンッ
 レイピアを握ったまま親指だけを動かし柄についているボタンを押す、と同時に鞘がジェット噴射で勢いよく飛
んでいく……のはいいのだが、回避された後にそんなことしても無駄にも程がある。
インダコ「それで回避したつもりか!」
(いさむ)「む?!」
 勢いよくすっ飛んで行った鞘はまるでブーメランの如く戻ってくる
インダコ「先ほども言ったはずだぞ!我が秘剣は回避されればノーカン!そして、相手に当たるまで終わらないと
なぁ!」
 いかな仕組みで戻ってくるのか……それはオーパーツだからというあんまりな理由である。
インダコ「例え鞘を回避しても我が剣から逃れることは不可能よ!」
 叫びつつ一足飛びにかかるインダコ。
 ……さながらそれは前門の()、後門のレイピア()と言ったところだ
(いさむ)「でぃやぁあ!旋翳翩舞(せんえいへんぶ)!」
 しかし、(いさむ)にしてみればインダコの繰り出す攻撃は児戯に等しかった。
 まず、インダコに対して背を向け抜刀と同時に鞘を斬り砕き、そのまま回転してインダコの方を向いて更に一閃
を繰り出す(いさむ)
インダコ「な、なな、なぁあ!?」
 格が違う……かくて、インダコは(いさむ)の前に沈むのであった。


続

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