Eighter -Midnight Howling-
49ther 〜死を呼ぶハンカチ D〜



#7
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在が送り込んだ刺客、その名は暗殺の七人(サイレントキル)!
 天四斗(あまよと)、某所
ヴェルデ・ジョヴェディ「失礼、少々道を尋ねたいのだが……」
百鬼あろえ「はい?」
 あろえが街をぶ〜らぶらしていると、第一刺客発見
※村人じゃないんだから……あと第一じゃなくてもう四人目……
 ヴェルデはそのまま胸ポケットから緑色のハンカチを取り出す。
あろえ「はっ!?」
 次の瞬間、緑色のハンカチは片手剣へと変化。そのままあろえに兇刃が迫るもすんでのところでそれを回避して
距離を置くあろえ
ヴェルデ「チッ、今ので仕留めそこなうとは、俺も暗殺者としてはまだ青いな……」
あろえ「アンタ、何者よ!?」
 睨み付けると同時に虹雷牙(こうらいが)を抜刀、構えるあろえ
ヴェルデ「なんだかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け」
 □ケット団の口上かよ!
ヴェルデ「俺はイタリア裏社会に名を馳せる暗殺の七人(サイレントキル)が一人、ヴェルデ・ジョヴェディ。そして、これは貴様に
死を告げるハンカチ、虹女神の逆衣(アイリス・アンチクロス)よ!」
あろえ「イタリア裏社会?……その割にはスペイン語の緑なんて変な名前」
ヴェルデ「……ヴェルデはイタリア語でも緑だが……」
あろえ「……」
 謎の赤っ恥をかくあろえであった。
ヴェルデ「とあるガキが貴様らを恨んでいるものでね……よって貴様を殺しに来た!」
あろえ「いや、子供に恨まれる覚えなんてこれっぽっちもないんですけど……」
ヴェルデ「フン、大方ポケ〇ンの大会でえげつねぇ手で子供を負かしたとかそんなんだろうよ……」
あろえ「そんなんで子供が暗殺者雇うわけないでしょ!」
 無茶苦茶にもほどがある。
ヴェルデ「さて、もう一度道を問おう。貴様を地獄に送るにはどうすればいい?」
あろえ「そんな道あってたまるか!」
 ガキンッ
 問いかけると同時に襲い掛かるヴェルデをこともなげに受けるあろえ。
ヴェルデ「少しはできるようだが、我が天心流殺法の足元にも及ばん!」
 叫ぶと同時に後方に飛び退るヴェルデ
ヴェルデ「死ね!飛刃烈破(ひじんれっぱ)!」
 ぶうんっ
 斬撃を放つと同時に刀身がすっ飛んでいく。
あろえ「うわったっと!?」
 虚を突かれるがそんな程度でダメージを喰らうようなあろえではない。
あろえ「刀身がすっぽ抜けるなんて運が悪いわね」
ヴェルデ「フッ、天心流殺法は隙を見せぬ二段構え」
 そう言い放つと鍔と柄だけになった片手剣をクイっと引き寄せる。
 するとどうだろう、すっぽ抜けが刀身が呼び戻される。
※と、いうかワイヤーがついていて引っ張られて戻ってくるだけですが……
あろえ「水鶏(くいな)!」
 カキインッ
ヴェルデ「何ぃ!?」
 斬撃と同時に氷が生え、ワイヤーもろとも凍り付く。

#8
あろえ「よく考えたらあの剣、オーパーツかなんかよねぇ……」
 虹女神の逆衣(アイリス・アンチクロス)なんてヴェルデも言っていたし
 だから、メンテナンスの不備で刀身がすっ飛んでいくなんてことは基本ありえない。
あろえ(と、言うかワイヤーが見えたんだけどね……)
あろえ「それにしても天心流殺法なんて聞いたことないわね」
ヴェルデ「フッ、貴様が知らないのも無理はない!イタリアに古くから続く古武術だからな!」
あろえ「いや、どう考えても日本語……」
 呆れて物も言えない。
ヴェルデ「遊びはこれまでよ!天心流殺法、飛刃烈空(ひじんれっくう)!」
 ワイヤーを半ば引きちぎり、本当に鍔と柄だけになった片手剣を天に掲げるヴェルデ。
あろえ「うそん……」
 空から降る大量の刀身
あろえ「くっ、差羽(さしば)!」
 ガガガガガガガッ
 鞘を左手に瞬時に何度も抜き打ちを放ち迫る刃を切り刻む。
ヴェルデ「まだまだぁ!」
 おかわりはいくらでもあるぜぇ!と言わんばかりのヴェルデ
あろえ「ええぃ、鬱陶しいわねぇ……」
 いつまでも抜き打ちができるわけでもなく、あろえは途中で斬り上げると転がるようにその場から離れる。
ヴェルデ「逃げても無駄だ!天心流殺法は相手をどこまでも付け狙う自動追尾型の流派!」
あろえ「そんな流派あるかいッ!」
 最早流派をバカにしているんじゃないかとしか考えられない。
 だが、巫山戯(ふざけ)ているが、強い。
あろえ「野鵐(のじこ)!」
 ズゴオオオッ
 炎を纏った刃で迫る刃を焼き払う。
ヴェルデ「チッ、これでも仕留められないとはな、聞いてはいたが《キツネザルの使徒》とやらは実に厄介だ」
あろえ(何ですって?)
 その単語を聞き、あろえは驚愕する。と、同時に考えを切り替える。
 《キツネザルの使徒》なんて単語は場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在しか使わないはずだ。なれば、こいつらを裏で
操っているのは場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在に間違いない。
 だったらこんなところで遊んでいる場合ではない
※いや、最初から真剣に死合に臨んでいたけど……
あろえ「あなたに聞きたいことができたわ」
ヴェルデ「フッ、俺が教えられるのは地獄への行き方のみよ!」
 そんなのまっぴらごめんだ
ヴェルデ「死ね!天心流殺法・秘剣!飛刃烈光(ひじんれっこう)!」
 鍔と柄だけの片手剣に光の刃が出現。
 飛び込むと同時に上段から一気に打ち下ろすヴェルデ
あろえ「黒鵐鵤(くろじいかるが)!」
 カキィンッ
ヴェルデ「な、なぁにぃ!?」
 突如生えた氷に動きを封じられるヴェルデ。そしてさらに炎の刃がヴェルデを襲う
 ズドゴアッ
ヴェルデ「ぐはあああ!?」
あろえ「これぞ炎水の境地なり……なんちゃって!」

#9
 暗殺の七人(サイレントキル)、残り三人……
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在は当然、一部始終をリアルタイムで確認している。
泥諏(でぃす)クォヴァ「暗殺チームも全然使えないらしいね……」
手寸(てぃすぬ)クディミ「そんなことないすよ」
未来邇(みらりに)ルアド「まだまだ、ここからなんだな……」
一同「……」
 果たしてここから奇跡の逆転劇が繰り広げられるなんてことはあるのか!?
※奇跡のって……暗殺の七人(サイレントキル)もう敗北確定なのかよ……


END

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