Eighter -Midnight Howling-
48ther 〜巫剣(ふけん)走る颶風剣者(ヴァンセイバー) C〜



#5
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在、憂粋(うぃすい)タブレと羅叉(らさ)タブラ……その二人と死合うのはかんなと明殺者こと沢斗(たくと)、更
に総介。
 かんなは南米での修行の成果を見せるとき!だが、冥王の心臓もあれから進化を遂げていた?!
 ……果たして、勝利の女神は何方に微笑むのか!?
 それはちょっと置いといて……
河上沢斗(たくと)「じゃあ、これはどうよ、龍虎相縛(りゅうこそうばく)!」
憂粋(うぃすい)タブレ「何をやっても無駄なのだ……転静曦禍(てんじょうぎか)!」
 やはり、沢斗(たくと)の斬撃はタブレには届かない……
タブレ「ぬ!?」
 ギンッ
 だが、暫くすると再び斬撃がタブレに迫る……が、辛くもそれを回避、距離を置くタブレ
沢斗(たくと)「う〜む、これでもダメか……」
 龍虎相縛(りゅうこそうばく)は時間差で第二の斬撃を繰り出す歳星黄幡(さいせいおうばん)流奥義の一つ……だが、それでもタブレには届かない
(かみ)総介「影蒼入滅(えいそうにゅうめつ)!」
 ビシッ
タブレ「貴様……」
 逃げた先に既に総介は先回りし、影縛り……そして一刀両断。
タブレ「動きを封じるとは人間(パーツ)風情にしてはなかなかやるのだ……」
 スカァアッ
総介「何!?」
 必殺の一撃……だが、それは虚しく空を切る。例え動きを封じられていても、転静曦禍(てんじょうぎか)の発動は可能と言うこと
だ。
タブレ「驕るなよ、人間(パーツ)!」
総介「チッ」
 ニタリと邪悪な笑みを浮かべるタブレ。そしてすぐさまタブレから距離を取る総介。
沢斗(たくと)「今のままじゃちょっと厳しいかもね……だから、こっちも奥の手を切るよ」
総介「……こちらもそろそろ切り札を切るしかなさそうだ……」
タブレ「いいよ、何でもかんでも好きなだけ使いうのだ」
 総介は無言で懐から藍后の刄(ブルーエンプレス)を取り出すと蒼王の刃(ブルーロード)と繋げて一本の双身刀となす。
 そして、沢斗(たくと)は……
沢斗(たくと)「我、羅喉星(らごしょう)の名の下に誓う。人に救いを、神に(ゆる)しを!」
 ズズズズズズッ
 祝詞めいたモノを唱えた途端、その気配が変わる。
 これは星降(しょうごう)……黄幡神の力を身に降ろし爆発的な力を手にする事が出来るそれを……黄幡星降(おうばんしょうごう)と言う。
タブレ「な、これは……」
 死合はここからが本番だ!
沢斗(たくと)龍虎相縛(りゅうこそうばく)!」
総介「影蒼入滅(えいそうにゅうめつ)!」
タブレ「転静曦禍(てんじょうぎか)!」
 ゴガッ
 時間差で迫る二度の斬撃。星降(しょうごう)のおかげかで初撃も無力化されずにタブレに迫る。
タブレ「馬鹿なっ!?……ハデステリトリー、バースト!」
 思わずリミッターの第一段階を解除するタブレ
 ビシリッ
 だが、総介の繰り出した影縛りはリミッターを一段階解除したタブレすら止める。
タブレ「お、おおおお!?」
 ズドオンッ
 時間差で迫る第二撃、総介の一刀両断が直撃、派手に吹っ飛ぶ。
タブレ「人間(パーツ)風情がッ」
 だったら、こっちも最大火力で貴様を殺してやるよ!とタブレもリミッター第二段階、ゲヘナテリトリーへ手を
伸ばす。
タブレ「もう殺す!」

#6
 そして死合はかんな VS タブラと交差する。
羅叉(らさ)タブラ「第二段階リミッターを解除したのかもか……」
 《キツネザルの使徒》相手ならばいざ知らず、他の人間(パーツ)如きに第二段階リミッターを解除するなどと……
白拍子かんな「仲間の心配とは余裕ですね……」
タブラ「何だと!?」
 サラっとかんなも挑発……と同時に静かにタブラに歩み寄る
かんな「鳳鸞舞刃(ほうらんぶじん)!」
タブラ「のあッ!蝕無戴漫(しょくむたいまん)!」
 平安を(もたら)す鳳凰が至近距離からタブラに襲い掛かるも、すかさず蝕無戴漫(しょくむたいまん)で応戦。
 ……しかし、茜瑙哭(セドナ)覚醒したかんなの一撃のやる気を削ぐことは出来ない。
タブラ「ぐ、ぐあああっ」
タブレ「《キツネザルの使徒》……」
 派手に吹き飛ばされるタブラを案じるタブレ。
 だが、そんなことをしている場合ではなかった!
総介「一気に畳み込むぞ」
沢斗(たくと)「まぁ、好きにやらせてもらうけど……」
 タブレが気をとられているこの瞬間が最大のチャンス!
総介「抉蒼紅穿(かっそうこうが)!」
沢斗(たくと)九留極天(くどきょくてん)!」
タブレ「なめるな!転静曦禍(てんじょうぎか)!」
 ズドンッ
 剣をドリルのように回転させタブレに突撃する総介、一瞬九斬を放つ沢斗(たくと)。
 二人の技に驕りはない!故に、その刃はタブレに届く
タブレ「あがぁああッ!?」
梓與鷹(よたか)(いけるか!?……だが……)
 與鷹(よたか)が恐れているのは総介がダウンしてしまうこと。
 蒼王の刃(ブルーロード)藍后の刄(ブルーエンプレス)をつなげた神の特刀(デウス・エクス・ブルー)は破格の力を出せる総介の切り札であるが、しかし、その力は時限式
だ。もし、死合の途中で切れてしまえば……
 また、黄幡星降(おうばんしょうごう)の方も似たようなものかもしれない……
タブレ、タブラ「人間(パーツ)風情が!図に乗るなぁあああ!」
かんな「貴方方は人を見下しすぎです」
総介「貴様らこそ、人の底力を甘く見るなよ!」
 流れが向いている今こそ、勝敗を決める時だ!
かんな「龍鳳麟龜(りゅうほうりんき)!」
総介「紺討蒼滅陣(こんとうそうめつじん)!」
沢斗(たくと)紅臠襲緋(こうれんしゅうひ)!」
タブレ「転静曦禍(てんじょうぎか)!」
タブラ「蝕無戴漫(しょくむたいまん)!」
 ガカッ
 刹那の瞬間に四大奥義を放つかんな、幻影を三つ作り、同時に四方から突撃・斬撃を放つ総介、幻影を造り、一
斉に斬り刻む沢斗(たくと)。
 そして、勝利の女神は三人に微笑んだ
タブレ、タブラ「ば、馬鹿な……」
総介「はぁ、はぁ……」
沢斗(たくと)「いや〜、疲れた……」
 ともかく、これにて今回の件は終了だ。

#7
 そんな死合の一部始終は歴史の墓場の一角でも放映されていた……いや、正確には歴史の墓場の一角に隠れてい
る場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在が観戦していた。
歯付サヤ「……あ〜〜あ、負けちゃったかしら……」
泥諏(でぃす)クォヴァ「力の差がここまであるらしいね」
*「リミッターを設けたとはいえ、冥王の心臓がこの程度なんすか?」
 奥から他の場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在が声を出す
サヤ「……それは……」
クォヴァ「……強いて言えば、同時使用は今まで例がないらしいね……」
※やっぱり冥王の心臓って欠陥品なんじゃ……
*「そろそろ本腰をいれないといけないか……」
一同「ッ!!」
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の上位存在の声……その呟きに冷や汗が止まらない中位存在一行。
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)……その上位存在との決戦の日は近い!?

 さて、それはおいといて……
総介「……さて、俺達も帰るか……」
與鷹(よたか)「あ、ああ……」
桜「……そういえば、ラージックーギミは……」
かんな「一足お先に帰ってしまったみたいですが……」
一同「おおお!?」
 元より気配のない刀剣男子(違ッ)である。人知れず姿を消すのは得意だ
総介「チッ、アルスのことを問い詰めようと思っていたんだが、逃げ足の速い……」
 この逃げ足もアルスの特徴なのかも……?
 と、ともかく、今回の事件、最大の功績は場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の中位存在を二人も一気に始末できたことである


END

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