Eighter -Midnight Howling-
33rder 〜線上に立つ赤き辜(シン・レッド・ライン) C〜



#5
 冥王の心臓により力の底上げを行っているメメントを辛くも下す事に成功したかんな。
 そして、勝負はここに決する……のか!?
森メメント「人間(パーツ)風情がッ!我らを甘く見るな、である!」
 メメントが激突した机……その上には世界から脱皮する者(ワールド・パージャー)が置いてあった。
 メメントは右手の後背よりの白炎(バック・トゥ・ザ・ファイア)を手放すと世界から脱皮する者(ワールド・パージャー)を手に取る
梓與鷹(よたか)「なっ、まさか!」
白拍子かんな「させません!」
メメント「貴様ら、全員破壊するのである!」
 カカッ
 一足飛びにかかり、神滅超越者(ラグナロクエクセル)を上段から一気に振り下ろすかんなだったが、遅い
 メメントが世界から脱皮する者(ワールド・パージャー)を使用する方が早かった。世界から脱皮する者(ワールド・パージャー)を使用するとと共にメメントを包
むフィールドが神滅超越者(ラグナロクエクセル)の刃を阻む。
メメント「騎乗より白獄を込めて(ライド・オン・インフェルノ)!」
 砕かれた二本の世界から脱皮する者(ワールド・パージャー)の柄尻をぶつけるようにくっつけて一本の双身刀へ……
 そして、砕かれた刃はみるみる再生していく。
メメント「壊れろ!である」
かんな「ぐうぅ……」
 力任せに振るった騎乗より白獄を込めて(ライド・オン・インフェルノ)により弾き飛ばされるかんな。
(かみ)総介「クソッ、考えうる中で最悪の展開だッ」
山咲(やまざき)桜「警部ッ?」
 総介はそう毒づくとメメントめがけて走り出す。
総介「神の特刀(デウス・エクス・ブルー)!」
 蒼王の刃(ブルーロード)藍后の刄(ブルーエンプレス)を組み合わせて本来の姿へ……
 更に鬥址偶襾(ツァトゥグア)覚醒してメメントに斬りかかる。
メメント「無駄ッなのである!」
 ピンク色のオーラを身に纏うメメントはこともなげに総介の刃を左手で受け止める
與鷹(よたか)「なっ」
かんな「はっ」
 更に挟み撃ちとしてかんなも突撃と共に神滅超越者(ラグナロクエクセル)で斬りかかる……が、しかし、騎乗より白獄を込めて(ライド・オン・インフェルノ)で受け
止められる。
メメント「二人がかりでもこの程度……所詮、そこが人間(パーツ)風情の限界なのである」
與鷹(よたか)「だったら」
総介「待て!」
かんな「待ってください」
 二人でダメでも、三人になれば……と與鷹(よたか)も参戦を決めようとするが、しかし、かんな、総介に止められる
與鷹(よたか)「総、それに、かんな?」
総介「お前では、荷が重い」
かんな「すみませんが、ここは私たちを信じてください」
 かんな、総介と違い、神の加護のない與鷹(よたか)はこの死合に参加しても足手まといになるだけだ……
與鷹(よたか)「クッ」
 血が滲むくらいにギュっと拳を握りしめ、自分の不甲斐なさを呪う。

#6
メメント「はあっ」
総介、かんな「くっ」
 気合一閃にて二人を弾き飛ばすメメント。更に間髪入れずに追い打ちをかける。
※ちなみに余談だが、今回の総介の助っ人はかんなが助けを求めたわけではなく、総介が勝手に割り込んだだけな
 ので、茜瑙哭(セドナ)の機嫌を損ねる行為ではありません。
メメント「狩血憎麟(しゅちにくりん)!」
 ドドンッ
 白い衝撃波四つに赤い剣閃五つのコンビネーション
総介「臠蒼極連(れんそうごくりん)」
 ガガガガガガガガガッ
 なんの打ち合わせもせずとも意思疎通……と、いうか実際にはかんなが超運で察知しただけだが、とにかく、メ
メントの繰り出す技を総介が刹那の瞬間に九回の斬撃を放って相殺
かんな「龍鳳麟龜(りゅうほうりんき)!」
 キンッ
 続いて、かんなが応龍(おうりゅう)に変幻する光の龍、平安を(もたら)す火の鳥、信義を貫く麒麟、吉兆を左右する霊龜(れいき)を一気に解
き放つ
メメント「最早、そんなものは無意味なのである!捨屍隕逸(しゃしいんいつ)!」
 迫る四霊に対し、騎乗より白獄を込めて(ライド・オン・インフェルノ)を横に薙ぎ払い応戦するメメント。
與鷹(よたか)「なん……」
 真一文字に切り裂かれ、相殺どころか圧倒……されたかに思えた四霊は、しかし、次の瞬間にはまるで戻し斬り
でもされたかのように元に戻り……そして、くるりと反転してそのままかんなに襲い掛かる。
桜「相手の技を取り込んで跳ね返す……ということですか……」
與鷹(よたか)「そんな……」
かんな「龍鳳麟龜!」
 ガガガガッ
 ならば、かんなは再び四大奥義を一気に解き放ち、それを相殺するしかない。
総介「チッ」
 こっちの技は相手に飲み込まれ跳ね返される。そして、あっちの技に対して同じことができるかと言われれば、
そんなことは不可能だ。
※まぁ、かなりがいたら、その限りでもないですが……
桜「警部!」
 そのとき、キランと桜の目が怪しく赤く輝く
総介「待て!桜!」
桜「はっ」
 総介に止められ、怪しく輝いていた眼は元に戻る。
 さっきのは一体何だったのか……しかし、それは総介しか気づいていない事象。
メメント「今度こそ、砕け散れ!である」
 バキャンッ
 騎乗より白獄を込めて(ライド・オン・インフェルノ)を天高く掲げ、一気に振り下ろそうとした次の瞬間、それは起こった
 メメントを覆っていたピンク色のオーラがふっと消え、騎乗より白獄を込めて(ライド・オン・インフェルノ)の刃もまた、砕け散る
メメント「《キツネザルの使徒》ッ!貴様、一体何をしたッ!である!」
かんな「私は、何も」

#7
メメント「巫山戯(ふざけ)るな、である!」
*「いや、お前がやりすぎた……それだけだ」
メメント「ッ!……――様ッ」
 そして、突如として声が聞こえる。それはメメントの更に上位存在の場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の声……
メメント「い、いったい……どういうことで……ある??」
*「……超過出力の反動による、機能停止……」
メメント「なっ、まさか……」
 冥王の心臓の出力とて無限ではない。それにもリミッターと言うか、寧ろブレーカーが設けられている。
 そう、家で家電を使いすぎるとブレーカーが落ちてしまうように、冥王の心臓からエネルギーを取りすぎた結果
同じことが起こったのだ。
*「実に残念だよ……使えない道具は、処分しないければならない」
メメント「お、お待ちください……――様ッ!まだ、まだ勝負は……」
 パッチン
メメント「あっ」
 ガシャア〜〜ンッ
 指が鳴ったかと思った次の瞬間、まるでガラスが砕けるが如く、メメントが砕け散る。
與鷹(よたか)「なっ、な……」
 森メメント……その最期はかくもあっけないものだった……
*「《キツネザルの使徒》……」
 次は、壊す!そう捨て台詞を残し、その気配は消えた……
総介「はぁ……はぁ……」
 死合は終わった……総介は神の特刀(デウス・エクス・ブルー)を杖代わりになんとか立つのが精いっぱいの様子
桜「警部」
與鷹(よたか)「総っ!」
かんな「……」
 今回は奴らの自滅でどうにか敗北は免れた……
 しかし、次はどうなるかわからない……
 世界から脱皮する者(ワールド・パージャー)の奪還、それが無理であるならば破壊という依頼は達成できたが、しかし、今後の戦いが激
しく、そして苦しくなるという不安を残したまま、この騒動は幕引きとなった。
 果たして、次にかんならは場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)の暗躍を止めることができるのか……?


END

前の話へ 戻る 次の話へ