Eighter -Midnight Howling-
15ther 〜とある剣客の剣厄ソードカラミティ A〜



#0
 ある日、いさむは日本剣術の未来を憂う会合に参加する……そこには表社会の名うての侍が居て圧巻だったのだが…
…突如、一行は極悪人との殺し合いゲームに参加させられるハメとなる……
 果たして、どれだけの侍が生き延びることが出来るのか……
 それとも、極悪人が生き延びることとなるのか……

#1
伊達宗美むねみ「はぁ……飽きてきちゃった……」
島友近ゆこん「あのねぇ……」
直江万夏まなつ「そんなこと言っている暇あったら手伝って……」
柳生兵子ひょうこ「このピンチを切り抜ければ……幸運が訪れる……天のお告げです」
友近ゆこん「そんなこと、言われなくとも分かりますわ!」
前田松子しょうこ「……しぶといなぁ……もう……」
 かく眼同盟もまた、苦戦していた……それも、不殺を心がけて撃退していたためである……
 最初にやってきた旅団、ビークスパイダーを軽くあしらった後、ぞろぞろと蜘蛛の子を散らすかの如く……とい
うのは表現が逆であるが……ビークスパイダーの弟分だとか、客分だとか兄弟子だとか……奴らを斃すのは俺達の
役目だとまで言いだす旅団が集結し、一斉にかく眼同盟に襲いかかってきたのである……
 これには流石に多勢に無勢……かく眼同盟は圧されつつあったのだ……
*「今だ!そこだ!」
*「ふっ、させんぞ!それは俺達がやる!」
*「貴様……抜け駆けは許さんぞ!」
 乱戦というか、混戦というか……それぞれの旅団ごとに統率は取れているものの、旅団ごとの統制は取れていな
いというか、寧ろ、あえて統制を取っていないというか……そのため、死合はごちゃごちゃと……まぁ、なんとい
うかぐだぐだした死合になっていた……
宗美むねみ「あ〜〜、もう、しつこいなぁ……」
友近ゆこん「こんな時こそ、魔眼の使いどころじゃなくって?」
宗美むねみ「あ〜、あれね……さっきハッタリかますために使っちゃったから暫く使えないよ……」
友近ゆこん「なんて使えない魔眼なんですこと……」
万夏まなつ友近ゆこん……お前こそ、その闇炎やみほむらでバッサバッサ薙ぎ斃せないの?」
友近ゆこん「……うふふふ……そうですわね……死なばもろとも……と、いう言葉もありますし……」
 ニヤニヤしながら闇炎やみほむらを抜刀する友近ゆこん
宗美むねみ「待て待て待て……お前、私達も巻き込むつもりだろう……」
友近ゆこん「ええ、いい機会ですし……」
万夏まなつ「よくない、よくない、全然よくない……」
兵子ひょうこ「味方を殺してはカルマ値が増えます……カルマ値が増えてはグッドエンディングが迎えられません」
松子しょうこ「……いや、ゲームじゃないんだから……」
 思わず突っ込む松子しょうこであった……
兵子ひょうこ「……では、逃げる?」
宗美むねみ「おう、確か『四掛け九計逃げるに然り』と……」
友近ゆこん「それを言うなら三十六計ですわ……なぜに計算式ですの?……というか、『然り』じゃなく、『しかず』で
すわ」
宗美むねみ「細かいことはどうだっていいだろ」
友近ゆこん「よくありませんわ!」
松子しょうこ「……ともかく、逃げるなら逃げましょう……」
一同「……」
 今度こそ、蜘蛛の子を散らすが如く、かく眼同盟は逃げていくのであった……
*「逃がすか!追え!」
*「俺達が先だ!そこをどけ!」
 ……まぁ、しかし、混戦模様は相変わらずである……

#2
Mr.ゴクドー「会いたかった……会いたかったぞ、剣聖!!」
某敢それがし・いさむ「くっ……」
 その頃、いさむも何とかMr.ゴクドーを撒こうとしていたのだが……しぶとく追いかけてくるMr.ゴクドーに若干疲弊
していた……
いさむ(やはり、このままでは……)
Mr.ゴクドー「行くぞ!剣聖!」
 ずどべしゃっ
いさむ「……」
 と、その時、盛大にずっこけて昏倒するMr.ゴクドー
白拍子かんな「あ、いさむさん……大丈夫ですか?」
 と、その時、ナイスタイミングでかんなから通信……空間スクリーンが投影され、かんなが表示される
いさむ「おお、これは、かんな殿……しかし、拙者は今、忙しいのでござる……」
 通信を切ろうとするいさむを慌てて制止するかんな
かんな「今の状況は既に把握しています……」
 ……先ほど運よくMr.ゴクドーがずっこけたのも全てはかんなの超運のなせる技……
 既にこの事件は収束に向かいつつあるのだ……
いさむ「把握しているでござるか?」
かんな「あ、はい、何かゴタゴタに巻き込まれているようですが……もう少しこらえてください……」
 助っ人を送っていますので……直に事件は収束します……とかんな
いさむ「あい、分かったでござる……某敢それがし・いさむ……参る!」
かんな「では、御武運を祈っています」
いさむ「承知……」
 そして、通信を切る、いさむ、かんな……
いさむ(みなが頑張っているというのに、拙者だけ逃げるわけにはいかんでござるな……)
 ガバリッ
 と、その時、Mr.ゴクドー、起き上がる
Mr.ゴクドー「はじめましてだなぁ!剣聖!」
いさむ「……」
 ……どっか頭の打ちどころが悪かったのか……思わずそんなことを考えるいさむであった
Mr.ゴクドー「私は君を倒す!世界などもぉぉおう、どうだっていいんだよッ!……己の意思で!!」
いさむ「……承知したでござる……拙者も、全身全霊をもってして答えるでござる……」
 覚悟を決め、いさむ明星幻爪みょうじょうげんそうを構え直す……無論、峰打ちなどと無粋な真似はせず、刃をMr.ゴクドーに突きつけ
ている。
Mr.ゴクドー「よく言った、剣聖!!いざ……尋常にぃ……」
いさむ某敢それがし・いさむ……参る!」
 ガカッ
 かくて、再び両雄は激突するのであった……

 その頃……光と影のカリス……もとい、光木こうぼく影木えいぼくはというと……
雁過斗影木がんかと・えいぼく「死合ってる……死合ってる……」
雁過斗光木がんかと・こうぼく「ああ……ふふふ……殺しあえ……殺しあえ……」
*「そんなビデオじゃ剣術人口はますます減るぞ……」
影木えいぼく光木こうぼく「!!!!」
 誰だ……と振り向くと、そこには一人の男とそれに付き従う一人の女性が……
 これがかんなの言う助っ人なのだろうか……


続

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