Eighter -Midnight Howling-
12ther 〜とある黒遺の強奪レイダー A〜



#0
 とある場所にて……
*「タブラもメメントも……使えないのかしら……」
 ここは、場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツ……その幹部が集う空間……そこに、今一人、人の姿を取る場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツがやっ
てきた……
*「《キツネザルの使徒》……容易に攻め滅ぼせる相手では無い……ということすか」
*「いや、相手を甘く見過ぎただけなんだな……」
*「……」
 その慢心がこの結果であることを場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツは痛感していた……しかし、目の前のこ奴はまだ、それが分
かって居ないようである……
*「私が出る……だから、あれを私にくれないかしら」
*「……どっちにするんすか?」
 それに答える場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツの一人……その両手には黒い靄が握られていた……いや、その両手からは黒い靄
が立ち上っていた……
*「そうねぇ……じゃあ……」
 かくて、それは一つの場違いな黒き遺物ネガティヴ・オーパーツを手に取り……侵攻がまたひとつ始まる

#1
 東京都、某所
警官「中川警部……こちらです……」
 東京都のとある区画にて、殺人事件が勃発。
 通報を聞き付け、すぐさま警視庁の連中は現場へと急行したのだった……
中川邦武ほうむ「……む」
警官「ホトケは腹部を蹴り飛ばされた後、丁度その蹴りが決まった部分に銃弾を浴び、死亡した模様」
警官「ええ、一部始終を目撃してしまった人の証言によると、ホトケは『俺も、想像力が足らなかったのか……』
と呟いてくずおれたそうです」
邦武ほうむ「ホトケの断末魔はいい……で、その殺人犯の特徴とかは聞き出せたのか?」
警官「はっ……現在、犯人と思しき人物を追跡中であります……」
邦武ほうむ「そうか……」
 無能警官というレッテルを張られている割に無能ぶりを発揮しない警官……一体、彼らに何があったと言うのだ
ろうか……
※いや、これが普通ですからね……無能警官などと揶揄されていることの方がおかしいんですよ
 テ〜レレレ、テ〜レレレ〜、テレレレテ〜レレレレ〜♪
 と、その時、邦武ほうむの携帯が鳴りだす
警官「む、これは、鳥の詩?」
警官「え?『とりのうた』って三つくらいあるんだけど、どれだ?」
警官「空気な感じの奴」
警官「あ〜、なるほど……」
 一体何の話で盛り上がっているのだろうか……やはり、無能警官は無能なんだなぁ……
 と、言うか、『鳥の詩』と聞いただけで真っ先に三つ思い当たるものがあると言い出す警官……アンタ何モンだ
よ!
 そして、『空気』な感じと聞いて納得するアンタも何モンだよ!
邦武ほうむ「もしもし、俺だ……」
 ちなみに、そんな無能警官のコントはとりあえず無視して中川警部は携帯に出るのであった……
警官「ガハッ……お、俺も、想像力が足らなかったのか……」
邦武ほうむ「お、おい、どうした!?何があったんだ……スネ……かじりッ!」
 ブツッ
 ツ〜〜ツ〜〜ツ〜〜
 中川警部の叫びも虚しく、携帯はそこで切れてしまう
※ってか、スネークをやめて脛かじりって言い直すのは何なのか……お前、生徒会○一存か?

#2
邦武ほうむ「クッ……どうやら犯人に消されたらしい……」
警官「な、何だって?」
警官「……御心配なく、こんなこともあろうかと、あの警官の携帯には発信機を取り付けてあります」
 ささっとノーパソを取り出し現在位置を検索する警官
邦武ほうむ「でかした!帰ったら二階級特進をくれてやろう!」
警官「……いや、あの、中川警部……俺、まだ死にたくないので……」
 ……ちなみに、発信機を取り付けてあると言い出したが、実際には発信機などではなく、GPSであり、その位置
情報を検索していただけであった……
 まぁ、ともかく、中川警部達は急いで犯人に返り討ちとなって帰らぬ人となってしまった警官の元へと駆けつけ
るのであった……

邦武ほうむ「こ、これはぁ……」
 中川警部達が駆けつけたそこには……全身を刃物で串刺しにされ、大木の下で息絶えている警官の姿があった
警官「中川警部……見てください……」
邦武ほうむ「うん?」
 言われて大木を見上げてみると、その木の枝には大量の刃物が……
 どうやらこの警官は大木につりさげられており……そして、振ってきた刃物に串刺しにされたようだ。
邦武ほうむ「た、確かに、こんなところにトラップがあるなどと、誰も想像できないな……」
警官「なんてことだ……犯人は用意周到に逃げ道までも計算していたというのか……」
警官「まぁ、その割には犯行は突発的ですけどね……」
 白昼堂々、人を蹴り飛ばし、銃殺する……そして、目撃者まで許してしまう失態……
警官「いや、もしかしたら、犯人は蹴りと銃撃で殺せなかった時のためにこのトラップをあらかじめ用意しておい
たのではないでしょうか?」
邦武ほうむ「なるほど……そして、そのトラップにひっかかってしまったと……」
 クッ、これでは無能警官の誹りは免れんな……と中川警部は一人歯噛みするのであった……
※いやいや……この程度では無能警官の誹りは受けないと思うのですが……しかし、そう考えてしまう思考回路の
 持ち主たることが無能警官の証左なのでしょうか……

 ……一方、その頃……

 天四斗あまよと、Eighter本部
梓與鷹よたか「……なんだ、総か……」
 その日、総介はいつものように(?)Eighter本部を訪れていた……
かみ総介「まずはこれを見ろ……」
 そして、先ほどの蹴りプラス銃撃の死体の写真を取り出す総介……
 そこには一体どんな秘密が……そして、どんなオーパーツが絡んでいるというのか


続

前の話へ 戻る 次の話へ