Eighter -Midnight Howling-
2nder 〜されど偽りの自殺 A〜
#0
各地で、相次いで謎の自殺が発生した……これは『俺と一緒に死のうぜ……』などと言っておきながら自殺をド
タキャンするあの不自殺自殺主義者の仕業なのだろうか?
#1
とある場所にて……
*「人間というものは、面白い生き物ね……」
*「……」
以前、場違いな黒き遺物を使い非業の死を遂げた人物を陰から見ていた謎の少年少女たちがそこで、会話を繰り
広げていた……
*「……欲望、果てなく……そして、それは死をも渇望する……」
*「罪だねぇ……」
*「……くくく……だからこそ、僕たちがこうやって活動できるんじゃないか……」
*「うふふふふ……それもそうね……」
そうやって、ひとしきり、会話を行った後……そこから少年少女の姿は忽然と掻き消えた……
……まるで、最初からそこには誰もいなかったかのように……
……一方……東京都……
警官「中川警部……ホトケは湯浅由、死因は胸に突き刺さっているカッターナイフ……」
中川邦武(「うぅむ……」
警官「カッターナイフからはホトケの指紋しか検出されておらず、どうやら自殺ではないかと……」
邦武(「またか……」
警官「はい、これで、今月に入って八件目ですよ……」
……最近、巷では謎の自殺が流行っていた……
ある日、何の前触れもなく、唐突に、人が自殺するのだ……
そして、自殺した人間は皆、携帯に文字化けしたメールを受信していた……
警察は当初、自殺に見せかけた連続殺人として捜査を進めていたが、何の進展も得られなかった……いや、何の
進展も得られなかったというのは正しい表現ではないが……
そして、それだけではなく……捜査を進めれば進めるほど、この一連の事件は他殺には思えないという結論に
達するのであった……
被害者(?)の一人など、観衆が大量にいる中迷わず自殺をやってのけ……それは、どこからどうみても他殺に
は見えなかった……
警官「中川警部……ありました……例の文字化けメールです……」
そのまま文字化けしたメールを中川警部に見せる警官
邦武(「くそっ……このメールが何なのか……分かればせめて……」
文字化けしたメールについて捜査を行った警官であったが、しかし、そちらの捜査も全く進むことがなかった…
…と、言うのも、文字化けしているのはメール本文だけではない、メールの送信元アドレスまでも文字化けしてい
るのだ……
このメール、一体どうやって送受信できたというのか……
邦武(「一種の怪奇現象だな……」
警官「はっ……中川警部……私、以前こんな都市伝説を耳にしたことがあります……」
警官「都市伝説?」
警官「はい……『死者からの便り』って奴なんですが……」
曰く、死者よりメールが届くことがある……そのメールを受信したものは、数日の内に死亡するという……
それは、今回の文字化けメールを暗示するような都市伝説であった……
邦武(「おし、お前らはその都市伝説について捜査を行え!……俺はこの文字化けメールが解読できないかと頑張っ
てみる……」
警官「は、はい……」
かくて、捜査は進む……のか?
※と、言うか、文字化けメールの解読は無理だと思われます……それにも関わらず挑戦するのは捜査と銘打ってサ
ボりたいだけ……中川警部……お主も悪よのう……
#2
天四斗(、Eighter本部
上(総介「……と、いうわけだ……」
梓與鷹(「は、はぁ……」
唐突にEighter本部に現れた総介(と桜)は颯爽と現在世間を騒がせている連続自殺事件について要点を纏めて
ザックリと話す
與鷹(「……で、総……その文字化けメールを解読すればいいのか?」
総介「いや……」
白拍子かんな「そうですね、解読しない方がいいでしょう……」
與鷹(「ん?それはどういうことなんだ?」
山咲桜「警部はあのメールが自殺を誘発させている……と考えています」
……そして、かんなの反応を見る限り、それは正しい……と睨む
與鷹(「メールで自殺を誘発?……そんなこと、出来っこない……」
総介「……それは現代の科学技術での話しだろう?」
與鷹(「……と、いうことは、歴史の墓場の……オーパーツの力なら、あるいは……と?」
総介「……」
與鷹(の言葉に黙り込む総介
與鷹(「総……?」
そのまま暫し、沈黙が続き……やがて、総介は口を開く
総介「自殺した人間全てに共通点がないわけじゃない……というのは先ほど話したな?」
與鷹(「え?……あ、ああ……」
桜「自殺した八人を二人ずつに区切って行くと、その片方が片方を殺したい程憎んでいた……という共通点が発覚
したんです……」
與鷹(「……ってことは……」
当初、警察が連続殺人を疑ったのもそれが主な原因である……
……だが、捜査を進めていって、確かに、そんな共通点も存在するが、別に憎しみが連鎖しているわけではなく
捜査は行き詰った……
総介「そして、もうひとつ……憎んでいた方は送信、憎まれていた方は受信として文字化けメールが携帯に残され
ていた……」
與鷹(「と、いうことは、まさか……」
総介「ああ、文字化けメールは自殺を誘発させるために、自殺した片割れが送信していた可能性が高い……」
與鷹(「でも、総……そうなると、なぜ両方とも死亡しているんだ?」
だったら、死亡した人間は文字化けメールを受信した人間に限られるのではないか……という素朴な疑問が浮か
び和了ってくる……
と、その時、総介がぽつりと呟く……
総介「……メールとは手紙を電子化したものだ……」
與鷹(「いや、それは……わかるよ……」
突如、何を語りだすのか?とぽかんとする與鷹(……
かんな「そして、手紙というのは……おおざっぱに言うとコミュニケーションのための道具(ですよ」
総介の言いたいことをかいつまんでかんなが続ける……
與鷹(「……道具……はっ……そ、そういうことか……」
そして、與鷹(もここにきて悟る……道具……人を道具(のように扱うオーパーツのことを……
それは『場違いな黒き遺物(』……この事件には、その場違いな黒き遺物(が関与しているのか……それとも……
続
前の話へ 戻る 次の話へ