Eighter -Grand Harmonise-
37ther 〜剣鬼は至宝を得る C〜
#5
元屠歳殺流の正当な伝承者として印可を与えられた萌……早速敢(との真の決着をつけるべくEighter本部、
退いては剣聖剣術道場を訪れる……かくて、死合は始まったのだが……迷いを抱えている萌では敢(に勝つ事
あたわず……
冥時(萌「なめるなァッ!」
ギュゴアッ
ふおっ
一足飛びにかかる……萌だが、軽く回避される
萌「ぬ!?」
チキッ
某敢(「先ほど言った通りでござる……迷いを祓わぬ限り、拙者には勝てぬでござるよ」
明星幻爪(を突きつけて敢(は語る
萌「ぬううう……」
四屠(の陣のまま、敢(を睨みつける萌
萌(迷い……だと!?……この……俺が……迷っている……だと!?……何を!?何をだ!?何に
ついて迷っているというのだ!!)
敢(の言葉に混乱する萌……
敢(「……何に迷っているのかは知らぬでござるが……これ以上は無意味でござるよ」
パチリッ
萌が逡巡している間に納刀して背中を向ける敢(
萌「き……貴様ぁ!!」
だが、その態度に萌はキれた……
萌「何が無意味だ!何が!何が……キサマに……キサマに何が分かる!貴様にぃいい!!!」
ビシイッ
右の2刀を突きつける萌
萌「俺は……孤高の剣鬼……俺の征(くべき道は魔道!!……その道……いかに人を斬り殺すを求める
ものなり……そんな俺にィ……迷いなど無いッ!!」
くるり
敢(「……では、なぜ拙者を殺すことを躊躇うでござる?」
踵を返し、萌を見据え、敢(は問う……
萌「……躊躇(う……?この俺が……?」
敢(「……かつて、相対したころの萌殿は確かに、人を殺すことしかなかったかと思うでござる……しかし、
今の萌殿は……『人を殺す』事に対して揺れ動いているように見えるでござる」
萌(俺が……人を殺すことを躊躇(っている……だと!?)
そして、萌は今まで……正確には敢(に敗れ……そして、閣氏(新撰組に入り、今に至るまでの出来事を思い返す
・
・・
・・・
萌「……ハ……・ハハハハ……」
敢(「萌殿……?」
突如自嘲しだす萌に、敢(は若干心配になり声をかける
#6
萌「……そうか……どうして、こんなことに気が付かなかったのか……」
そのまま、天を仰ぎ、呟く萌
※え!?地下室にいるんだから、天を仰いだところで天上しか見えないんじゃないかって!?……そんなこと
いうものではありません。
萌「俺は孤高の剣鬼……剣の鬼……俺の刀は……全てを斬るためにここにある……そうだ!俺は……
貴様を斬る!!ただ、それだけだ……この、俺に……迷いなど無いッ!!」
グクオオオオオオオッ
そして、萌は迷いすら断ち切る……
敢(「萌殿……」
迷いの晴れた萌……その殺気は異常なくらいに膨れ上がる……しかし、その氣(に禍々しいものは感じず……
ただ、純粋に全てを斬り裂くためにある……正しく、萌の生き様を顕す……
敢(「……承知したでござる……萌殿……」
チキッ
その萌の気迫と覚悟に答えるべく、敢(も再び明星幻爪(を抜刀しなおし、対峙……
敢(、萌「……」
睨みあったまま微動だにしない両雄……いや、正確には両者は微々たる距離だが、互いに距離を詰めている
……一足一刀の間合いまで……
ジリジリ……
萌(……雑念は捨てろ!……俺は……アイツを……敢(を斬るためだけにここにいる……斬った結果
相手が生きようが死のうが関係ない……躊躇(うな!戸惑うな!考えるな!……)
敢((……これは……凄まじい気迫でござる……それほどの覚悟を背負い……拙者と……!?……
ならば……拙者もそれに応えねばなるまい……)
萌(刀は我が腕、我が心、我が想い……我が理念……我が魂……)
ズズズズズズズッ
ビキビキビキビキビキbッ
萌と敢(……両雄のただならぬ気迫が……カオサイトで出来た壁に罅を入れていく……
※ダイヤの10倍の硬度を誇るカオサイトも……人の信念の前では硝子にも等しい……つまり、今、敢(と萌
両者の信念は極限まで膨れ上がっているのだ……
敢(「ハッ!」
萌「シャアアッ!」
ゴアッ
ガガギイインッ
そして、激突……と、同時に斬撃の衝撃が2人を突き抜ける……いや、すり抜ける……
※当然、すり抜けた斬撃はカオサイトの壁を切り裂き、破壊しております
萌(ぬっ!?)
敢((これは……?!)
萌「死合の最中に考え事とは……余裕だなぁ……」
グオアッ
若干手を止め、先ほどの出来事についてを考えている敢(……しかし、そんな隙を見逃す萌ではない。
敢(「ぬんっ!」
ガギンッ
だが、考え事をしていても……敢(の神眼(は萌の動きを捉え、すぐさま反応し、応戦する敢(
ギリギリギリギリッ
萌の魔眼もまた……この展開は予測できており、そのまま組み合う両雄……
萌「おおおおっ!!」
敢(「ああああっ!!」
ぶつかりあう信念と信念……果たして、この死合、どう決着がつくのか!?……
今はただ、見守ることしか出来ない……
続
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