Eighter -Extra Voyage-
74ther 〜闇炎(やみほむら)の秘密に迫る B〜



#3
金切(しょう)「なるほど……ですが、このように折れた刀ですと鍛え直したとしても……」
島樽乃(そんだい)「そこを何とかしてもらうのが貴様の役目であろう」
 金に糸目は付けん!と豪語する樽乃(そんだい)。
 そんなことを言い放ってもいいのか!?
(しょう)「……」
 いくら金を積まれても、無理な事が世の中にはある……
*「ふむふむ……なるほど、なるほど……」
樽乃(そんだい)「な、なんだ貴様!?」
 その時、店に新たなる人物が来店していた。
 そいつは、灰色の白衣とモノクルが特徴の漢……この場にいる誰もが彼の名を知る由もなかったが、彼の名前は
網谷ゼルシフォムであった。
網谷ゼルシフォム「どうやら、お困りのようですな」
(しょう)「お前は……」
 確かに困ってはいる……だが、助けてもらう謂れもない。
ゼルシフォム「でしたら、こちらを使ってみてはいかがでしょうか?」
 そしてゼルシフォムは一つのインゴット取り出す。
(しょう)「それは!?」
 それは、緑色の燐光を放つ謎の金属であった。
ゼルシフォム「一説によれば進化を司るエネルギーを受け持つ合金と……」
※それってもしかしてゲッ〇ー合金!?
(しょう)「何が望みだ?」
 ただでこんなものを提供するなんて明らかにおかしい。ゼルシフォムを不審者のように睨みつけて(しょう)は叫ぶ
ゼルシフォム「何も……と、言っても納得しないのでしょうね……」
 当然である。
ゼルシフォム「先行投資……」
(しょう)「何!?」
 これからもこちらに面白い金属を持ち運んできますので、それを見事鍛えてみてください。
(しょう)「……いいでしょう」
 鍛冶師として、譲れないプライドもある。この漢はそれを焚きつけた。故に、(しょう)は決意する。
 鍛冶師としての有名を世界に、後世に轟かせるために!
 こうして、折れた墨炎(すみほむら)とゲ〇ター合金を組み合わせて、新たなる刀を鍛える作業が始まった。

 そして、数日後、ソレは完成した
※相変わらず出来上がるのが早すぎないか!?
樽乃(そんだい)「それが……」
(しょう)「はい。こちらが、完成した品になります」
 そこにあったのは、のちに闇炎(やみほむら)と呼ばれることになる豪刀。
 ロリ友近(ゆこん)にとっては更に扱いづらいであろう程に不釣り合いな巨大刀であった。

#4
 新しい玩具を手に入れたかの如く、キラキラしながら、ロリ友近(ゆこん)がその豪刀を手に取る。
樽乃(そんだい)「あ、こら」
島友近(ゆこん)「とりゃああっ!」
 ズドオオオオンンッ
 流石にこんな巨大な刀はロリ友近(ゆこん)には扱いきれぬだろうと考えた樽乃(そんだい)だったが、軽々とまるで小枝を振り回すよ
うにソレを扱う娘に度肝を抜かされた。
 しかも、どこまでも大地に亀裂が走っている。凄まじい破壊力である。
(しょう)「とりあえず、へし折れるなんてことにはならなくて、よかった……」
 根本的なことに安堵しだす(しょう)であった。
※いやいやロリ友近(ゆこん)を一体何だと思っているのか!?
(しょう)(それにしても、あの漢は一体……)
 あの金属も今までに見たことのない未知の代物だった……それを一体どこから仕入れてきたのか謎は深まるばか
りであった。
樽乃(そんだい)「こ、これは……」
 そして、樽乃(そんだい)の底知れない力に恐れをなした……今後の娘の人生を危惧したと言っても過言ではない
樽乃(そんだい)(これは、みだりに抜かせるわけにはいかんな……)
 だから、樽乃(そんだい)は娘に言い聞かせた。『その力、闇雲に誇示するべきではない』と
 ロリ友近(ゆこん)は聞き分けのよい娘であり、父親の教えを守るいい子であった。

 なお、闇炎(やみほむら)はその後、友近(ゆこん)が成長するまで厳重に封印されたのは言うまでもない。
※ちなみに、友近(ゆこん)が再び闇炎(やみほむら)を手にしたその時、その刀には闇炎(やみほむら)と名付けられたという後日談もございます。

友近(ゆこん)「と、いうことですわ」
一同「……」
 友近(ゆこん)の過去を聞いて、思わず顔を見合わせて黙り込む一行。
 それもそのはずである。幼いころからそんなヤバい奴だったなんて……と驚愕のあまり開いた口が塞がらないと
いうのはこういうことをいうのだ。
前田松子(しょうこ)「それはまた、愉快な話ですね」
伊達宗美(むねみ)「愉快て……」
 今の話を聞いて愉快の一言で済ませられる松子(しょうこ)もまた、バケモノじみている。と冷や汗が出てくる宗美(むねみ)だった。
友近(ゆこん)「まぁ、それだけではありませんわよ?」
直江万夏(まなつ)「ま、まだなんかあるの?!」
 闇炎(やみほむら)は使えば使うほどに切れ味とかが増している気がする……とか言い出す友近(ゆこん)である。
※それは、もしかして、切れ味が進化しているということなのだろうか!?

#5
友近(ゆこん)「さて、これで話はおしまいでしてよ?」
 すっくと立ちあがると、愛刀の闇炎(やみほむら)に手をかける友近(ゆこん)
宗美(むねみ)「あ、あれ!?友近(ゆこん)さん……どうして闇炎(やみほむら)に手をかけているのでしょうか!?」
友近(ゆこん)「久しぶりに後先考えずに暴れてみたくなりましたの」
万夏(まなつ)「いやいや、お父さんに闇雲に力を誇示してはいけないって言われていたのでは!?」
友近(ゆこん)「ええ。確かに」
 ですが、優等生を演じ続けるのは案外ストレスがたまりますのよ?とトンでもないことを言いだす友近(ゆこん)
柳生兵子(へいこ)「はっ、今、天のお告げがありました」
 唐突にそんなことを言いだす兵子(へいこ)
万夏(まなつ)宗美(むねみ)「いや、今回は天のお告げに頼ることもなく、わかりきったことだと思う」
友近(ゆこん)「では、みなさん、付き合ってくださいまし」
 しゅらんと闇炎(やみほむら)を抜刀し、殺気を孕んだ奇麗な笑顔でみなに微笑みかける。
宗美(むねみ)「……こ、こうなったらとことん付き合ってやるしかないな」
万夏(まなつ)「マジで言ってる!?」
松子(しょうこ)「たまにはこんなこともいいかもしれませんね?」
万夏(まなつ)「ねぇ、それ、マジで言ってる!?」
 ここから先は地獄絵図だ……
 その後、友近(ゆこん)以外の四人の姿を見たものはなかった……なんてことはないので安心してください
※をいをい


END

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