Eighter -Extra Voyage-
55ther 〜新型車空を行く! B〜



#3
 西塚秋晴(しゅうせい)、彼は自称天才発明家のどこかオカしい人物で、彼の助手もまた、頭がオカしいとしか思えない女性で
あった。
西塚秋晴(しゅうせい)「では、次に……」
百鬼あろえ「ちょ、ちょっと待って!」
秋晴(しゅうせい)「話の腰を折るとは……なんだ?一体?」
 助手(について)、聞かずにはいられないッ!
嘘言(うそいえ)うさぎ「……なんでしょうか?」
あろえ「まず、その恰好は何?」
うさぎ「私の一張羅ですが?」
 どこか変でしょうか?と首をかしげるうさぎ。ダメだコイツ、はやく何とかしないと……
うさぎ「この服の方がイザとなったときにカラダを動かしやすいので……」
 とかいって足を少し開いては膝立ちして、股間を何かに擦り付ける様な動きをしだすうさぎ。
※なんか、動きがアウトだ!
一同「あ、そう……」
あろえ「……ええと、もう一つ聞きたいことがあるんだけど……なんであんな奴の助手になっているの?」
うさぎ「はい、私はもともと東京の新宿にある、とあるお店で働いていたんですが……ある日、数人の男性に呼び
出されては犯されそうになったところを、あの人が颯爽と助けてくれたんです」
一同「うん?」
 なんか違和感があったような……
うさぎ「以降、私はその時の恩を返すために身も心も捧げる決意をしたんです」
 この格好はそのための戦闘衣装なんです!と豪語するうさぎ。
 いい話なのかなぁ?
 そんな中、あろえは一人、をいをいをいをい……ってな表情をしている。
梓與鷹(よたか)「どうしたんだ?あろえ……」
あろえ「あ、ちょっとこっち来てください、リーダー……」
與鷹(よたか)「うん?」
 ここでは話せないようなことなのか?と與鷹(よたか)は言われるがままにあろえの後をついていく。
あろえ「ええと、これはちょっと前に人から聞いた話なんですけど……」
 それは、とある風俗店で働く風俗嬢を無理やり奪っていった漢がいるとかいう噂話だった。
與鷹(よたか)「……ええと、それって……」
あろえ「東京の新宿とか言ってましたけど、明らかに歌舞伎町をボカした言い回しでしょ……?」
 一見すると暴漢に襲われそうになったところを救われたような話に見えるが、お金を出してプレイを楽しもうと
していたら、オカしな漢に風俗嬢を奪われたと、そういう話なのではないか?
 溜まったもんじゃないな!
 もっとも、別のモノは溜まり溜まっていたんだろうけど……
※下ネタ酷い……

秋晴(しゅうせい)「お〜〜い、お前ら、俺の発明はまだこんなもんじゃないぞ!戻ってこいや!」
與鷹(よたか)「あ〜……」
 とりあえず、気を取り直して、秋晴(しゅうせい)の元へと戻っていく與鷹(よたか)とあろえであった。

#4
秋晴(しゅうせい)「さて、次はこいつだ!」
 そういって秋晴(しゅうせい)が説明しだすのはガルウィングドア、ファルコンウィングドアというまるで翼を広げる様な感じ
で上下に開閉するタイプのドアを持つ車だ。
 なお、余談だが、ランボルギーニで有名なもう一つの上下開閉式ドアのことはシザードアという。まるで鋏の持
ち手を上に開いたかのような感じで上下に開閉するタイプのことを言い、ガルウィングドア、ファルコンウィング
ドアとは別物である。
與鷹(よたか)「……」
 その車を見て、與鷹(よたか)はもう次の展開が読めた。
秋晴(しゅうせい)「こいつは発明No.38911、ゼロッカス!」
 ドアを羽ばたかせることで空を飛ぶ画期的な仕組みだ!と言い出す秋晴(しゅうせい)。
 思った通りの展開だった。
うさぎ「一見すると、子供が思いつきそうな発想だとか馬鹿にしたでしょう?……でも、そんなもんじゃないんで
す」
 バッサッバッサッバッサッバッサッ
一同「ンなぁ!?」
 鋼鉄の翼が羽ばたくと、何故か白い羽毛が飛び散っていった。
 それは、Wガンダムゼ□(EW)を彷彿させた。
※ゼロッカスってもしかしてゼ□カスをもじってんじゃねぇか?
與鷹(よたか)(何だこの、無駄な技術……)
あろえ(ま、まぁ、謎エフェクトはともかくとして、さっきの飛べるんですよりはまぁ……)
 ちなみに、こんな風に翼を広げる様な形で上下に開閉するタイプはドアと屋根に負担がかかるのであまり採用さ
れないらしい。
 つまり、羽ばたいて空を飛ぶ車なんてやはり、現実的じゃないってことだね……

秋晴(しゅうせい)「続いて発明No.39250、ユーカーフクヨウ!」
あろえ「床、拭くよぅ?!」
 その車は一般的によく見られる左右開閉式のドアを持つ車だった。
 だが、それだけで終わらないのがこの秋晴(しゅうせい)の(無駄に)凄いところである。
※想像の斜め上を行くともいう。
うさぎ「このように、横に開いたドアは90°回転します」
 くるりんと回転させたドアとドア……そのドア同士がワイヤーでつながれる。
 その形状は複葉機であった。
秋晴(しゅうせい)「ふふふ、こいつの凄いところはそれだけではない、心血を注いで開発した最高傑作がコレよ!」
 見せてやれ!と秋晴(しゅうせい)が叫ぶと同時にうさぎが車を発進させる。
 ワイヤーでつながれたドアウィングが連動して回転。
 ズドドドドドドドッ
與鷹(よたか)「なぁ!?」
 ジェット噴射で空を飛んだ。宙を浮いたらドアウィングは再び複葉機状態に移行する。
與鷹(よたか)「ただ、さっきの羽ばたく車を見た時も思ったけど、風通しよさすぎだよな……」
あろえ「うん、あんまり乗りたくないわね……あの車……」

#5
秋晴(しゅうせい)「ふははは!見たか!聞いたか!そして、驚いたか!」
 いや、確かに多いに驚いたが……
秋晴(しゅうせい)「それだけではないッ!どうしてプロペラ推進じゃなく、ジェット推進にしたか分かるかね?」
あろえ「いや、分かりません」
 寧ろ、興味ナッシング
秋晴(しゅうせい)「ユーカーフウヨウは陸A海-空A宇Aを目指して作られた車だからだ!」
一同「無理がありすぎる!」
 もっともな突っ込みだった。
 車単体ならばよしんば宇宙へ行けたとしても、人間は無理だ……
秋晴(しゅうせい)「宇宙服を着れば問題なし!」
一同「宇宙服を着て車の運転なんてできるかよ!」
 やっぱり無理があると突っ込まざるを得なかった。
秋晴(しゅうせい)「どうだ!これからの時代を先取りした私の偉大なる発明品は!?」
一同「いや……なんというか……」

 こうして、やっぱりと言うべきか、秋晴(しゅうせい)には帰ってもらうことになった。
 と、言うか、あいつは一体何をしにここへやって来たんだ?
 ただ、新車を見せびらかしたかっただけというわけでもあるまいよ……
※まぁ、依頼内容に踏み切られる前に帰ってもらったわけなので、仕方がないのですが……
 だが、秋晴(しゅうせい)の発明はまだ続く……


END

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