Eighter -Extra Voyage-
54ther 〜銃の声が聞こえる A〜



#0
 枳篤(からたち・あつし)……いつも姉と師匠にイビられる毎日を送る不運な男……しかし、その原因は彼自身にあったのだ!(既に
周知の事実ですが……)
 ……と、まぁ、そんなことはさておいて(ヒドイ)、今回はそんな不幸な男、(あつし)……の姉に纏わるエレバド
※エ『レバド』じゃなく、エ『ピソード』……木星帝国のMS・バタラのバリエーションの1つ?

#1
 天四斗(あまよと)、Eighter本部
枳篤(からたち・あつし)「んん!!!?」
 ある日、(あつし)がEighter本部へやってくると……自分のデスクの上にメモが置いてあった。
(あつし)「……『ちょっと買い物を頼む……テメェの愛するお姉様より』……ってなんでだぁ!!」
 メモの内容を読んでからうがぁ!っと叫び出す(あつし)與鷹(よたか)「……どうした?朝から大声で叫んで……」
(あつし)「あ、リーダー……実は……ちょっと姉に買い物を頼まれまして……」
與鷹(よたか)「あっそ」
(あつし)「あっそ……ってリーダー……サラっと流さないで下さいよ」
與鷹(よたか)「すまん、いつもいろいろとイジメられていることに比べたら普通だったんで……つい」
(あつし)「……あ、そういえば……そうっすね……」
與鷹(よたか)「で、何を頼まれたんだ!?」
(あつし)「えっと……ゼリーチップ社の新作が出るからお前の金で新作を買って来い……と……」
一同「……」
 なんともまぁ、自由気ままというか傍若無人なおつかいのメモだった。
(あつし)「いい加減あのダメアネキを更生させないと俺の給料が食いつぶされる!!」
 くわっと叫びだす(あつし)(あつし)「あの銃器マニアのクソアマがぁ!!」
 プルルルル……プルルルル……
 心の奥底からの叫びと同時に、突如(あつし)の携帯に着信アリ
(あつし)「……」
與鷹(よたか)「……電話だぞ……」
(あつし)「……うん。分かってる……」
 勿論、姉からの着信だ。
 まるでお前の事をいつも見ているぞ!といわんばかりのタイミングだった。
(あつし)「すぅ〜〜〜、はぁ……すぅ〜〜〜、はぁ……」
 震える手で携帯を取り、深呼吸を数回して、覚悟を決めてから電話を取る(あつし)
(あつし)「はい、もしもし……ひっ……ち、違う……いや……だから……その……」
 顔面蒼白になりながら、(あつし)はEighter本部を後にするのであった。
與鷹(よたか)「……危険なアネキだな……」
 しみじみと呟く與鷹(よたか)であった。
※危険な姉貴って……
與鷹(よたか)「ゼリーチップ社の新作……ねぇ……」
 コスメの一つでも買って来いってことなのかなぁ……などと與鷹(よたか)が呟くと、丁度(あつし)と入れ違いでEighter本部に
やってきた(つかさ)が血相を変える
梔曹(くちなし・つかさ)「ゼリーチップ、だと?!」
與鷹(よたか)「お、おう、ど、どうした、(つかさ)」
 その気迫に、思わず気圧される與鷹(よたか)(つかさ)「プリンが嫌いなゼリーチップで有名なあのゼリーチップか!?」
與鷹(よたか)「いや、知らんけど……」

#2
白拍子かんな「はい。そのゼリーチップで間違いないと思います」
 (つかさ)の問いに答えるのはかんなだ。
與鷹(よたか)「ええと……」
 與鷹(よたか)が疑問に思うことはただ一つ、そのゼリーチップってなんだ?ってことだ。
(つかさ)「サラエヴォ事件を知っているか?」
與鷹(よたか)「確かオーストリアの皇族が暗殺された事件だったような……」
 それは1914年6月28日にオーストリア=ハンガリー帝国の皇嗣であるオーストリア大公フランツ・フェルディナ
ントとその妻ゾフィー・ホテクが、サラエボを訪問中にテロ組織に暗殺されるという事件のことだった。
(つかさ)「ああ、そして、その主犯がガヴリロ・プリンチップという青年だ!」
與鷹(よたか)「プリンチップ?!」
 その名を聞いて先ほどの『プリンが嫌いなゼリーチップ』というフレーズが黄泉帰る。
與鷹(よたか)「ってことは、ゼリーチップってのは銃のメーカーってことか?」
 まぁ、確かに、あの凍子(とうこ)がコスメに興味を持つのもなんか不自然な話だよな……などと若干不謹慎な事を考える
與鷹(よたか)。(気持ちは分からんでもない……)
かんな「はい。そうなりますね……ゼリーチップ社、ウィーンに本社を持つ重火器メーカー」
 レムリアで情報を引き出しつつかんなは続ける。
 CEOはイセリオ・ハルゲンミリア。ガヴリロ・プリンチップの末裔にあたる人物であり、プリンが大嫌いな事で
あまりにも有名である。
 ちなみに苗字がプリンチップなので、それも嫌いで婿入り婚して本名からもプリンを消し去った程の筋金入りの
プリン嫌いである。
※でもイクラ(プリン体)は好きだったりする(どうでもいいわ!)
與鷹(よたか)「……プリンが嫌いだからゼリーか……」
 なんだか呆れて物も言えない與鷹(よたか)であった
(つかさ)「ゼリーチップ社の重火器は独創的なデザインなのが特徴なんだが……」
 そういって(つかさ)は愛銃、ワルサーP-99を手にしながらしみじみ呟く。
(つかさ)「今は独創的というか、どちらかというと奇抜なデザインのものが多い気がするんだよな……」
 もう、だいぶ前のことになるか……あれは確か……とかなんだかしみじみと過去を思い出す(つかさ)。
 ただ、それでも(つかさ)としては馴染みの深いワルサーP-99を使い続けるそうだ。

 と、そんな時、(あつし)がしくしく泣きながら戻ってくる。理由は言わずもがなだ、凍子(とうこ)に金を(むし)り取られたからだろ
う。
 そして、そんな(あつし)とは逆にウキウキしながらEighter本部へとやってくる女性もいる。言わずとも分かるが凍子(とうこ)
だ。
 更に、凍子(とうこ)はもう一人、女性を引き連れていた。
一同「なっ、お前は!?」
 果たして、その女性とは一体!?


続

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