Eighter -Extra Voyage-
33rder 〜遺失(失われた)電脳を探して A〜



#0
 剣舞……伍佰(ごひゃく)羅漢の恋人であり、羅漢の後継者でもある……今回はそんな彼女に焦点を当て、彼女の復讐を綴っ
てみたエピオオトリ
※エピ『オオトリ』じゃなく、エピ『ソード』だからッ!!ってかオオトリストライカー!?

#1
 天四斗(あまよと)伍佰(ごひゃく)家
剣舞「羅漢……」
 がらんとした……もはや帰る主をなくしたその家で……舞は1人哀しみに明け暮れる……
舞「……でも、これが、本当なら……」
 しかし、彼女の傍らには1冊のノートが……それは、與鷹らの手によって廃棄されなかった資料であり……
 つまるところ、第九帝国についての研究成果ではない……
舞「……九大オーパーツCPが1つ……ニライカナイ……消滅していない全ての存在情報の復元が可能……」
 そこには九大オーパーツCPが1つ、ニライカナイについて記載されていた……
舞「これが……これがあれば!」
 ノートにはニライカナイのことだけではなく、ニライカナイを使い、死を克服したという伝説を持つ都市、ウル
スサスカについての記載もあった……
舞「すごいじゃない……」
 かくて、舞は羅漢の残したノートをもとに、ニライカナイがあるという都市、ウルスサスカへと赴いた……

 歴史の墓場、ウルスサスカ
 ジャリッ
舞「な……なによ……これ!?」
 死を克服した伝説の都市……そこはどんな理想郷なのだろうと足を運んだ舞が眼にしたものは……一面の荒れ果
てた廃墟……
舞「ウルスサスカは死を克服した都市じゃなかったの!?……それともニライカナイを求めて侵略者がやって来た
から移転したとか!?……全く、とんだ無駄足だわ……」
 踵を返し、その場を去っていこうとした舞だが……そのとき、突如廃墟に声が響く
*(ニライカナイが欲しいのか!?)
舞「だ、誰!?」
*(我はこの地でニライカナイを守るもの……)
 ……それは、かつてウルスサスカの民だったもののなれの果て……肉体なき思念体であった……
 舞が辺りを見渡すと、その声の持ち主がぼんやりと姿を現す
*(……ここ、ウルスサスカはニライカナイのおかげにより、死を克服することが出来た……だが、それは我々に
幸福を(もたら)すと同時に悲劇も(もたら)した……)
舞「ウルスサスカの歴史なにかに興味はないわ!私はニライカナイにだけ興味があるの……」
 とっとと道案内でもしなさい……と舞……だが、思念体は応じない……

#2
*(聞け!ニライカナイを求めしものよ……ニライカナイは確かにすばらしいオーパーツCPだった……だが、故に
ウルスサスカの民は『生きたい』という執着を失った……死しても黄泉帰ることが可能なのだからな……)
舞「そんな話を聞くために私はここにいるんじゃないの……」
 しかし、思念体は更に語る……
*(……また、2人の漢が1人の女性を愛し、共に譲らぬことから殺してそれぞれで黄泉帰らせようというそんな事
件にも発展した……)
舞「人は分けることができないけど、複製することは可能ってわけ!?……いいじゃない……」
 羅漢が2人いたら、ちょっと幸せ2倍かも……などと考える舞……しかし、現実はそうはいかない……
*(……人としてやってはならぬことを行った者には相応の報いが訪れる……黄泉帰った女同士は互いに互いこそ
がオリジナルを主張し、殺し合うことになった……)
舞「つまり、1度に複数の同じ存在を黄泉帰らせなければ問題無いってことじゃないの……」
 ちょっと残念だけど、それはそれで仕方のないことね……と舞……
*(……愚かなことを……)
舞「なんですって!?」
 思念体の言葉を聞き捨てならない舞……
*(かくて、ウルスサスカは2つに分裂した……ニライカナイを必要以上に使うことを禁じる一派と、その一派は
どうせ自分たちだけでニライカナイを独占するんだろうと踏んだ一派……)
 あれは哀しい戦争だった……と漢……それに対して、舞は救いようのない話ねぇ……と一瞥
舞「ハッ、つまり、ウルスサスカは死を克服したが、同士討ちで滅んだってわけ……馬鹿馬鹿しい……私だったら
もっと有効にニライカナイを使ってみせるわ!!あなたの話はそれでおしまい!?……だったらとっとと私にニラ
イカナイを渡しなさい!!」
*(……そのような意志を持つ者を待っていたのではない……お前にも……ニライカナイは譲れん!!)
舞「何ですって!?」
 ずおおおおおおお〜〜〜
 ……そして、その思念体に賛同する同士の思念体も続々とその場に集う……
舞「……怨念どもが……どうあっても渡さない……と言うのね?」
*(……そうだ……)
舞「……」
 果たして、舞はニライカナイを手に入れることが出来るのか!?
※本編では実際にニライカナイを使っていたんだから、入手できるんでしょ?などと突っ込んではいけない……
 ……そして、『お前にも』ということは、これまでもそういった類の連中がここへやってきて似たようなことを
しでかしたということなのか?!


続

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