Eighter -Chaos Desorder-
56ther 〜氷と闇と邪悪な魂 D〜



#7
鵺帛主ヤヌスの均衡が崩れ、それでもどうにか修復への一歩を歩みだしたその矢先……世界を破滅へと向かう事象
が再び……
……世界を滅ぼしかねないその帝国の領主は與鷹よたかのかつての知人、伍佰ごひゃく羅漢!……かくて、彼の野望を
打ち砕かんとかんなが立ち向かうも、紅闇刃ルビーシェイドの力の前に炎の記憶は砕かれ……絶体絶命のピンチのそのとき、
紅闇刃ルビーシェイドに対なす聖剣・碧聖刃シアンセイクレドがかんなの元に……
伍佰ごひゃく羅漢「はっ!!」
ドオンッ
白拍子かんな「はっ」
バッ
羅漢の邪悪な剣閃を回避しつつ体勢を立て直すかんな
梓與鷹よたか(ヤバイ……未完成ながらもこの力……完全体ならば一体どんなパワーなんだ!?)
與鷹よたかは1人……この死合……完全な碧聖刃シアンセイクレドを持つかんなの力をもってしても、不完全な状態の紅闇刃ルビーシェイドと互角
でしかないのか!?と危惧……
かんな(ダメです……羅漢さん……それ以上邪悪なオーラを吊り上げたら……滅びますよ……)
ギンッ
ガガンッ
そのまま鍔迫り合いは続く……
羅漢「うおおああああ!!!」
ドギャアアッ
バギャンッ
羅漢の放つ剣閃は無茶苦茶だが……しかし、確実にかんなを追い詰める
ジリジリッ……
與鷹よたか「か……かんな!?」
圧されゆくかんなを見て、與鷹よたかは驚きを隠せない……
羅漢「ははは……ハァ〜〜〜〜ッハッハッハ!!!」
ズッ
そして、紅闇刃ルビーシェイドを振るたびに羅漢の邪気は増し……
與鷹よたか「な……何だ!?」
羅漢「フハハハ!!」
ズズズズッ……ズッ
羅漢の体も徐々に黒く闇に染まっていく
かんな(羅漢さんはもう……)
羅漢「消えろ!!!」
ドシャアアアッ
かんな「ぐ……ああああ!?」
ドギャアアアアッ
かんなが羅漢の身を案じつつ、死合っていると……どうしても隙が出来てしまう……
そして、その隙を見逃さない羅漢……まともに羅漢の剣撃を受け、吹き飛ぶかんな
與鷹よたか「か……かんな!?」
流石に、これには與鷹よたかもかんなの傍に駆けつける
羅漢「ふぅ〜〜〜、ふぅ〜〜〜〜……次はキサマだ!與鷹よたか……」
與鷹よたか「……くっ……」
かんな「リーダー、よけてください!!」
與鷹よたか「おん!?」
カッ
與鷹よたかが決死の覚悟でかんなを護ろうとしたその瞬間、與鷹よたかのすぐそばを光の龍が飛んでいく
羅漢「ぬおああああああ!!!」
ドジュアアアアアアッ
左手をかざし光の龍を受ける
シュオアアアアアッ

#8
與鷹よたか「なっ……何ぃ!?」
左手で光の龍を受け止めた羅漢……すると、光の龍はみるみる闇に打ち消され、弱まっていく
かんな「リーダー、見ましたか!?」
與鷹よたか「え?……ああ」
あれは……一体何だ!?と與鷹よたか……それにかんなが答える
かんな「もはや羅漢の体のほとんどが紅闇刃ルビーシェイドの邪気に飲み込まれています……」
與鷹よたか「邪気に……?」
かんな「ええ、未完成だからこそ、振るうたびに邪気が体を蝕み、闇に同化していく……」
與鷹よたか「なっ!?」
かんな「痛みも感じません……しかも強くなっていくので自分で止めることも出来ません……」
與鷹よたか「……じゃあ……」
かんな「羅漢は……もう……」
哀しい表情で助けられません……と告げるかんな……
ドギャアッ
かんな、與鷹よたか「はっ!」
その会話の最中、羅漢は無慈悲にも攻撃を繰り出す。
……が、済んでのところでそれを回避する2人
羅漢「死合の最中に談笑とは余裕だな!」
かんな「羅漢さん!!……次に終わらせます……」
羅漢「ハッ!終わらせる!?……それはこっちのセリフだ!」
グゴゴゴゴゴッ
さらに羅漢の邪気が高まり、羅漢が黒く染まっていく
羅漢「くたばれ!與鷹よたか!」
ゴッ
紅闇刃ルビーシェイドを振り下ろそうとした瞬間
かんな「龜鎧舞刃きがいぶじん!」
ズアアアアッ
羅漢「ぬ……な……何だ!?」
剣圧で具現化されたかめが羅漢の動きを押さえ込む
羅漢「ぬ……ぐ……ぐぐぐ……体が……動かん……だとおお!?」
かんな「はああああ!!!!」
ザンッ
動きを封じた羅漢を……かんなが一刀のもと斬り捨てる
羅漢「おご……ごああああああああ!?」
ボシュアアアアアッ
與鷹よたか「羅漢!」
既に紅闇刃ルビーシェイドに呑みこまれていた羅漢は……そのまま闇に消える
かんな「……はぁ……はぁ……」
かんな、ふらつきながらも紅闇刃ルビーシェイドの元へ行き……
與鷹よたか「かんな!?」
かんな「……もう一仕事、残っています……」
……それは……紅闇刃ルビーシェイドの破壊……
かんな「こんな魔剣はこの世に存在させてはいけません……」
グオンッ
かんなの気が高まる
かんな「はあっ!」
スカアアッ
與鷹よたか「な……に!?」
かんな、渾身の一撃……を回避し、紅闇刃ルビーシェイドは天高く舞い上がる
かんな「くっ……」
ギュルウンッ
かんなが次の手を講じるよりも早く、紅闇刃ルビーシェイドはその場から姿を消す……
・
・・
・・・
かんな「……逃してしまいました……」
與鷹よたか「……かんな……」
だが、第九帝国の復活は何とか阻止できた……今日のところはこれでよしとしようではないか……と與鷹よたか
かんな「……そうですね……リーダー……」
こうして……第九帝国の完全なる復活は阻止できた……だが……その紅闇刃ルビーシェイドが後に完全体となって
戻ってこようとは……誰も思わなかった……


END

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