Eighter -Chaos Desorder-
28ther 〜マヤ文明英霊奇譚 C〜



#5
百鬼あろえ「なんで……今は白拍子と名乗ることにしたんですか?」
水晶の剣のことも気にはなるが、それ以上になぜに結婚したことをきっかけに名前を変えたのではなく、暫くして
から名前を変えたのか……と疑問に思っていた一行を代表して、あろえが質問を投げかける
白拍子ときお「……お守りの代わりみたいなものだな……」
梓與鷹よたか「お守り!?」
意外な答えが返ってくるのでちょっとびっくり
あろえ「それって……」
……白拍子という雷名は、唱えるだけで効果があるのか……と考えていると、ときおは話を続ける
ときお「……私はれいらと結婚してからも暫くの間は『嵐徹らんてつ』を名乗っていた……その名を残し、考古学界
 に轟かす為にな……」
與鷹よたか「ええ、確かに今でもその名前は有名ですよ……」
ときお「だが、あるとき、遺跡の調査中に武装した盗掘者に出会ってしまった……」
ははぁ、出る杭は打たれる……ってヤツね……とあろえが納得する。
雨水おぼろ「で、そこで、白拍子の雷名を唱えたんでね?」
ときお「ああ、わらにもすがる思いでな……」
そうしたら……どうなったんですか!?と一行が聞いてみると……暫く沈黙した後に、ときおは答える
ときお「……遺跡は突如何の前触れも無く崩壊……私はロープで縛られていたりしたのだが……」
その崩壊時、偶然にもロープが瓦礫で切れ、自由に動けるようになり、武装した犯人グループは遺跡の中にものの
見事に取り残され、そして、ときおら一行は遺跡の崩壊によって出現した通路を使って脱出することに成功した
のだという……
あろえ「そ……それは……」
※ちなみに、脱出したときおらはすぐさま通報、武装盗掘者一行はすぐさま救出および捕縛されたという。
ときお「私はそのとき、白拍子家の運の庇護の下にある……と痛感した……故にそれから、私は嵐徹らんてつの名
 を辞め、白拍子と名乗ることにしたのだ……」
一同「……」
梔曹くちなし・つかさ「……白拍子家の運って……強ぇ……」
流石は世界を手に取るだけはある一族だ!と一同は思う。
おぼろ「じゃ、私も困ったときはそれを使ってみようかな?」
そして、そんなことを聞くと悪用したくなるのが人間。
かんな「それは無理ですよ」
だが、世界は都合よく作られているもの……スパっと切り捨てるかんな
おぼろ「へ!?」
ときお「うむ。白拍子家の強運の庇護に肖れるのはあくまでも白拍子の家系のみ。赤の他人が名を唱えたところで
 何も変わりはしない」
おぼろ「うええ!?」
衝撃の事実におぼろ撃沈。
あろえ「……えっと……じゃあ……その、白拍子ってことは、嫁いだってこと……だよね?」
あろえが再び疑問を口にする。
ときお「全ては白拍子家のためである……」
一同「はい!?」
返ってきた答えがよく理解できず、一行はキョトンとする。

#6
與鷹よたか「それは……どういう?」
ときお「白拍子の家系は世界をも支配する強運の家系だが、それはあくまで『白拍子』であることが前提……」
かんな「つまり、白拍子家の女が嫁入り……相手先に嫁ぐことは、白拍子家の強運を捨てることと同義なん
 ですよ」
ときお「……白拍子家の女が嫁いだ場合、嫁いだ先の一族郎党がそれはそれは非業の死を遂げた……などと
 いう逸話もあるらしい」
※もしかしたら、嫁いだ後、夫婦別姓にしていても同じことがいえるかも……
一同「ちょっ……」
その、あまりにも衝撃的な事実に一同はただ驚嘆するしかない。
與鷹よたか「なるほど……もしかしたら、ある意味、運に呪われている……のかもしれないな……」
ときお「ふむ、言いえて妙だな……」
いいことだけが起きるのが人生ではない……それは……ある意味、超運の家系、白拍子一族にも当てはまって
いる……
ときお「まぁ、そういうわけで、娘が嫁入りしてしまうってなことは無いからそのことについての問題は無い
 から安心だったりするんだがな……」
漢親の心配はしなくてもOKってなことをアピールしてみるときおさん。
かんな「……じゃ、依頼のことに戻りますけど……」
ときお「ああ、こんな話をしている場合では無かったんだな……」
と、言うわけで、依頼の話に戻ることに……
ときお「……おそらく……彼は水晶の剣の亡者に取り憑かれたのだと思います」
與鷹よたか「ふむぅ。水晶の剣……」
ときお「……そして……おそらく……彼が向かいし先は……」
かんな「黒耀の剣……」
ときお「……ああ、水晶の剣に対成す代物。……マヤにおいて敗者の心臓を神に捧げる聖剣」
おぼろ(結局人殺しのための道具なのに聖剣!?)
與鷹よたか(マヤでは赤は神聖な色だったらしいからなぁ……)
あろえ「その、黒耀の剣はどこに?」
ときお「……分からん……それだけは既に盗掘されていたからな……」
かんな「じゃ、早速検索しますね」
と、言うわけでアトランティスで検索を開始するかんな
ときお「……むぅ……あれは……」
與鷹よたか「オーパーツCP……アトランティスです」
ときお「……ほほう、実在したのか……もしや……歴史の墓場も?」
與鷹よたか「……ええ、ご推察の通りです」
ときお「なんと!!」
ときおと與鷹よたかが会話をしていると……検索の終わったかんなが告げる。
かんな「あ、見つかりました」
……黒耀の剣は今、いずこに……そして、重次郎が黒耀の剣を求めるのは何故か!?


続

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