Eighter -Chaos Desorder-
17ther 〜異世界漂流幻想譚 A〜



#0
ある日、與鷹よたかの提案で歴史の墓場と呼ばれる異世界の……八大帝国と呼ばれる古代国家へ探索に出ることに
なったEighter一行……しかし、移転の際、突如契約の指輪が輝きだし……Eighterの8人はそれぞれ別々の
国へと飛ばされてしまう……果たして……一行は無事合流し、そして、現実世界へ帰れるのか!?

#1
梔曹くちなし・つかさ「……はっ!?」
バッ
つかさが目を覚ますと……そこは、異世界、八大帝国が1つ……
兵士「……目を覚まされましたか……新領主様……」
どんよりとした兵士に囲まれるつかさ
つかさ「な……何……!?」
兵士「……我ら……八大帝国、土のテーレノ……の治安を維持する……騎士団……その名は……」
一同「……万人知る坑道騎士団メジャーマイナーナイツ……」
どよどよ〜〜んと答える騎士団……
つかさ(メジャー……マイナー……有名なんだか、無名なんだかよく分からない騎士団だな……)
※ちなみに、万人知る坑道騎士団メジャーマイナーナイツ……『メジャー』は『有名』の意味で『マイナー』は『坑道』の意味です。
兵士「……先代領主様……ヴラッド・ストーン様が薨れてからはや1000年……」
兵士「遂に……我らは人を得たり……」
つかさ「……は……はぁ……」
更にどんよりしながら兵士の言葉に耳を傾けるつかさ……なんでもここ、土の帝国テーレノは八大帝国随一の鉱山
都市……年がら年中鉱山にこもっているこの国の民は極度の根暗であり、常に鬱々とした気分で過ごしている
のだという……
つかさ(……健康に悪そうな帝国だな……ここは……)
つかさ「……と、とりあえず、ここがどこだかは分かった……それで……だな……俺は……ここから早々に
 立ち去りたい……」
兵士「……見捨てなさる……のですか……新領主様……」
つかさ「あ、いや……別にそんなわけでは……」
マズイ、明らかに地雷を踏んでしまった……と失言を後悔するつかさ
兵士「……構いませぬ……我らはテーレノの民……」
つかさ「……い、いや……その……と、とりあえず、領主になったからには……」
兵士「……おお、領主になると申されますか……」
兵士「……では……城の地下へ……」
つかさ「……あれ!?まだ領主になりきれてない!?」
兵士「……そこで、正式にテーレノを……後継してくだされ……」
つかさ「……城の地下へ!?」
一同「……はいぃ……」
つかさ「……」
なんだかどうにも丸めこまれてしまったかのようなつかさ……だが、後にも退けないこの状況ならば……城へ
行くしかあるまい……
つかさ「……ええと……城へはどうやって……?」
兵士「……では、わっしの後についてきてくだされ……」

#2
そして、案内されしテーレノの城……
兵士「……ここが……地下への入り口でございます……」
と案内されるつかさ
つかさ「……アンタは降りないのか!?」
兵士「……ここから先は領主様とその候補のみが行き来できる場所でございます……わっしらが出入りする
 などと……許されませぬ……」
つかさ「……は……はぁ……」
と、言うわけで、つかさは1人地下へと進む
・
・・
・・・
つかさ「……しっかし……何だ?この地下……鉱山みたいだな……」
足元にゴロゴロと散らばる原石……よく見るとそれは雲母橄欖岩キンバーライトであり……
つかさ「……こいつは……」
雲母橄欖岩キンバーライト……それはダイヤ原石を含む火成岩として有名……見方によってはここは宝の山であるのだが
……歴史の墓場において、ダイヤモンドはその辺の石ころと同じようにありふれた存在……故に誰も見向きも
しないのだ……
※ちなみに、余談ですが、歴史の墓場ではダイヤモンドはコスモサイトという名称がつけられています。
ヴラッド・ストーン(テーレノを継ぎし者よ……)
つかさ「うおっ!?何だ!?」
突如、頭の中に声が響く……
ヴラッド(我が元へ……来るのだ……)
つかさ「……言われなくてもだ……」
そして、つかさは地下の祭壇へと辿り着く……その壇上にはモノクルが安置してある
つかさ「これは……!?」
ヴラッド(それは鬼眼鏡きがんきょう……お前が真にテーレノを継ぎしものならば……それを手にすることができよう
 ……だが……しかし……)
つかさ「後継者じゃなければ無理ってか!?……」
ガッ
いとも簡単に鬼眼鏡きがんきょうを手に取るつかさ
ヴラッド(汝……新たなテーレノの後継者なり……)
つかさ「……モノクルか……」
すっ
何気なくつけてみるつかさ……
つかさ「これは!?」
……それは、紛れも無くオーパーツ……現実世界のちょっとしたスコープを凌駕する性能を誇る……
つかさ「……俺にはぴったりの品……かもな……」
そして、つかさは城を後にする……
兵士「……おお……それはぁ……」
兵士「正しく……貴方は正真正銘……このテーレノの正当なる後継者……」
つかさ(根暗な帝国を継ぎたくはあまりないのだが……)
つかさ「……ところで……ちょっとばかしここから出てみたい……んだが……」
兵士「……分かりました……新領主様ご不在の留守は我らにお任せください……」
かしこまる騎士団一行……
ともかく、領主になれたつかさ……彼はこのまま現実世界へ戻ることができるのか……それとも……
※……ってかこんな件をあと半分続けなきゃいけないのかよ!

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