Eighter -Blindness Wizard-
30ther 〜強欲が望む心深願(エイエン) C〜



#5
突込魁(とつこみ・かい)「ハアアアッ!」
 ゴガガガッガガッ
 なおも力任せに夢羅征(むらまさ)を振るう(かい)。だが、しかし、その凶刃が(けい)に届く前に炎の鎧に止められる。先ほどよりも
出力が上がっているため当然の結果である。
天然蛍(あましか・けい)「無駄だって言ってるのに、まだ分からないみたいね……」
(かい)「五月蠅い!貴様は死ね!」
 ザムッ
 しかし、(かい)の方も徐々に力が吊り上がっていた。今、再び(けい)を守る炎の鎧が切り裂かれる。
(けい)「そういえば、さっき切り結ぼうって言ってたんだった……」
 ガキンッ
 思い出したかのように真・炎双刃を振るう(けい)。
 それから暫くの間、鎬を削る鍔迫り合いが繰り広げられることとなる。
(けい)「飽きた……」
 だが、すぐにそんなことを漏らす(けい)※いや、飽きるとか飽きないとかそういう問題じゃないから!
(けい)紅龍炎舞(こうりゅうえんぶ)!」
(かい)舞散夢階調(舞い散る夢の調べ)!」
 ズガザザザザザザッ
 と、いうわけで、深紅の炎の龍を四つ作り上げては(かい)に襲わせる(けい)。
 しかし、(かい)はそれらを夢羅征(むらまさ)で宙に投げ飛ばしては切り裂いていく。
(けい)「これはダメか……じゃ、次行ってみよ〜」
 切り替えが早いのが(けい)のいいところだ。
※いや、何も考えてないだけですが……
(けい)蒼鳳炎舞(そうほうえんぶ)!」
(かい)消夢幻階調(消え行く夢幻の調べ)!」
 ズドドドドムッ
 今度は青い炎の鳳凰を四つ作って(かい)にけしかけると、(かい)は自分の幻影を複数作り、本体とともに突撃、四方から
斬撃を放ち打ち消していく。
(けい)「これもダメかぁ……じゃあ……」
(かい)「死ねッ!」
 ドッ
 隙あり!と言わんばかりにぼけ〜〜っとしている(けい)に斬りかかる(かい)。しかし、その凶刃は(けい)には届かない。
 まるで刃の方が(けい)を避けているかのような感じだ。
(けい)黒炎虎舞(こくえんこぶ)!」
(かい)無闇光階調(闇なき光の調べ)!」
 ズドムッ
 更に(けい)は黒き炎で虎を作り、(かい)に解き放つが(かい)は斬撃で具現化させた白龍でこれを撃滅せしめる。
(けい)「いや〜、すごいねぇ……」
 ぱちぱちと拍手をして(かい)を称賛する(けい)。
 しかし、どこからどう見ても馬鹿にしてるようにしか見えないのはなぜだろうか……
 それはある意味才能なのかもしれない
※いや、そんな才能いらんから……

#6
(けい)「さてと……じゃあ、そろそろ終わりにしようか……」
 コオオッ
(かい)「ッ!?」
 (けい)から凄まじい殺気が放たれ、辺り一面重苦しい緊迫した空気に包まれる。
アマイモン(殺すつもり……か!?)
 ただ、それも仕方のないことかもしれない……
 場違いな黒き遺物(ネガティヴ・オーパーツ)、それも七罪塔(しちざいとう)に操られて正気に戻れた人間など存在しないのだから!
※いや、ちょっと待って……この前柳生衞琉(えいる)七罪塔(しちざいとう)の手によって傀儡にされたけど、最終的に元に戻ったと思う
 んですけど……
アマイモン(まぁ、いいか……アレもなかなかの天命(ネフェシュ)の持ち主だったけど……)
 (けい)は更に上質な天命(ネフェシュ)を持っている。
 邪悪な笑みを浮かべるアモン。
 玩具が壊れてしまったのなら新しい玩具を手に入れればいい……そして、既に近くに新たなる玩具がある。こん
なに嬉しいことはない。
 しかし、この時のアモンの行動がアモンの未来を決定づけてしまうこととなろうとは、アモンも知る由も無かっ
た。
(かい)「殺すッ!」
 (けい)から放たれる凄まじい殺気に気圧されていた(かい)だったが、それでも、(けい)を殺さねばならない……そんな執念で
(かい)は動く。
 ズバッ
(かい)「あがっ!?」
 しかし、そんなしどろもどろした動きで(けい)を討つことなど不可能。
 逆に(けい)に左腕を切り飛ばされる(かい)
(けい)「ありゃ!?……ごめんね、一太刀で終わらせようって思ったんだけど、ズレちゃったみたい」
(かい)「あああああっ!」
 あっけらかんと言い放つ(けい)。その姿は、冷酷な殺人鬼そのものだ。
 これが炎の天然殺人機(お気楽マーダー)の真の姿か?!
(かい)「殺すぅッ!」
 それでも、なおも、(けい)を殺そうとする(かい)の執念は凄まじい。
(けい)「ばいばい」
 ザムッ
 ボアアアアッ
 だが、無慈悲に(けい)の凶刃は(かい)を両断すると同時に炎に包む。
(けい)「ま〜だっかなぁ〜〜?」
 めらめらと燃える(かい)の前にどっかりと座り込んで何かを待つ(けい)。
アマイモン(あいつは何をやっているんだ!?)
 やがて、炎が消えると、そこには……なぜか無傷の(かい)の姿があった。
 しかも斬り飛ばされたはずの左腕もが何事もなかったかのように治っている。
アマイモン(なっ!?)
 ありえない出来事に、アモンも思わず絶句する

#7
(けい)「やっほ〜〜」
(かい)「はっ!?」
 目を覚ますと同時にガバっと起き上がる。
 ゴチンッ
 その結果(けい)と激突する
(けい)「あ、痛ッ」
(かい)「それはこっちのセリフッ」
(けい)「でもよかった。こういう使い方は初めてだったけど、なんとかなったみたい」
 ぐいぐいぺたぺたと(かい)の左腕を触りながら(けい)が呟く
(かい)「ちょっ、いきなり何すんのよ!」
 ゴチンッ
 突っ込みと言うか、鉄拳制裁。セクハラよ!と言わんばかりの形相だ。
(けい)「もう、乱暴だなぁ……」
(かい)「五月蠅いわ!」
 いつもの(けい)(かい)であった。
アマイモン(馬鹿な……ありえないッ!)
 七罪塔(しちざいとう)に操られて正気に戻れた人間など存在しない(と、いいつつ前例があるんですけど……)はずなのにこの
結果を受けてアモンは大いに困惑する。
 一度しか起こらないことはもう二度と起こらないが、二度あることは三度あると言う。
※いや、その言い回しなんなの!?
(けい)「さてと、じゃあ、もう一仕事あるから待ってて」
(かい)「はい!?」
 それは言うまでもなく、アモンとの決戦である。


END

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