Eighter -Blindness Wizard-
23rder 〜悪夢の果ての教場 B〜
#3
五年前の事件の奇跡の生還者はおふざけで掃除用具入れに隠れていたのではなく、イジメにあって掃除用具入れ
に閉じ込められていたという事実を突き付けられて困惑する一行
梓與鷹「どういうことだ?」
上(総介「フン、学校側がイジメを隠したかったんだろうよ……」
與鷹(「だからといってそんな……」
山咲(桜「問題はそこではありません」
総介「朝のドーナツなるテロリストについての情報を開示しろ!」
白拍子かんな「……はい……」
いや、そんな上から目線な感じで指示しなくてもいいんじゃないか……とか與鷹(は心の中で思うのであった。
さておき、かんなは特に嫌がることなく、朝のドーナツなるテロリストについての情報を開示する。
しかし……
與鷹(「こいつは……」
総介「やはりな、思った通りだ」
そこには、検索結果ゼロ件の文字が表示されていた。
ここで改めて説明をしておくが、かんなが使っているレムリアというのは場違いな白き遺物(の最高峰であるオー
パーツCPで、この世のありとあらゆる情報を検索できるといっても過言ではない。
そんなレムリアが検索結果ゼロ件をたたき出したのであれば、導き出される結論は一つだ!
與鷹(「そんなテロリストなんて存在しないということか……」
総介「フッ、存在しないものは逮捕できない。道理だな……」
どうしてこんなことになったのか……
いや、このような事態になっているからこそ、この事件は総介の管轄だということなのだ。
與鷹(「一体五年前に何があったんだ!?」
総介「イジメだろうな」
與鷹(「いや、それは分かってる……」
いや、そういうことじゃなくて……と與鷹(が呆れているが、勿論総介も與鷹(を馬鹿にしてこんなことを言ったわ
けではない。
総介「何かが起こってからでは遅い……急がねばならんな……」
ズキリと頭が痛むのか、頭を押さえつつそんなことを言いだす総介。
それは、心理の断片が見せる残酷な未来のせいなのか。総介には何が見えるのか……それは誰にも分らない。
だが、急がねばならないというのには與鷹(も同感だ。
與鷹(「ええと、五年前に中学生ってことは、今は高校か、大学か……」
かんな「はい。高校ですね」
彼女の通う、エンフィールド高校(通称エン高)へ急ぐ一行であった。
#4
東京某所、朝比奈家
朝比奈おろ香「はっ!?はぁ〜〜っ、はぁ〜〜っ……」
今朝も彼女は悪夢に魘されて目を覚ます。
五年前の地獄……しかし、それはテロリストの襲来なんかではない。イジメを受けていたころに見た一筋の光明
のせいだ。
しかし、それは光明というにはあまりに真っ黒だった。眩いばかりの闇などというのはこういうことを言うのだ
ろうか……
おろ香「あの子が……来〜る。きっと来る〜」
※貞子かよ!なんか妙に余裕だな……
それは予感ではなく、確信めいたナニカだった。
彼女は五年前も『おろ香』を漢字一文字に略され朝比奈愚(と蔑まれてきた。
そして、クラスメイトからイジメを受けていた。イジメの発端が何だったのか、今となっては思い出せないし、
思い出したくもない。
毎日のイジメに心をすり減らされたある時、それは訪れた。
転機が訪れたとも言えるが、それは正しく訪れたのだ。訪ねてきたのだ。イジメに対する復讐のために力を貸そ
うと……それは一筋の光明であり、同時に地獄への片道切符だった。
おろ香「あれは、一体何だったの!?」
自分で自分に問いかけてみるが、わかりたくもないのも事実だ。
ともかく、彼女はイジメの主犯、見て見ぬふりをするクラスメイト、頼りにならない担任全てに恨みを晴らした
いと望み、そして、それは叶えられた。
クラスメイトが突如テロリストに虐殺されるという最悪の形で……
おろ香「違うッ……私はあんなものを望んだんじゃないッ……」
自分で自分を抱きかかえてガクブルしながらそんなことを呟くおろ香。
*「いいや、それは君が望んだ結果だ」
おろ香「ッ!!」
突如、部屋に謎の子供が出現。
声にならない悲鳴が部屋に谺(する。
※いや、声にならない音であれば谺(しないんじゃないの?
部屋に突如現れたこの子供は、姿かたちは違っているものの、五年前の悪夢の元凶と同じだった。
いや、寧(ろ、五年前の悪夢の発端よりも更に禍々しい。
それは、場違いな黒き遺物(、七罪塔(が一つ。《嫉妬(》のレヴィアタンであった。
ちなみに、余談であるが、五年前、彼女に接触したのはレヴィアの部下たる泥諏(クォヴァである
五年越しに彼女に接触した場違いな黒き遺物(の目的とは何か!?
続
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